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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話28

息子が倒れてから14日目。

この日は最初に夫が面会し、私は次男と病院近くの公園で遊びながら待っていた。

その後交代の連絡を受け、夫とバトンタッチ。

面会に行くと、昨日まで長男が使用していた個室には別の患者さんが居た。

前日に私が帰宅したあと、大部屋へ移動になったらしい。

大部屋は4人部屋で、長男ともう1人、長男より1歳か2歳年上と思われる少年が居た。

よろしくお願いしますと挨拶をして、長男には来たよと声を掛ける。

長男は前日ほどでは無かったが、やはり寂しい気持ちや長引いて来た入院生活への不満が見てとれた。

しかも、心なしか頭が熱く感じて体温を測ると37度5分。

意識が回復する前も熱が出ていたようだったが、脳の炎症に熱が出ている状態は悪影響だから、と服薬や保冷剤などでかなり低めに体温管理をされていたことを思い出した。

看護師さんに熱の話をすると、

「咳や鼻水などの症状も無いし、大丈夫だと思います。主治医の先生には伝えておきますね。

病棟内を高めの温度に設定しているから少し体温にも現れる子もいるんですよ。」

と説明を受けた。

が、この日の朝には鼻血が出たと長男から聞き、不安な気持ちが膨らむ。

この日は主治医の先生はお休みだった為、翌日以降の面会時間で説明に来てくれるとのことだった。

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息子が倒れてから15日目。

この日もお昼時に面会に訪れた。

服薬しているステロイドの副作用の一つに「お腹が減る」というものがあった。

長男にもこの副作用は当てはまり、ご飯を食べる集中力と食事の早さが見たことも無いほどだった。

「ごはんまだ?」など口に出すことは無かったが、倒れる前は、食事よりもおしゃべりをしたり、遊びたくてまわりを見たりしてあまり集中して食事をするタイプとは言えなかった。

そんな長男が、しゃべることもなく黙々とすごいスピードで食事やおやつを平らげる様を見て驚くと共に、これが『薬の副作用』というものなのだ、と実感していた。

さらに困ったことに、服薬しているステロイドには「太りやすくなる」という副作用もあった。

そのため、体重増加に気をつけねばならず、
せめて食事やおやつの時間以外は食べ物の話題は避け、食べ物のことを考えずに楽しい気持ちで過ごせるように、遊び方や話題を日々模索しながら過ごしていた。

そんな中でも、食事中ならいいかな?と

「長男は退院したら何が食べたい?」

と聞いてみたことがあった。

長男は真剣に考えたあと、

「ホットドッグを作って食べたい」と言った。

入院中に、バターロールで作ったホットドッグが出た日があり、それが気に入ったのだという。

「じゃ、ママと一緒に作って食べようね!」

『退院後』を想定した初めての会話だった。






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