【1945.9の月】
戦争が終わって一月経った9月中旬のことだった。
満州の月は本土(日本)の月など比べ物にならないくっきりとした大きなものだった。
恐らく乾燥した空気のせいで、より煌々と夜空に浮かんでいたのだろう。
小学4年の秋、伯母は満州吉野町の家の庭で学校の友達3人と遊んでいた。
日本の統治が終わり混乱した社会の中で、子ども達は子ども達で情報をやり取りし、生き抜く為に闘っていた。
女の子は家で大人しくしているものだと教わってはきたが、事ここに及んでは、生きる為に“子ども”というハンディを逆