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米神でのごはん録。濃密な3日間6食。

ハクビシンごはんの話を書くと宣言して一ヶ月。やっと書きます。誰が待ってるかは知らないけどね。

・概要アレコレ

神奈川県は小田原に米神という地域がある。
そこには猟師の友人を中心に3人で住むシェアハウスがあり、何度も遊びに行っている。泊まらせて貰った事もある。

今回はかなり久し振りの訪問だった。
写真家で芸術家の友人に猟の写真を使って作品を作りたいので、誰か紹介して欲しい。と言われたたので一緒にここに来たのだ。

別に俺がいなくても作品撮りに影響は無いのだが、俺が久し振りに行きたかったし、彼ら彼女らに料理を食べて欲しかったのでね。


事情は少し前のnoteでも書いたのでこっちを是非。

この話の続き?ってか前後編ですかね。
3日間、6食だけ。
なのになんでこんなにいっぱい作ったんだろう!ってくらいの料理。モリモリてんこ盛りです。

・1日目昼:ささっと蕎麦で。

最近のマイブーム、とでも言うだろうか、重宝している食材は鴨肉の燻製ハム。
1枚で200~300円とお手頃なのに満足感も旨味もしっかりで、具としてだけでなく出汁として優秀。
なによりお手軽に鴨が使えるの良い!!

皮をバチッと炙り脂を出してそれで舞茸を焼く。
鴨も舞茸も旨味をようだすねんな~

鴨せり蕎麦、青豆と野菜の浅漬け

麺のつゆに舞茸をいれて味を整えて、仕上げに鴨とセリをたっぷりいれて茹でた麺にたっぷりかける。

ちゃんとしたカメラで撮ってもらうと綺麗ね~

写真だと分からないかもだけと柚子皮を香りにのせてます。
古民家は寒いので毎食温かい物を作ろうと決めた。

浅漬けは大量に作ってきたので小出しにする。

試食にしてはデカい干物、流石は小田原。

その日は午後からみんなで買い出し。
早川漁港の方まで行き、刺身や干物、野菜、日用品、酒などを買う。
やっぱしアジが良いわね~

一夜城跡にあるヨロイヅカ・ファームでアイスクリームを食べたりもした。
寒いのに美味い。コーンがめっちゃ美味い。

綺麗な海がかっぽり見える所で下世話な話をする我々。

・1日目夜、アジアのお気に入り達でビールを。

この日の夜飯はエスニックにしようと決めていた。
というのもここの住人のひとり、S氏は芸術家でありながらスパイスコーラを作っている。
スパイスオタクだし、彼はこういう料理好きだろう。そう思ったのだ。

ボーズ、肉骨茶、豆腐干の中華和え

まずはボーズから。
モンゴルのギョウザ?饅頭ポジションで、羊肉を使う。

今回はコレにクミンを効かせてエスニック感マシマシ。

詳しくはここで書いてたな。

大判のギョウザの皮で餡を包んでいく。
羊肉の刻んだのと豚挽きを合わせ、パプリカやクミンをたっぷり。
砂糖を入れるのがジューシーを保つコツかな?

蒸すのに便利なクッキングシートが無かったので、レタスで。
うん、これでよかった。

大判の皮に対して餡が少なくて上の方は皮が密集してるけど、ここが肉汁を吸ってモッチモチで美味かった~
こんなんビールに合うでしょうが!!

持参したペルーのビール5本が速攻で無くなってしまった。わーお。

部屋の灯油ストーブで温め直せるの最高。

羊の脂は固まりやすいので熱々を食えるの幸せ。

豆腐干の中華和え。
正直、豆腐干と干豆腐の違いがよく分からんけど、カルディに売ってる方です。

茹でて搾って、ザーサイ、山クラゲ、自家製のチャーシュー、トマト、きゅうり、生姜、ネギが具材。
味付けは岩井のゴマ油、それに醤油。

こんなん美味いに決まってるじゃん!!
美味しさの確定申告している奴だけどやっぱ美味い!!
ビーーールが進む事進む事。

いい写真だなぁ~
流石。

肉骨茶(バクテー)、完全に写真を撮るのを忘れていたので、次の日に急いで作ったバクテー麺で許して。

この日のバクテーはシンガポール風で、胡椒を効かせたスパイシーな豚スペアリブの塩スープです。
寒い日にコレを食うの最高なんじゃ。身体に染みまくり。

これまた公開してる。
こういう時は自分なりに満足してる料理を作るのがいいよね。
食べて欲しいと思う味を作るのさ。

・二日目は山奥で猟師とブランチ。

二日目は朝早くに山へ。
鹿猟に同行させてもらう。

けっきょく鹿はとれなかったのだけど、帰り際に罠をチェックするとハクビシンが!!
写真家の目的は一応達成。のはず!!

突撃!お前が晩ご飯!!

どういう作品になるのか楽しみだ。

とりあえずメシを。
近所の猟師さんはかっこいいおじさまで、一緒に沢でキャンプメシを作ろう!と言ってくれた。

イノシシめし、塩味の石狩汁、青豆と野菜の浅漬け

その猟師さんが作ってくれたのがイノシシめし!!
イノシシ、ごぼう、人参、大根なのどを炊き込んだ野趣溢れるメシでたまらなく美味い!!

ごぼうがええのよ~

で、俺が作ったのは石狩汁。
北海道の名物で、鮭と昆布とジャガイモの汁で、鍋にする事も多い。

味噌仕立てが有名だが個人的には塩仕立てが好きだ。
スッと染みるんだなぁ。

出汁を使わなくても良い味がでるし、それが美味いんだなぁ。

あとは漬物。
青大豆と野菜の漬物を山ほどこさえてきたので、ここにも持参。
いのししメシに合うわ~

ほんでな、この景色。
素晴らしいでしょ?

山奥の誰ひとり通らないような枯れた沢の上で食う朝飯は最高でした。
空気がヒンヤリと澄み切ってて、料理の香りや味がいつも以上にハッキリと分かった気がする。

デザートに囓りついたカブも美味かったなぁ~

・二日目夜、なぜか宴会

なぜか上海~

なんて井上陽水が歌ってたけど、そんな感じのゆる~い感じで12人の宴会になった。

ハクビシンめし

まずは獲れたてのハクビシン。
猟師さんに血抜きと捌くのをまかせたら、めっちゃ綺麗にして貰えた。
ありがてえ。

内臓も一緒にいれてくれた。
頭はどこへいったんかな?脳味噌食いたかったなぁ~

全体に多めに塩をすり込んで30分ほど置いてから茹でる。酒をひとまわし。

アクがたっぷりかと思ったら意外にも綺麗な茹で汁。
タヌキとは全然違うな。
味も上品で美味い。

使えそうな身をほぐしていく。

で、取り切れなかった骨や内臓は炊き込む。
出汁はもちろん茹で汁から。

ついでにパクチーの根っこと生姜、ペルー料理っぽいな。
味付けは塩、醤油、酒、だけ。
タヌキの時はもっとニンニクとか豆板醤いれたけどハクビシンは上品に美味い。

レバーは茹でただけでいけそうだったので茹でて後入れ。
塩をしっかりしてるからね、角切りのレバーの癖と塩気が良いパンチ力。

米が炊けたら骨をとって、蒸らす。
で具を混ぜる。

ほぐした身、レバー、塩揉みしたネギと大根菜、三つ葉、そして少しのゴマ油と黒胡椒。

あっさり上品に仕立てられそうだったけど、飲み会だからね、酒に合う味にしたわよ。

猟師さんにもらった古代米のモチ米を混ぜたのもよかった。

肉の味はほろほろ鳥に似てるんだけど分かる人が少ないので、鶏と豚の間って感じですかね。
赤身肉なんだけど鶏みたいなあっさり感。

めちゃめちゃ美味いです。好きなジビエのかなり上位にはいってきてる。

ひとつ言うとすればタヌキ的な臭みを期待してたのに上品で残念。よくも悪くも。
ジビエ入門にオススメの肉です。

鶏せせりの唐揚げ、青豆と野菜の浅漬け、キャロットラペ

リクエストのあった唐揚げ、やるなら変わり種がいいべと思い首肉で。
味付けはいつもの、酒粕をたっぷり使う事で漬け汁のロスが無いしめっちゃ美味い自慢の味付け。

青豆と野菜の浅漬けもいつもの。
こういう時何かと重宝するマイベスト常備菜。
とりあえずこれさえあれば野菜がとれるし、酒にも米にも合うしお茶請けにもなる。

キャロットラペも常備菜としてよく作る。
保存の面でも優秀だし、これまた良い酒のアテになる。
あとね、コレがちょっと添えてあるだけでオシャレに見えるの素晴らしい。

トマトサラダ、アスパラとパプリカの味噌ディップ、大根皮のポン酢漬け

トマトサラダはシンプルに、野菜も食べなさい!!ってのと濃い料理があるとこういうの欲しくなるじゃない。

アスパラは早川漁港の近くで押しの強いおばちゃんに勧められたので買ってみたら特製の味噌をオマケしてくれた。
生で食えるアスパラうまし、パプリカはなんとなく。余ってたからね。

大根の皮はおでんの為に剥いた部分で、自家製ポン酢だから更に美味い。

こういう時の料理はしっかり手間暇かけるのもいいけど、切っただけとか盛っただけってのも必要なんだ。
強弱をつけないとクドいからね。

イノシシの金玉のミートボール トマト煮込み

コレに関してこないだのnoteで。
イノシシの金玉を刻んで叩いて合い挽き肉と混ぜてトマトで煮込む。
スパイスやハーブを効かせてね。

人生でこれほどキンタマという言葉の飛び交う食卓は無かった。

寿司 漬けマグロ アジ酢

ちょこっと寿司もね。
せっかく小田原なんだもの。アジを食うべ~

漁港で買ったアジ酢〆がめちゃウマ。
こういう時は醤油をつけないで食べれるようにするの大事。
ハクビシンメシだけだと主食が足りなそうだったので、ちょうどいい量。

炙りサバの棒寿司

みんな大好きサバの棒寿司。
シャリには胡麻と生姜、そして柚子。

みんなの前で炙って仕上げるとテンションあがるよね。
サバの棒寿司は酒のアテに最高なんじゃ。大好き。

小田原おでん

冬の小田原にきてるんだし、やっぱりおでんでしょう!!
これは前日の夜から仕込み始めてて、大根、厚揚げ、自家製の鶏団子、ちくわ、さつま揚げ、いわしはんぺん、昆布、ウズラの卵。

小田原は練り物が美味いのよ。
この短いちくわいいよね、可愛い。

部屋にある灯油ストーブに鍋をのっけてコトコト熱い状態をキープしておくと好きな時に食えて良い。
出汁で日本酒割ったのも最高でした。

あと、前日のボーズの余りをだしたので合計12品!!
あとオマケに持参したキャラメルかぼちゃチーズケーキも出したので13品!!

作るの楽しかった!!なによりみんながガツガツ食べて飲んでってのを見るのが幸せすぎた。
料理人になった理由を思い出した。こういう顔を見るのが好きで料理をしてるんだ!!

・三日目朝、二日酔いには粥で和食に

芋茶粥、焼き魚、卵焼き、浅漬け

朝ごはんは茶粥にしよう、それは来る前から決めていた。
奈良で食べたのが美味しくってさ、飲む予定はあったから二日酔いの朝にはコレだよとね。

具はサツマイモを、ほうじ茶の香ばしさと芋の甘み、仕上げの黒胡麻の香ばしさ。
どれも染み渡る~
寒い朝に二日酔いで食べるの幸せです。幸せ。

焼き魚は小田原の地元民達が勧める干物屋で色々と買いそろえた。
アジ、金目鯛、秋刀魚、かます、どれも美味しかった。また行こう。

卵焼きはお得意。
朝ごはんに卵焼きあるのって幸せだよね~

浅漬け、本当に重宝しました。よー食べた~

・三日目昼、最後は鹿カツと色々

最終日、最終食。
前日の宴会ですっからかんになったと思いきや鹿ロースをもらったり、はたはたが届いたりと食材が増えててビックリ。

鹿カツ、ロールパン、昨日のサラダ、キャロットラペ

鹿カツ、塩コショウをしてカラッと揚げたのをロールパンに挟む。
トマトや前日のサラダも一緒に挟んでね。

さいっこうに美味い!!
鹿は脂肪分が少なくて血っぽさが強いので、こうやって食べるの大正解!
ソースと多めの辛子が合います。
この文を書いてる今日も鹿カツにした、それくらい好き。

はたはたの昆布焼き、だし巻き玉子、芋茶粥、おでん

和食パート、といってもある物でなんとか。
ハタハタが届いたのは想定外だけど、塩と酒を振って昆布焼きに。日本酒飲みたくなっちまう。

だし巻きはたっぷり。
一人玉子1.5個分くらい。満足感。

あとは朝や昨日の余りをいい感じにね。
色んな食材や料理を持ってきたけどコレで本当にすっからかん。
あ~よく作った~~満たされた。

・やっぱり料理は良い物だ!

本当に沢山作った。
最近は料理をするにもアレコレ考えてさ、縛りが多くて、意味を持たせないといけないとか思ってたりしてさ、
こうやって単純に、ただ食って欲しいから作る。そういう感覚を思い出した。

良い時間だったなぁ。
またしたいなぁ。こういう時間の為に料理をしている。生きている。
みんな食べてくれてありがとう。

やっぱし料理は良い物だ!嬉しい!楽しい!大好き!!


君に胸キュン

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イチオシのおいしい一品

いつもありがとうございます。 書くの大好きだけどやっぱ大変だから、サポートして貰えると持続性が増します。