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恋愛がテーマの映画をカップルで鑑賞すると、2人の絆は深まる?

鑑賞する前から、かなりの感動は得られるだろうと予測していた。そして、それは的中した。

気づくと場内のあちこちから、すすり泣きが聞こえてくる。
私は、そっと隣の彼を盗み見る。
すると、彼の目が心なしか潤んでいるように見えた。
私の視線に気づいた彼が、ちょっと照れたように微笑んだ。

映画ゴーストは、1990年に公開。
主演はデミ ムーア、パトリック スウェイジ。
ニューヨークで陶芸家の恋人と暮らす銀行員の男性が、暴漢に襲われ命を落とす。彼は天国に行かずゴーストとして恋人の傍に残ることを選択。
やがて霊媒師の女性と出会い、彼を介して恋人を様々なアクシデントから救っていく、というストーリーだ。

映画が公開される少し前に、私はその後恋人となる男性と出逢った。
私を全面的に受け入れ理解してくれた彼に、どんどん惹かれていった。
映画が公開になると、私達は早速映画館に出かけた。彼と巡り逢い、まだ日が浅いこともあって
映画館でのデートはちょっと新鮮で、見る前から楽しみだった。

観客は、カップルの比率が多かったような記憶がある。
映画が始まり、主人公とその恋人が抱き合ったり
愛を囁いたりするシーンを見ていると、次第にときめいて気持ちが高ぶっていった。隣にいる彼の存在が更にときめきに拍車をかけた。

恋人が亡くなり、霊媒師が主人公の女性に恋人がゴーストとなって常にあなたの傍にいるよ、と告げる。だが、女性はなかなか信用できないでいる。
恋人であるゴーストは、女性の目の前でコインを動かしてみる。女性の目には、コインが一人でに動いているように見えるが、実は亡くなった恋人が動かしているということに気づき、ハッとした。
目の前の空間を見つめる。何も見えないが、亡き恋人が目の前にいることを確信する。
愛しい恋人の名を呼ぶと、涙が溢れた。

主人公に感情移入した私は次第に目の奥が熱くなり、涙が零れる寸前だった。
気づくと、場内のあちこちからすすり泣きのような気配が伝わってくる。恐らく、観客のほぼ全員が涙ぐんでいるのかもしれない。

隣にいる彼の様子をそっと伺うと、目元が潤んでいるように見えた。
私の視線に気づいた彼は照れたように微笑む。
そして、私の手をギュッと握り締めてくる。
彼の想いが伝わってくるようで、私の胸は暖かいもので満たされていった。
映画の中で流れる主題歌(ライチャス・ブラザーズのアンチェインドメロディ)も愛に満ちた歌詞とメロディーだった。恋人を想う愛おしさが伝わってくる。

映画館を後にして、彼と並んで歩き出した私は
映画の余韻に浸りながら2人の未来に想いを馳せ、幸福感に包まれていた。
いずれ、悲恋となって終わりを迎えることになろうとは想像もできずに。

後に時折、映画の主題歌をテレビやラジオで流れているのを聴く度に、彼と映画を鑑賞した記憶が蘇った。それは私の涙を誘う。すると、すっかり癒えていると思った、胸の奥にある悲恋の傷跡がうずく。
心底、愛した人。でも、もう会うことはない。
その現実に愕然とする。

あの時見た映画は2人の絆を強めたかのように思えた。でも、その後別れが訪れたから、実際のところよく分からない。
今回、この記事を書きながら思った。
愛した人と見た映画は時が過ぎても主題歌を聴いた途端、当時の情景がありありと目蓋に浮かび、
懐かしさと共に新たな悲しみを誘うということに。











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