出雲寛人

いずっちです。 息を吸うように本を読み、息を吐くように文章を書きたい。 生まれ方も死に…

出雲寛人

いずっちです。 息を吸うように本を読み、息を吐くように文章を書きたい。 生まれ方も死に方も選べないけど、生き方は選べる。 最近は物語を作りたいと思ってます。

マガジン

  • 一筆書きショートショート

    とっても短く、すぐ読める変な話たちです。

  • 数学って意外と面白い?

    数学苦手な人や、「勉強する必要があるけど、やる気でない。。」とか「なんでやるのかわからない!」という人がいるかと思います。 そういう人たちに向けて、数学を数学的に語るのではなく、数学を「人生」という大きな視点で見た時にどんなん風に見えるのかを僕の視点から発信していこうと思います! ちなみに数学科の大学4回生です! よろしくお願いします!

  • 1日5文更新していく小説です。

    1日5文と書いていますが、約5文です。「何この展開!次どうなるの!?」と皆さんが思ってくれるような作品を書いていきますね!ぜひご覧ください!

  • 半径5メートルの〇〇

    半径5m以内にある何かについてまとめたものです! ニーズなど!

  • いずっちの本棚

最近の記事

逆走馬灯②

僕は今、生まれて初めて車に轢かれそうになっている。 夜道。 いつも通りの帰り道をただただぼーっと歩いていた。 横断歩道の信号が赤になっていたことに気づいたのは真ん中まで渡った時だ。 そしてその時はもうすでに左から来る車に轢かれそうになっていた。 あーあ。これで大怪我してしまうなー。運悪いと死んじゃうな。死は突然やってくるって言うけどこんな形でやってくるのか。 今までの人生で体験してきた思い出が走馬灯のように頭を駆け巡る。 みんなこういう時って何考えているんだろう

    • 逆走馬灯

      夜道。 仕事を終えて車を走らせる。 暗い街から少しずつ煌めきが増えていき、やがて夜でも明るい街へ辿り着く。 信号が赤から青に変わり、発車する。 次の瞬間、視界の右側から人が見えた。 車と通行人の距離は僅か5センチほど。 ああ、もうだめだこりゃ。轢いちゃうかも。 と思う暇もなく僕の頭はフル回転していて走馬灯のように今までの人生を振り返っていた。 そして、自分の人生だけでなく、目の前の通行人にも家族がいて、その人の人生があることを想った。 2つの人生が、終わろう

      • メイローラーメン

        僕は久しぶりに一人旅をしている。 一人旅は何処に行くか何をするか、全て自分のタイミングで決められて楽だ。 ここはまだ来たことのない未開の地。 通りすがりの白髪で白髭をなびかせているお爺さんに聞いてみた。 「ここのおすすめスポットはどこですか?」 「そうじゃな。特にここに行った方がいいぞという場所はない。だが逆に、ここだけはやめとけ、という場所ならある。」 「なんていう場所ですか?」 「メイローラーメンというラーメン屋さんじゃ。」 「メイローラーメン、、。分かり

        • 愛しのアールグレイ

          朝起きて隣にいるのが天使かと思えば実は妻だったり、 朝、うとうとしていて心が安らぐのは太陽が煌々と照り付けているからかと思えば、実は妻の体温のせいだったり。 これは惚気ですかと言われればそうかもしれないが、特段惚気たい訳ではない。 これは惚気ですかと聞かれれば、 いいえ、幸せ者の独り言ですと答えよう。 2人暮らしが始まった。 それまでは、2人で暮らしていけるのだろうかという一抹の不安が頭の隅っこに引っかかっていた。 そんなことは梅雨知らず、時計は針を一定の速度で

        マガジン

        • 一筆書きショートショート
          27本
        • 数学って意外と面白い?
          3本
        • 1日5文更新していく小説です。
          92本
        • 半径5メートルの〇〇
          7本
        • いずっちの本棚
          3本
        • 高橋歩さんにインタビューする物語【未達成】
          2本

        記事

          失敗作

          「失敗作になってはいけないよ。」 よく父が僕に言った。 小さい頃から繰り返しそう言っていた。 何をもって『失敗作』なのか。 歳を重ねるにつれてだんだんとその意味が分かってきた。 僕たちの生きるこの世界ではあるルールがある。 それは、20歳になると両親は他人となり、自立して生きなければならないということ。 20歳になったその瞬間から、僕は両親のことを忘れる。両親も僕のことを忘れる。 どういうカラクリでそんな仕組みが働いているかなんて、大天才じゃない限り分からない。

          手を繋ぎたくなるウイルス

          いつの間にか僕の両手は2人の人と手を繋いでいた。 ある瞬間から、猛烈に本能から「目の前の人と手を繋ぎたい」という欲に駆られた。 そしてその欲は感染症のように広まり、今では見える範囲でも何百人もの人が手を繋いでいる。 僕の両隣の人の隣の人も、そのまた隣の人も、キリの無い程の人々が手を繋いで一体となっている。 痒くなった頬を掻こうとすると隣人の手も一緒に動かさなければならない。 トイレとかほんとにどうするのだろうと思いながら過ごしている。 試しに一瞬、両手を離してみた

          手を繋ぎたくなるウイルス

          クリスマスの発明家

          今年もまた、この季節がやってきた。 僕ら家族の一大イベント、泣く子も黙るクリスマスである。 僕の子供は毎年、お金では買えない要求を“サンタさんへの手紙”として書いていた。 例えば、“時間を倍にする装置が欲しい”という願いがあった。 倍にはならないが、睡眠時間を活動時間へ変換できればいいと考えた。 そして、“没入枕”というものを開発した。 その枕を使えば完全に寝ている間、夢の中で自分を自由に意志を持って動かせるようにした。 この没入枕には現実世界のあらゆるものがイ

          クリスマスの発明家

          旅する地球

          ある朝目を覚ますと、この世界には僕しか居なかった。 正確に言うと、置いて行かれた。 というより、僕がそれを望んでいたのだ。 もうすぐ地球が寿命を迎えられるということで、人類は地球脱出計画を5年前から進めていた。 各個人に対して、紙が渡された。 そこには、 「脱出の意思はありますか。YES or NO」 と書かれていた。 どうやら今日のこの状況を見る限り、僕以外はYESを選んだようだ。 僕の中では、なんとなく、地球はまだまだ生きていくのではないかという確信があった。

          旅する地球

          高層ビルから飛び降りて

          別に死にたいと思ったわけじゃない。 いつの間にか辿り着いた場所がここだっただけだ。 僕は今、自分の会社の入っている高層ビルの屋上の淵に立っている。 ここから飛び降りて、終わり。 あらゆるものから解放される。 恐怖は一瞬。僕は目を閉じて飛び降りた。 すごい勢いで落ちていく。目を開けるとガラス張りのビルに僕が写っていた。 このままぐんぐん落ちる。それで終わり。 しかし次の瞬間から、ビルのガラスに僕の今までの人生が映し出された。 僕が生まれた時に喜んでいる家族やお

          高層ビルから飛び降りて

          予定決められ人間

          朝。 手帳を開くと書き覚えのない予定がつらつらと書かれている。 11/7 9時:カフェに行く 12時:ランチを友達と食べる 15時:昼寝する 18時:ディナーを1人で食べる 21時:発狂する 発狂? 毎回思うけど誰が書いてるのこれ? そして毎度、この予定とは違うことをしてやろうと試みる。 まず家から出なければ、予定通りには行かない。 8時50分。まだ家にいる。よし、この調子でいけば予定を崩せる。 そう思った途端、机に置いているスマートフォンがブルブルと震える。

          予定決められ人間

          吸血鬼村

          今日もこの村に人間が現れた。 またか。 最近人間たちは“人工太陽”を開発し、吸血鬼村を訪れては、人工太陽を取付け、村から吸血鬼を絶滅させようとしている。 今までに幾つもの村が絶滅させられてきた。 以前も僕が住むこの村へ人間がやってきて人工太陽を設置しようとしたが、なんとか村のみんなでそれを防いだ。 人間たちはいつも、笑いながらやってくる。 退屈な日々に抗うための、刺激を享受する1つの手段として「吸血鬼狩り」をしているのだろう。 僕たちにも家族があり、友がある。大

          労働人間

          21XX年 僕は畑で人間を育てている。 昔はAIブームで労働を人工知能付きの機械などにさせていたが、時代が一巡して、やはり人間が持つ温かみにも需要が多くなってきた。 そこで国を挙げて『労働用の人間を育てよう』という計画が立てられ、瞬く間に実行された。 中学校の道徳の授業では、『人間には2種類います。“好きなことをして暮らせる人間”と“ただ労働のみをする人間”です。』というようなことを繰り返し教えてもらった。 そして“人間学”という授業数が圧倒的割合を占めていた。

          ゴミはゴミ箱に

          “ゴミはゴミ箱に”というゴミ箱が売られ始めたのはつい最近のことだ。 その名の通りすぎる商品名に意表を突かれた面白いもの好きな人たちはこぞってこのゴミ箱を買っていた。 もちろんその中の1人は僕という訳だ。 ゴミ箱のデザインはシンプルで僕もこのゴミ箱を買った。 このゴミ箱には注意点が2つあった。 ひとつは、このゴミ箱に捨てたものはもう二度と取り戻せないということ。 ひとつは、1日に最低一回ゴミを捨てなければ、ランダムで何かがゴミ箱に捨てられること。 なにやら怪しいな

          ゴミはゴミ箱に

          弁当の中の人

          お昼休み、母が作ってくれた弁当を開ける。 そこにはいつも通りのご飯やお菜が入っている•••? はずだったが普段とは異なる点がひとつだけあった。 弁当の中の卵焼きに虫が齧り付いたような穴がある。 はて、何者がやったのか? その答えはすぐに分かった。 小人だ。 本当に実在するとは思わなかったが、小人がまさに今、卵焼きを食している。 しかも赤ん坊のような見た目をしている。 はて、どこから紛れ込んだのだろうか。 僕は他の食べ物を食べられないようにあっという間に平ら

          弁当の中の人

          想い出屋

          僕に両親はいない。 僕が小さい頃、事故で亡くなったらしい。 その後僕は祖父母に引き取られ育てられてきた。だから全く両親と話したことがない。 両親が僕に残したのは、この命と僕の名前だけだ。 「よる、朝ごはんできたよ。」 まだ眠い土曜日の7時。おばあちゃんの声が鼓膜に優しくノックする。 はーい、と返事をして起き上がり、食卓でご飯を食べる。 ほかほかの白ごはんとお味噌汁と目玉焼き。 いつもの朝ごはんだけど、いつも変わらず美味しいなと思いながら食べた。 すぐに着替え

          血液空気型

          30XX年 人間は多様化し、様々な人種が現れた。 特に血液型の幅が一気に広がった。 私はその一つ一つの特徴を記録する仕事を行っている。 未だ確認されていない血液型もあるらしい。 最近発見した新しい血液型を紹介しよう。 まずは、“血液空気型”だ。 血管に血の代わりに空気が流れている。 1人だけよく宙に浮いてしまう人がおり、「あれは新種の血液型ではないか」との通報があったのだ。 そして血液検査をすると、空気が抽出された。 血液空気人間はたまに宙に浮いてしまうらしい。

          血液空気型