弁当の中の人
お昼休み、母が作ってくれた弁当を開ける。
そこにはいつも通りのご飯やお菜が入っている•••?
はずだったが普段とは異なる点がひとつだけあった。
弁当の中の卵焼きに虫が齧り付いたような穴がある。
はて、何者がやったのか?
その答えはすぐに分かった。
小人だ。
本当に実在するとは思わなかったが、小人がまさに今、卵焼きを食している。
しかも赤ん坊のような見た目をしている。
はて、どこから紛れ込んだのだろうか。
僕は他の食べ物を食べられないようにあっという間に平らげた。
瞬く間に無くなった食材に気づき、その赤ん坊はなにやら怒ったような表情でこちらを睨んでいる。
何か言っているようだが、小人だからなのか、声が小さすぎて蚊が飛んでいるような音量しか聞こえない。
さて、この小人赤ん坊をどうしようか。
とりあえず持ち帰ろう。
他の人にバレてしまっては厄介なので、そっと弁当の蓋を閉めた。
-数時間後-
帰宅してすぐに弁当箱を開けた。
すると昼間見た時よりも小さくなっている。
もしかして何も食べるものがなかったら縮小していくのだろうか?
そう思い、ご飯が3合ほど炊いてある炊飯器の中に入れてみた。
しばらくすると、炊飯器がメキメキいい始めた。
そして次の瞬間、炊飯器は見事に割れた。
ちょうどその瞬間を母が目撃していた。
母はその赤ん坊を見るなり、こう叫んだ。
「炊飯器太郎!」
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