見出し画像

予定決められ人間

朝。
手帳を開くと書き覚えのない予定がつらつらと書かれている。

11/7

9時:カフェに行く
12時:ランチを友達と食べる
15時:昼寝する
18時:ディナーを1人で食べる
21時:発狂する

発狂?

毎回思うけど誰が書いてるのこれ?

そして毎度、この予定とは違うことをしてやろうと試みる。

まず家から出なければ、予定通りには行かない。

8時50分。まだ家にいる。よし、この調子でいけば予定を崩せる。

そう思った途端、机に置いているスマートフォンがブルブルと震える。

画面には「かずき」とある。

「もしもし?」
「よー!ちょっと最近できたばかりのカフェ行ってみない?」
「今から?」
「うん!今から以外は無理!頼む!行こう!行ってみたいんだ!」
「わかった・・・。何時集合?」
「9時現地で!」

断りきれなかった。実際あのカフェは気になっていたし、かずきと一緒に過ごすのも面白いからだ。

まだ一個当てはまっただけだ。反撃の余地は多分にある。

9時にカフェに集合し、2人でカフェラテを飲んだ。

一杯のカフェラテだけでどこまで話し尽くせるんだろうと思うくらい話した挙句、かずきは言った。

「ここランチもやってるらしいから、ついでに食べてしまおうか!」

時刻は11時50分。

今から注文したらおよそ12時に料理がやってくる。

なんてことだ。

でもまだ大丈夫。まだ覆せる。

2人でカレーライスを注文した。大盛り無料だったのでそうした。

鱈腹食べた。美味しいものがこんなにもお腹に溜まってしまうと次に来るのは眠気である。

2人とも眠くなり、解散した。

家に着き、眠気は一層存在感を増した。

このままでは昼寝をしてしまう。

ガムを噛み、大きな声で歌を歌った。

余計疲れて完全に眠たくなって来た。瞼が落ちるか落ちないかの瀬戸際。

はっ!と目が覚めるともう17時。

またやられた。昼寝してしまった。

次はディナーか。
まあディナーくらいは手帳の思い通りにしてやろう。

18時きっかりに1人でディナーを食べた。

さて、ここからが勝負だ。

21時の発狂。

どんな手段で僕を発狂させてくるのだろうか。

というかもう寝たら、僕の勝ちだろうか。いや、もしかすると悪夢を見てちょうど21時に発狂するのかもしれない。

自分の意識でコントロールできる環境にいた方がいい。寝るのはやめよう。

色々な選択肢を検討したが、どれも発狂に繋がる可能性を捨てきれないものばかりであった。

そうこう思索しているうちに、20時55分。

あれ、案外このまま何もなく平和に21時を迎えられるのかもしれない。

20時59分55秒。ここまでくれば大丈夫。

スマートフォンにメッセージが送られて来た。

「私も同じ気持ちです。この前の告白の返事、OKです。よろしくお願いします。」

21時、僕は発狂した。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?