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2024年6月9日 09:04
道端に咲く名前も知らない花に「おはよう」と声をかけてみた。そしたらちょっと揺れて、「おはよう」と返してくれた。それでも私は君の名前を知らないし、君とまた出会うこともないと思う。だけどそんな出会いの方が、よく覚えているものなのかもしれない。思い出の詰まった行きつけのホテルには、最近訪日観光客の方たちがよく泊まっているのだけれど、恋人と朝の散歩に出かけるためにホテルを出たとき、まだ朝早く、繁華街と
2024年4月6日 23:50
これはわたしと恋人との話。付き合う前日の夜、わたしたちはデートをしていた。付き合う前の、甘すぎるけど、ちょっとだけ苦い時間。今しかできない会話、今だからこそ意味をなす表現、そういったものが、確実にしっかりと存在していた。「結婚して子どもができたら、深夜のコンビニに手を繋いでいくことが2人の特別な時間になる」デートの帰りにコンビニに寄ったとき、ホットカフェラテを作る待ち時間に、彼
2020年9月16日 17:06
通販で頼んだ本の帯部分が少し汚れていた。やかんを火にかけるのを忘れて1時間待っていた。ネイルが乾く前に頭を搔いてしまい、崩れた。日常に転がっている、誰にでも起こりうる小さな悲劇たち。私は、これらを全部経験した。今日、午前中の3時間くらいの間に。普通の人たちなら、どう思うのだろう。似たような呟きをツイッターなどで見かけたときは、大体の人が怒りマークをつけたりして投稿している。
2020年6月12日 17:37
「最後の最後になにか仕掛けが待っているかもしれないよな?」当時付き合っていた彼は、映画を観終わったあと、まるで私の心の内を察しているかのようにそう言った。「ああ。この人、私と同じだ。」そして、その言葉に妙に安心したのを覚えている。私は、付き合うまでにきちんと段階を踏みたいタイプだ。行動力はあるほうだが、無鉄砲に動きたくはない。人並み以上の計画性を持ち合わせている、と思う。友人の