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呵責液
2023年1月27日 22:21
2020年7月25日 20:37
私も、一度身も心も魂も全て溶かして、優しくまろい温度の繭の中で羽化すれば、美しい羽を持てるかしら?あらどうして?どうして私の繭は、こんなにみすぼらしいのかしら?他の皆は絹糸で編んだおくるみに、包まれたようなのに……。私の繭は、いくら不器用な蜘蛛でも編まないような、隙間だらけの網目模様。霧向こうの岸辺より、中身が透けて、穢らわしいわ。まるで、自分自身を、私の心を見透かされたようだわ。それに
2020年6月27日 21:20
濁った色の水晶に似た、石華石膏をくり抜いて作られた、巨大な鳩の塔。金魚の隠れ家をそのまま大きくしたような、海底に沈む人魚の海泡石の城に似て、栄螺(さざえ)状の石の塔は、足元から頭の先に至るまで、各階に鳩達の出入りのための窓が、虫に食い潰された貝殻がましに見えるほど、無数に空いていた。窓には、鳩達とそれを世話する役目の人間の足場が、巻貝の棘のように伸びていた。その棘の足場だけでなく、塔の内部の