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瓦礫と化したピアノの怨念

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演劇と怨楽の融合『ストロベリーソングオーケストラ』『瀉葬文幻庫』に於ける数々の楽曲・劇中歌を手掛けた座長・宮悪戦車の詩世界を纏めてみました。毒特の『鏡町』ワールドをご堪能ください。
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#文章

呪胎

呪胎

眠れない 夜半(よわ)に響く 
呪い(まじない)の子守歌 傷に沁みる
懐かしい果実の匂い 
影を飲むように 手と手を掬ぶ(むすぶ) 

朽ち果てた実を 囮(おとり)にかけて 
騙り(かたり) 君を捕らえ
再び闇と花に塗れて(まみれて) 
私、あなたに潜りたい

何処かでまた出会い繰り返す 
瓶詰になった子供達
突き刺すナイフで 恐れず鍵を壊して
何処かでまた逢える 
もう一度あたたかく包んで

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遊糸

遊糸

不完全な化粧(メイク) 
擬態の夜 裸の蝶 跳ねる
まるで月をえぐるように牙を向ける 
お前は遊糸(かげろう) 闇を吐く

絡まる君の呼吸(いき)を欲して 
匣の中に閉じ込めて
もがき苦しむ君を欲して 
匣の中で待ち伏せて

オマエヲカンゼンニ喰ライツクシテヤル

囚われた月は餌となり 
仮初の性(さが)の夜に踊りだす 
咀嚼音を立てて

君を噛んだ 噛んだから泣いた
泣いたから殺めた 匣に捨てた

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暗ビリカル記号ジャメヴ

暗ビリカル記号ジャメヴ

屋根裏部屋から作家(かきて)が覗く 
この世に溢れる死産の文字が
息交う舞台で欠伸をしている 
台詞を忘れたカナリア

疫病蝕む緋色の仮面 
書物の世界の家なき子
傘無き人間交差点 
喪服を纏った日常が

酬い哂う 同じ顔の私
消しても消せない路地裏の落書 孤独と戯れて

鉛筆で書く恋慕 匣に埋もれて眠る
主役演じる死神(ジョーカー) 匣に栞突き刺す
暗ビリカル記号(コード)ジャメヴ

目の前

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親不孝怨歌

親不孝怨歌

昭和四十九年三月
鏡町ヨリ五百キロ離レタ
獣町ニテ事件ハ再ビ起コル
ー過去の私がボソッと呟く。
「また 誰も遊んでくれなかった…」と。

ー帰宅した私に気付き、声をかける。
「あら、お帰り。なに突っ立てんだい。
早くこっちにおいで。
お腹空いたろう。今すぐご飯にするからね」

ー包丁が俎板に視線を向ける。
「母さん、母さんあのね。
どうして僕には友達が一人も出来ないの…」

ー俎板の上で落胆した蓮

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帰ってきた電波大サーカス

帰ってきた電波大サーカス

不思議 怪奇 妄想 狂奏
誰が呼んだか サーカス団
空気女 怪力男 ヘビ女 鱗人間
ほうら ほうら 始まるぞ
電波サーカスお出ましだ
笛の音色に身体を揺らせ
電波サーカスお出ましだ

不思議 怪奇 妄想 狂奏 
誰が呼んだか サーカス団
電波ラクダ 電波エレファント
電波カンガルー 電波人間!

フラフラと綱を渡る 盲目の 少女!落ちる!
ブランコにぶら下がる 片腕の 少女!落ちる!

電波サーカ

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包丁ロマンス~死霊の盆踊り変

包丁ロマンス~死霊の盆踊り変

死國地獄巡りに交霊した
霊ディース亡者&ジェントルメン亡者諸君
包丁にもトランスが
あってもいいんじゃないの?!
鏡町でお留守番、時計詩母も踊りだす
死霊のBON-ダンス!
here we ゴォォォォォォォォ!

包丁 月夜に光る偶像 
包丁 義眼に映る代物
包丁 猿人形が持ってる 
包丁 とても切れる包丁

買ってもらった猿人形には
包丁が握りしめられ
気をつけないと後ろから 
プスリと一突きさ

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