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管理委託契約削減への取り組み(19)

 うちのマンションの委託契約金額は年額約800万円・・・
 これを(現行と同一条件のまま)何とか3割削減(=560万円)にするための取り組みも、いよいよ大詰めです。

 他の管理会社(A社)の3割5分引き(年額約520万円)の見積金額に対し、現行管理会社の最終見積は・・・2割5分引きの年額約600万円でした。

 現行管理会社との契約は継続したいけど、その金額では(納得)契約できない管理組合に対し・・・
 現行管理会社の窓口だったY部長からは・・・2つのVE提案(=Value Engineering:役務の効率を上げることで仕事に就く人員を削減し、コストを下げる提案)の提示がありました。

  1つ目の矢:「定期清掃人員削減に伴って年額6万円の減額!」
  2つ目の矢:「警備会社変更により年額12万円の減額!」

 この2つの矢(VE提案)を受け入れると18万円の減額となりますが、現行3割引き(540万円)には、22万円足りません。
 今回は、Y部長が放った最後の3つ目の矢についてお話します。

これまでの記事は、こちら!   
 「管理委託契約削減への取り組み(1)
 「管理委託契約削減への取り組み(2)
 「管理委託契約削減への取り組み(3)
 「管理委託契約削減への取り組み(4)
 「管理委託契約削減への取り組み(5)
 「管理委託契約削減への取り組み(6)
 「管理委託契約削減への取り組み(7)
 「管理委託契約削減への取り組み(8)
 「管理委託契約削減への取り組み(9)
 「管理委託契約削減への取り組み(10)
 「管理委託契約削減への取り組み(11)
 「管理委託契約削減への取り組み(12)
 「管理委託契約削減への取り組み(13)
 「管理委託契約削減への取り組み(14)
 「管理委託契約削減への取り組み(15)
 「管理委託契約削減への取り組み(16)
 「管理委託契約削減への取り組み(17)
 「管理委託契約削減への取り組み(18)

Y部長が放った第3の矢

 あと22万円!Y部長は第3の矢が放たれました!
 「理事長、これを認めていただけたら・・・年18万円(月1.5万円)の減額ができます!機械式駐車場のメーカー・メンテナンスを外して欲しいのです」

 いやいやいや・・・それはNGでしょう。
 「現行仕様と同一仕様」にこだわって、ここまで粘って交渉を重ねてきたのに・・・メーカー・メンテナンスを独立系に変更できる訳がない!

Y部長の弁明(説明)

 「理事長、まず私の話を聞いてください!機械式駐車場のメンテナンスを請け負う会社は同じ会社なのです。ですから・・・実質的にメンテナンスの質は同じです」
 皆さんも・・・Y部長何をおしゃっているのか???訳が分からないと思いますので、次のチャプターで解説します。

その前に・・・機械式駐車場のメンテ事情

 日本のエレベーターは、主要メーカー5社がシェアのほとんどを占めています。(三菱・東芝・日立・OTIS【=パナソニック】・フジテック)
 エレベーターの「メーカー・メンテナンス」は、これら5社の子会社(グループ会社)がメンテナンスを行っています。

 ところがメーカーが群雄割拠する「機械式駐車場」の場合は、各メーカーの規模がエレベーターに較べると小さく、「メーカー・メンテナンス」といっても・・・(エレベーターのように)メーカーの子会社(グループ会社)がメンテナンスを担当していることは希なようです。

 つまり・・・多くの機械式駐車場メーカーは「我が社が(納めた)機械式駐車場のメンテナンスを『メーカー・メンテナンス』として依頼された場合のメンテナンス会社は、全て○○社に委託」と、メンテナンスの丸投げ先を指定しているケースが多い、ということです。(機械式駐車場納入先の地域別に指定メンテナンス会社を分けえているケースもありそう・・・)

 「メーカー・メンテナンス」の報告書には、実施者としてメーカー名が記載されていても・・・メーカー(または、そのグループ会社)が行っている訳ではないということです。(ありていに言えば・・・他社である下請け会社にに丸投げしている)

そして・・・機械式駐車場のメンテ契約も

 もうひとつ、大事な点があります。
 それは、機械式駐車場のメンテナンスは、(エレベーターのメンテナンス契約にはある)「フルメンテナンス契約」がなく「POG契約」のみ、ということです。

※ 「フルメンテナンス契約」・「POG契約」の違いは・・・こちらを参照!

 つまり、機械式駐車場のメンテナンス先を変更しても・・・
 「フルメンテナンス契約」のように将来の大きな修繕に備えた貯金している訳ではないので、発注者(委任者)が(「積立てきた貯金を失う」といった)損害を被ることはない!ということです。

Y部長提案をまとめると・・・

 現在、うちのマンションの機械式駐車場のメンテナンスは「メーカー・メンテナンス契約」だけど、実際のメンテナンスは・・・
 京都の独立系のメンテナンス会社である「C社」が丸投げされて実施している。(当然「フルメンテナンス契約」でない)

 この「メーカー・メンテナンス」の契約を解除して、管理組合が「C社」と直接契約すれば、年間18万円(要するにペーパーマージン)の削減が可能になる・・・という提案になります。

メリットとデメリットの検証

 ここで「メーカー・メンテナンス」契約から「C社」との直接契約に移行した場合のメリットとデメリットをまとめたいと思います。

(メリット)
 ① 実質的な年間18万円の経費削減が可能に
 ② 交換部品はメーカーからではなく(安価な)汎用品の選択が可能に
 ③ (ワンクッション減り)メンテナンス現場の声が理事会に届きやすい

(デメリット)
 ① 故障等トラブル時、メーカーの責任の在りかが不明瞭になる可能性
 ② 同じ「C社」であっても、メンテナンスレベルが低下する可能性
 ③ 緊急時の対応・体制が変わる(劣化する)可能性(要確認)
 ④ 契約が分離発注となり、管理会社のサービス&責任低下リスク

 ・・・書き出したら、上記のようになるけれど、デメリットを確認または潰していけば、まあ大きな問題はないかな?というのが、私の結論でした。
 私は、機械式駐車場「メーカー・メンテナンス契約」の変更案を了承することにしました。

私がそう思った裏事情・・・

 最後に、この時に私が考えていたことをお話します。
 私の頭の中では・・・管理会社がA社に変更した時の(得体の知れない?想定外の?)リスクが生じることへの不安が一番大きな渦を作って・・・グルグルと回っていました。

 A社の見積明細を見ると・・・機械式駐車場のメンテナンスは、現行と同じ「メーカー・メンテナンス」のままです。
  つまり、ここだけを取り上げると・・・現行管理会社のVE提案よりも(明らかに・当然に)A社の方が現行スペックに近い(というか・・・そのままだ)と思います。(=ミクロ的視点では・・・A社の方がベター!)

 でも、その一方で・・・
 (これまで付き合いのない)A社に管理委託を変更した場合のリスクを考えると・・・「現行契約から少々のスペックダウンが生じても、それは今の時点で想定できるリスクやデメリットなので・・・
 予め精査して納得できれば、許容できるのでは?」みたいな考えが強くなっていました。(=マクロ的視点では・・・現行管理会社がベター!)

 それと、今思えば・・・
 これまで喧々諤々やってきたY部長との人間関係について、「大事にせんとなあ・・・ここで関係が切れるのは、ちょっともったいないなあ・・・」みたいな気持ちが生じていたことも否めなかったかも?と思います。

あと4万円!

 Y部長!あと・・・わずか4万円ですやん!よくぞ、ここまで来れましたが・・・
 あと4万円!何とかならんの~?  (つづく


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