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管理委託契約削減への取り組み(1)

 2021年6月24日にアップしたブログ「『玄関ピンポン』で浮かび上がった管理組合の問題(後半)」の中で、優先順位や重要度が高いのに、解決に時間がかかり困難な問題として以下3つの問題をピックアップし、問題解決に向けた取り組みを行ったことをお話しました。
   ①「駐輪場不足問題
   ②「
川沿いのモミジによる1階住環境悪化問題
   ③「マンション管理委託契約高過ぎる!問題」

 すでに①と②については、お話しています。(良かったら・・・リンク先のマガジンからお読みください!)
 今回からは・・・ ③「マンション管理委託契約高過ぎる!問題」について、取り上げていきたいと思います。

 ただし今回は・・・本題に入る前に知っておいて欲しい「マンション管理組合の会計」について、基礎知識を整理しておきたいと思います。

 なお・・・整理して言いたいことは、たった1つです。
 管理会社に委託して管理運営している多くのマンションは、毎月、毎月(牛のよだれのように?)管理会社に多額の管理委託費を支払っていますが・・・その額は(毎月集めている)管理費の中で、とても大きなウエイト(割合)を占めている!ということです。

 「マンション管理組合の会計」の基礎知識を整理した後に・・・この問題にト取り組むことにした動機(理由)についてお話します。

マンション管理組合の2つの会計

 さて、マンション管理組合の会計の基礎知識のスタート!です。

 ほとんどのマンション管理組合には、2つの会計があると思います。1つは「管理費(一般)会計」、もう一つは「修繕積立金(特別)会計」です。

 なぜ?2つに分けているのかというと・・・会計する(マネージメントする)目的が違うからです。
 お金を管理する性質が違うから、2つに分けておいた方が管理しやすい・・・ということです。

 マンション管理組合の2つの会計は、家計やお小遣いのやり繰りに置換えると分かりやすいかな?
 ・・・置換えると、以下のようになると思います。

「管理費(一般)会計」
  日々(毎日)必要な日常生活費をマネージメントする会計
「修繕積立金(特別)会計」
  (
将来の大きな支出に備えた)貯金をマネージメントする会計

「管理費(一般)会計」とは?

 マンションには、エレベーターや給水ポンプ等を動かしたり、暗くなれば照明を灯したり・・・少なくとも電気料は必要です。
 それ以外にも・・・例えば管理員さんの人件費、共用部の保険料、水道使用料、エレベーターや消防設備の法定の点検費用、管理会社への委託費なども必要です。
 「管理費(一般)会計」は、そうした日常的に必要な費用をマネージメントする会計です。

 例えばこんな感じ・・・
 毎月○○円位の支出が必要だから、毎月○○円集めよう!とか・・・
 毎月○○円しか出せないから、定期清掃は○月に1回に減らそう!とか・・・

「修繕積立金(特別)会計」とは?

 将来の子供のための教育費!とか、家を買う頭金!とか、海外旅行!とか、自動車・バイクの購入!とか・・・みなさんも何か大きな買い物をする時は、計画的に貯金しますよね。

 マンションも同じ・・・
 足場が必要な外壁の修繕工事(=大規模修繕工事:工事が終われば消えて無くなる足場が高額なので、足場の必要な工事が集中し大規模な工事となる)を定期的に実施する必要があるし、何十年も経ってくるとエレベータ―等の設備も更新時期を迎えることになります。
 その時のために計画的に貯金をしておかないと・・・必要な工事ができなくなるので、貯金をマネージメントする会計が必要なのです。

 例えばこんな感じ・・・
 ○年後までに必要な修繕費用○○円を賄うため毎月○○円貯金しよう・・・
 将来のお金が足りないから、工事先延しや工事仕様を落とそう・・・とか?

「管理費(一般)会計」支出チェックすると・・・

 毎年開かれる「定期総会」では決算報告が行われます。
 でも多くの方は・・・細かな数字が並んだ収支計算書(PL)や貸借対照表(BS・バランスシート)を見てもチンプンカンプン!?(笑)だと思います。私もそうでした。(笑)

「収支計算書」(PL)とは?
 マンション管理組合の年度内(1年間)に・・・どれだけのお金を集めて、何に幾らお金を使ったか?または、その結果・・・(1年間で)どれだけお金が増えたのか?(減ったのか?)を表す必要があります。
 その会計資料を「損益計算書」と言います。

※PL(=Profit and Loss Statement:利益と損失の明細書)

「貸借対照表」(BS・バランスシート)とは?
 決算日のお金の状態を表す会計資料のこと。
 「収支計算書」で繰越金(財産)が100万円だったとしても、預金や現金が100万円ある訳ではありません。
 もしかしたら・・・まだ回収できていない「未収金」が含まれているかもしれません。預金や現金は手元にないけど・・・先払いしている「前払金」があるかもしれません。場合によっては「借金」があるかもしれません。
 繰越金の「内訳」を表わす会計資料を「貸借対照表」といいます。

※BS(=Balance Sheet:資産とその内訳をバランスさせて表した明細書)

 例えチンプンカンプンであっても・・・総会資料を引っ張り出してきて「損益計算書」でチェックしてください!
 そして、管理会社に支払っている金額(事務管理業務費、管理員業務費、清掃費、各種点検費等々)を足してみてください。

 マンションによって異なると思いますが、おそらく・・・「管理費(一般)会計」の8~9割は、占めていると思います。

 「管理費(一般)会計」の支出を削減するためには、支出の本丸中の本丸である「管理委託費」を見直さなければならない!のです。

 大規模修繕工事は、10数年に1回の周期で行われますが、「管理委託費」は毎月必要な金額です。例え少しの節約であっても、長い目で見れば、大きな節約額につながります。

20年前に「管理費(一般)会計」の見直した理由

 私が理事長を引き受けた20年前に、長期修繕積立金計画をチェックしたところ・・・修繕積立金の増額が3回、一時金徴収が2回も予定されていました。(増額はともかく・・・一時金は非現実的です)

 でも・・・増額も一時金も無くそうとすると、修繕積立金の集金額を当時の年間500万円から1000万円に増額(500万円アップ)しなければなりません。

 その時に思ったことは・・・
修繕積立金の額を単純に2倍にする提案は、一般の組合員の同意を得られないけど、「管理費(一般)会計」を見直して削減できた金額を全て「修繕積立金(特別)会計」に充てれば、同意してもらえるかも?
 ・・・ということでした。

そうだ!管理委託費を3割削減しよう!

 当時の管理委託費は年額が約800万円でしたので、3割削減して560万円になれば240万円を修繕積立金に回せる。
 年間不足分の約半分を管理委託費削減で賄えたら・・・ということが動機となり・・・「管理委託費3割削減作戦」が開始されました!  (つづく


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