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かおすは、なぜ水着の上から腹巻を巻こうとするのか? ~「かおすは、いまも両親や祖父母の強い影響下にある」という特徴について|『こみっくがーるず』(4)

 本記事は、アニメ「こみっくがーるず」を徹底分析する特集の……第4回である★


第1回からご覧になることをオススメします!


今回のテーマは……!


 第2回第3回では、かおすの「オッサンオタク」という面に注目した。

 今回は、「かおすは、いまも両親や祖父母の強い影響下にある」という特徴をご説明しよう!



かおすは、なぜズレた行動をとるのか?


 まずは、以下の2つのエピソードをご覧いただきたい。


【1】かおすのファッションがダサいのはなぜか?


 「女子まんが家寮」で談笑するかおすたち(第3話)。

 そんな中、小夢が口を開く。

小夢「かおすちゃん!ずっと気になってたけど、かおすちゃんはちょっとセンスがズレてるよ。……その服とか!」


 この時、かおすは、以下のツイート内画像の中央の格好をしていた。


 色。

 トップスの「K」の文字(おそらく、かおすの本名「薫子」のイニシャル)。

 ……なるほど!ダサい!


小夢は続けて「しかもボロボロだし!捨てて、かわいい服買いに行こうよぉ!」

琉姫も微笑んで「センスを磨けば、作中キャラの好感度も上がるわ!」

しかし、かおすは半泣きになって「おばあちゃんが縫ってくれた服……捨てられないんです……」

 小夢と琉姫は「なんていい子なんだ!」と思わず涙目になる……。


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【2】かおすが水着の上に腹巻を巻こうするのはなぜか?


 かおすら4人で海に行った時のこと(第5話)。

 水着に着替えたかおすが言う。

かおす「お腹冷えたら困るので、腹巻してもいいですか?」 


 以下のツイート内画像の内、右下のかおすにご注目いただきたい。ワンピース型の水着の上に……腹巻!しかもパンダ(?)のイラスト入り!!


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 かおすはなんていい子なんだ!


 家族からもらったものを大切にする。


 また、腹巻についても、母や祖母あたりから「あなたはお腹が弱いんだから、冷やさないようにしなさいよ」なんて言われて育ったがゆえの行動だろう。

 じつに素直だ。


 ……が!

 かおすは高1女子である!

 高1女子の言動としては……ちょっとズレていると思わないだろうか?


 祖母が縫ってくれた服をボロボロになっても大切するのは素晴らしいことだが、それを友人たちの前で着るかというと……。

 高1女子といえばファッションに興味津々の時期だし、周囲の目が気になって仕方がない時期でもある。

 そして実家ならまだしも、ここは寮だ!

 タンスの奥にしまっておいてもよいと思うのだが……。


 あるいは、腹巻もそうだ。

 腹を冷やさないように注意するのはいい。

 が……腹巻はないだろ、腹巻は!


 ……一体なぜ、かおすはこうした行動をとるのか?

 本記事では、この理由を明らかにする!


かおすは、いまも両親や祖父母の強い影響下にある!


 そもそも……私たちは幼少期、両親や祖父母など、ごく少数の身近な人から強い影響を受けて育つ。

 その後、年齢が上がるにつれて、学校や友人、先輩後輩、あるいはメディアなどから影響を受けるようになる。

 その結果、両親や祖父母の影響は相対的に小さくなっていく。


 少し堅苦しい話になるが……人類学においては、両親や祖父母の影響を受けつつ基本的な生活習慣や言語を学習することを「第1次社会化」、その後の家族の影響が薄まっていくことを「第2次社会化」と呼ぶ。


 ……これが、一般的な「成長」だ。


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 それに対して……かおす!


 彼女はまず、対人恐怖を抱えている。

 入寮するまで、同世代の子どもとの付き合いはほとんどなかったそうだ

 田舎に住んでいたことを合わせて考えると、家の中で1人、もしくは家族と過ごす時間が非常に長かったと推測される。


※補足:かおすは福島県白河市の出身。白河市について私は知識がないのだが、ネットで見る限りでは都会ではないようだ。さらに、同市の公式サイトには「自然豊かな美しいふるさとで暮らしてみませんか」というコーナーがあるので、「田舎」と言ってよいだろうと判断した。


 また、かおすは家族と仲がいい

 かおすの母・はる子は、かおすについて「マンガも世界一面白いし、私はとんでもない天才を産んでしまった」(第12話)と発言している。

 親バカである。

 はる子は、言動の端々から、かおすを深く愛していることが伝わってくるキャラだ。


※左がはる子。右はかおす。


 また、かおすも家族を大切に思っている。

 例えば……かおすが「自分には友だちがいない」と嘆き、それに対して小夢らが「私たちはもう友だちだ」と微笑むシーンでのこと(第1話)。

かおす「そっ、そんな恐れ多い!!」

かおすは涙を流しながら「夢みたいです……嬉しすぎてどうすればいいか……そうだ!実家の母に報告してもいいですか?」


 世界広しと言えども、このタイミングで「実家の母に報告してもいいですか?」という言葉の出てくる主人公がどれだけいるだろうか!!

 このワンシーンだけで「こみっくがーるず」がいかに傑作であるがよくわかると思うのだが、それはさておいて……。福島から東京に出てきたかおすだが、心はいつも家族とつながっている。それがよく伝わってくる印象的なセリフだ。


 中高生頃といえば、家族を煩わしく感じる人も少なくない時期だが……どうやらかおすに限ってはそんなことは関係ないようだ。


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 ……ということで、以上見てきた通り、かおすは友人や先輩後輩からほとんどまったく影響を受けておらず、かつ、家族仲がいい。


 つまりかおすは、(ネット経由で「オッサンオタク」的な情報に接していた以外は)まるで未就学児のように、両親や祖父母の影響にどっぷりつかったまま高校生になったものと思われる

 冒頭申し上げた人類学の用語を使うなら……かおすは、「第2次社会化」が不十分な状態ということになる。


 その結果が……上述のエピソードである!

 要するに、かおすはいまも両親や祖父母の強い影響下にあり、これが一般的な高1女子と比べてズレた言動をとる要因の1つになっているというわけだ。


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 以上、「かおすは、いまも両親や祖父母の強い影響下にある」という特徴をご説明してきた


 これは、前回詳述した「オッサンオタク」と比べるとあまり言及されることのない要素だが、「オッサンオタク」同様、かおすを語る上では絶対に欠かせない特徴だと思う

 あなたがクリエイターで、「かおすをリスペクトしたキャラ」を作ろうとお考えなら、どうぞこれをお忘れなきように!



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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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