お嬢様は汚されたい!!|『タイタニック』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「タイタニック」をベースに新しい物語を妄想します。
※「タイタニック」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「タイタニック」は、「上流階級の娘と貧しい青年が身分違いの恋を成就♡……させたのも束の間、彼らの乗る船が沈没し、青年が死ぬというラブ&パニック作品」ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介したのは、「『タイタニック』 ~『ゾンビパニック』編」、「『タイタニック』 ~『サメの襲撃』編」の2案でした。
案③
嘉村 「案③」にまいりましょう!
三葉 「案③」は、「『タイタニック』 ~『城ヶ崎姫子』編」です。
嘉村 城ヶ崎姫子!……って誰でしたっけ?
三葉 詳細をご説明する前に、まずは「タイタニック」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて「案③」に戻りまして……上述の通り、「タイタニック」は、「上流階級のお嬢様が、貧しい青年に恋をする物語」です。では、なぜ恋をしたのか?一言で言えば、「『自由な生き方』と『自分を1人の人間として扱ってくれるところ』に惹かれたから」ですが……これ、じつに王道的な理由だなぁと思うんですよ。
嘉村 王道的?
三葉 ええ。そもそも、「上流階級のお嬢様が、貧しい青年に恋をする物語」は、古今東西無数に存在します。
嘉村 ふむ。
三葉 そして、それらの作品の「お嬢様が貧しい青年に恋をする理由」に注目すると……たぶん半分くらいは「青年の『自由な生き方』と、『お嬢様を1人の人間として扱ってくれるところ』に惹かれたから」に該当するのではないか、と。
嘉村 あー、なるほど。確かにそうかも。……「上流階級のお嬢様」と聞くと、「ルールや格式、規範に縛られた窮屈な人生を送っている」というイメージがありますからね。「彼女が、何物にも縛られぬ青年に惹かれる」というストーリーは、説得力があるのかもしれませんね。
三葉 でね、それでは他にどのような「お嬢様が貧しい青年に恋をする理由」があり得るだろうかと考えてみたんですよ。
嘉村 ふむふむ。
三葉 そして思いつきました!すなわち……「お嬢様は汚されたがっているから」!!
嘉村 ……。
三葉 どうです!いいと思いません?
嘉村 ……汚されたがっている?
三葉 ええ。順を追ってご説明しましょう。
嘉村 そうですね。
三葉 まずは、1冊のマンガをご紹介します。言わずと知れたわが国を代表する作品「ちびまる子ちゃん」……のスピンオフ作品「永沢君」!
嘉村 永沢君というと、あのタマネギ頭の……?
三葉 ええ。彼を主人公にして、その中学校生活を描いた作品です。「ちびまる子ちゃん」と比較すると以下のようになります。
三葉 男子中学生の日常……それも永沢や藤木、小杉といった「陰キャ・非リア充」の面々を描いた作品ですからね。じつにアホらしい下ネタや、屁理屈てんこ盛りの傑作なのですが……。
嘉村 ええ。
三葉 今回ご注目いただきたいのは、「城ヶ崎姫子」というキャラです。
嘉村 ほぉ。
三葉 苗字が「城ケ崎」で、名前が「姫子」。これだけで一目瞭然だと思いますが……そう!才色兼備にして、実家は富豪という「学校のマドンナ」的キャラです。気の強さが玉に瑕ではありますが、まぁ、小中学校時代の男子なんてアホを具象化したような連中ばかりですからね。当たりが強くなるのも致し方がないでしょう。
嘉村 ふむ。
三葉 彼女は、「ちびまる子ちゃん」にも登場しますが……その頃(=小学3年生)からして、周囲の女子とは一味も二味も違う気品を備えていました。それが「永沢君」(=中学生)となると……もうね、アレは完全に「令嬢」ですね。静岡県の女子中学生とは思えぬゴージャスな女性に成長しているのですが……。
嘉村 ええ。
三葉 1つ問題がありまして。
嘉村 ほぉ。一体何です?
三葉 彼女、変態なんですよ。
嘉村 ……。
三葉 幼い頃から、大変に恵まれていた。すべてを持っていた。手に入らぬものはなかった。……だからこそ、性癖が歪んでしまったんですかねぇ。
嘉村 ……。
三葉 例えば、こんなシーンがあります。
嘉村 ええっ……変態じゃないですか。
三葉 変態なんですよ。
嘉村 ふーむ……。
三葉 あるいはまた、彼女には「美しいものは、時には思いっきり汚れてみたくなるものよ」なんて名言もあります。
嘉村 すごいセリフだ……。
三葉 ご覧の通り、このお嬢様は変態です。「『汚らしい男に汚されたい』という願望」を持っている。……で、話を「タイタニック」に戻しましょう。
嘉村 ……なるほど。つまり、「『タイタニック』 ~上流階級の変態お嬢様が、貧しい青年に『私を思いっきり汚して……』という願望を抱く編」はどうかということですね。
三葉 そうそう!リアリティがあるでしょ!
嘉村 いやぁ……どうでしょう。
三葉 「ジャックに汚されたくてぞくぞくするローズ」……いけると思うんですけどねぇ。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は、「『タイタニック』 ~『男女逆転』編」です。
嘉村 男女逆転!
三葉 ええ。まずは以下の図をご覧ください。
嘉村 なるほど。「主人公」「性別」「階級」という3つの要素の組み合わせをいじることで、3種類の「『タイタニック風』物語」を作ることができるわけだ。
三葉 その通りです。で、いかがでしょう?どれが面白くなりそうだと思います?
嘉村 そうですねぇ。
三葉 いずれも悪くないのですが……。
嘉村 ええ。
三葉 私の好みは「パターン②」!すなわち……裕福だが人生に絶望した「上流階級の男性」が、「貧しくも素敵な女性」と出会い、輝かしい恋をする物語!
嘉村 ほぉ。
三葉 具体的にはこんな具合です。……主人公は、大富豪の家に生まれたお坊ちゃん。将来は父の跡を継ぐことになっているが、実務は優秀な番頭に任せておけばいい。彼の仕事は「社交」だ。来る日も来る日もパーティに参加し、愛想笑いを浮かべ、お世辞を言われたら謙遜し、謙遜されるのがわかっていながらお世辞を並べ……彼はそんな毎日に退屈していた。まるで操り人形だ。
嘉村 ふむ。
三葉 ところがある日、彼は運命の女性と出会います。それは、貧しいながらも素敵な女性。具体的には……竹を割ったような性格で、人情に厚い。正義感が強く、「弱きを助け強きをくじく」を地で行くタイプ。美人だが化粧っ気はない。オシャレにも疎い。口は悪く、時には手も出る。
嘉村 ふむふむ。
三葉 チャキチャキの江戸っ子で、「てやんでえ!べらぼうめ!」なんて言う女性。
嘉村 ほぉ……。
三葉 ついでに、実家は寿司屋ということにしましょう。
嘉村 ……完全に「こち亀」の擬宝珠纏ですよね。
三葉 そうですね。「祖父母、両親、兄を早くに亡くし、幼い妹(檸檬、蜜柑)のために家業の寿司屋を立て直そうと奮闘するプアな擬宝珠纏」のイメージですね。
嘉村 ふむ。
三葉 主人公はそんな彼女と出会い、恋に落ちる。そして2人は階級差をものともせずにカップルになる。ところが2人の乗る船が沈没し、ヒロインは死んでしまう……そんな物語です。チャキチャキの江戸っ子ヒロインが、いつもウジウジしている主人公の尻を蹴とばしたり……結構面白くなると思うんですよね。
嘉村 なるほど。
三葉 以上、「『タイタニック』風物語」のアイデアをご紹介しました!
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「タイタニック」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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(担当:三葉)
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