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はなこら5人の「人物像」の整理……で、なぜヒバリの人気は爆発しなかったのか?|『あんハピ♪』(7)

 本記事は、アニメ「あんハピ♪」を徹底分析する特集の……第7回(最終回)である★


第1回からご覧になることをオススメします!


今回のテーマ!


 ここまで、作品概要(第1回)を確認した上で、はなこ(第2回)、ヒバリ(第3回)、ぼたん(第4回)、ヒビキ(第5回)、そしてレン(第6回)の人となりをご紹介してきた。


 今回は、本特集の最終回として……主要5人の人物像を整理し、その上で2つの考察を行う!


※主要5人。左からレン、ヒビキ、ぼたん、ヒバリ、はなこ。


主要5人の「不幸」の確認


 まず、詳しい分析を開始する前に、これまでご紹介してきた「5人の抱える『不幸』」をざっと確認しておこう



※「不幸」を抱えた5人。おみくじは、もちろん「大凶」。


主要5人の人物像の比較


 さて、ここからが本番!

 主要5人を、2つの視点で比較・整理してみよう。


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【視点①】「不幸」が日常生活に及ぼす影響の大きさ


 これは、「各自の抱える『不幸』が、日常生活にどれだけマイナスの影響を及ぼしているか」をまとめたものである。

 スコアが高いほど、「『不幸』のせいで、まともな日常生活が送れなくなっている」ことを意味する。



 ご覧の通り、最もスコアが高いのははなこだ。

 彼女は1日に何度も川に落下するなど……まぁ、普通の生活を送るのは不可能だろう。


 次いで、ヒビキ、ぼたん。

 ヒビキは重度の方向オンチゆえに、まともに外出することができない。

 また、ぼたんは日常のちょっとしたことで骨折したり、疲労困憊して倒れ込んだりしてしまうため、やはりまともな生活を送るのは難しそうだ。

 ただしヒビキは、道案内役がいれば問題なく行動できる。また、ぼたんには超人的な回復力がある。

 したがって、「日常生活への影響は大きいが、はなこと比べればマシ」と言えるだろう。


 最後に、ヒバリとレン。

 「不幸」が日常生活に及ぼす影響は、他の3人と比べると軽微なものだ。

 特にレンの場合、そもそも「不幸」と言えるのかすら怪しい。


【視点②】性格的・内面的な「ギャップ」の大きさ


 「ギャップがある」とは、「そのキャラが、大きく異なる顔を持っている」という意味だ。

 「いつもはクズのような不良なのに、雨に濡れる捨て猫は放っておけない少年」なんてのがわかりやすい例である。


 以下のグラフでは、スコアが大きいほど「大きく異なる顔を持っている」ことを意味する。



 ご覧の通り、主要5人の中で「ギャップ」を持っているのは、ヒビキとヒバリだ。

 特にヒビキ!

 彼女の「ギャップ」については、以前の記事で以下のようにご説明した。

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 【アホで、負けん気が強い】のでヒバリを恨むが、【人がいい】ので復讐はできない……という「ギャップ」!

 【人がいい】のでいつの間にかヒバリらと仲よしになっているが、【恥ずかしがり屋で素直になれない】ので、ヒバリらに友だちとして扱われると赤面したり、「敢えてその手に引っ掛かってやろう」なんて訳のわからぬことを呟いてしまったりする……という「ギャップ」!

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 ヒビキには劣るが……ヒバリもまた「ギャップ」の持ち主である。

 彼女は基本的にはしっかり者で、普段はみんなをリードしている。

 一方で、ふとした時に「高1女子らしい行動」をとるのだが……大人びた彼女に「高1女子らしい行動」は恥ずかしいようで、頬を赤らめたり、あるいは色っぽい声で「早くしてよ。恥ずかしいから……」なんて言う。

 このギャップである!


 一方、常時ポジティブシンキング全開のはなこや、感情表現に乏しいレンに「ギャップ」は見当たらない。


 また、いつもおっとり温厚なぼたんもほとんど「ギャップ」のないキャラだが、第4回でご説明した通り、作中1度だけ「彼女らしからぬ行動」をとる。

 たった1度ではあるが印象深いシーンのため、「ぼたんやレンと比べると、ほんの少し『ギャップ』があるキャラ」と判断した。


主要5人の人物像の整理


 続いては……ここまでご覧いただいた2つのグラフを合体してみよう!



 主要5人の立ち位置がなんとなく見えてきたと思うが……よりわかりやすくするために、この図にもう1つ手を加えてみたい。

 すなわち……ぼたんを非掲載にしたいのだ。


 なぜぼたんを除外するのか?

 それは、他の4人が「アレコレ動くキャラ」であるのに対して、ぼたんは「それを見守るキャラ」だからだ。


 象徴的なのは、第10話である。

 第10話は、「ぼたんが夏休みの思い出を振り返りながら日記を書く」という体裁で、主要5人の夏休みの様子がダイジェスト風に描かれる。

 もちろんぼたん自身もはなこらと共に夏を満喫しているのだが……性格的にはおっとり温厚で常識人、身体的には異常に虚弱な彼女は、物語をリードするタイプではなく、かと言って他のキャラを振り回すこともない。

 はなこらのそばでいつも静かに微笑んでいるのだ。


 このように、ぼたんは「他の4人を見守るキャラ」なのだ。

 だから分析にあたっては、彼女を除外した方がわかりやすくなる。

 

 ということで……以下に掲載するのは、前掲の図からぼたんを除いたものである。



【考察①】「あんハピ♪」の基本構造とは?


 さて!

 ここからは、前掲の図をもとに2つの考察を行おう。


 まず、1つ目!

 そもそも……本作のストーリーは、以下のように整理できるだろう。



 つまり、はなこらは「仲よし5人組」だが、そのベースには「はなこ+ヒバリ」、「ヒビキ+レン」という関係があるのだ。


 そこで、「はなこ+ヒバリ」、「ヒビキ+レン」という視点から、改めて前掲の図を見てみよう。



 こうして見ると……「あんハピ♪」がどのような基本構造を持った作品なのか見えてくるだろう。


 そう!

 本作は、「『トラブルメーカーとその保護者』という点では共通しているが、『ギャップを抱えているのはトラブルメーカーの方か?それとも、保護者の方か?』という点で相違している2組のコンビをベースとした物語」なのだ!


【考察②】なぜヒバリの人気は爆発しなかったのか?


 続いて、2つ目の考察!


 ところで……本作には5人の主要キャラが登場するわけだが、あなたのお気に入りは誰だろう?

 はなこ?ヒバリ?ぼたん?ヒビキ?それとも、レン?


※「プリキュア」風の衣装に身を包んだ5人。


 ……ちなみに、私は断然ヒバリ推しである!

 私は「普段はしっかり者だが、ふとした瞬間に照れたりデレたりする」、そんな王道ツンデレキャラが大好きなのだ!


 ところが……である。

 ネット上の声を見ると、ヒバリの人気はいまひとつなのだ。

 主要5人を人気順に並べると、どうも「はなこ → ぼたん、ヒビキ → ヒバリ、レン」になりそうだ。


 私は思うのである!

 一体なぜヒバリの人気は爆発しなかったのだろうか?


 いや、確かにはなこはかわいい。

 あの頭空っぽの笑顔!脳内の巨大なお花畑!「これぞロリ」といった声!

 人気が出るのもよくわかる。


※はなこ。この笑顔である。


 同様に、ぼたんやヒビキだって確かにかわいい!


 ……だが!

 それにしても!

 ヒバリはもっと人気があってよいと思うのだが……。


 ということで、本特集の最後に、なぜヒバリの人気が爆発しなかったのか、考察したい。


※ヒバリ。「らき☆すた」のかがみのようになり得るポテンシャルがあったと思うのだが……。


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 結論から申し上げると……ヒバリの人気が爆発しなかったのは、「ヒビキとレンが登場して以降、ヒバリの印象が薄れたから」だと思う。


 実際のところ、第1~3話あたりでは、ヒバリはそこそこ人気があったように見える。

 ところが、ヒビキとレンが本格的に登場した第4話以降になると……人気が低下してしまったようなのだ。


 要するに「ヒバリは、ヒビキとレンに食われた」のではないかと思うのだが……どういうことか詳しくご説明しよう。


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 上述の通り、ヒバリは「ギャップ」を持つキャラだ。

 そして、第3回で申し上げた通り、この「ギャップ」こそが彼女の最大の魅力だと言えるだろう


 ところが!

 上図の通り、主要5人で最も「ギャップ」が大きいのはヒビキだ。

 したがってヒビキが登場して以来、「ギャップ」キャラとしてのヒバリの印象は薄れてしまったのだ。


※「ギャップ」キャラ・ヒビキ。


 さらに!

 上述の通り、ヒバリは「普段はしっかり者でみんなをリードする」キャラだが……こちらは、レンと比べると見劣りしてしまう。


 なにしろレンは感情表現が乏しいので、いつも冷静沈着に見えるのだ。


 また、たびたび申し上げてきた通り……彼女の「女難」はちっとも「不幸」ではない。

 つまり、弱点がない。

 むしろ、いざという時には多くの動物(メス)がサポートしてくれる。

 じつに心強い。


 象徴的なのが、第11話だ。

 はなこらは、林間学校で山にやってくる。

 そして、授業の一環として「幸福実技・箱庭鬼ごっこ」に参加する。


 生徒らが山の中を逃げ、担任教師・小平先生とウサギ型ロボット(チモシー)がそれを追いかけるのだが……体力も運動神経もからっきしのぼたんは早々にぶっ倒れてしまう。

 そんな彼女を助けるのはヒバリ!……ではない!

 レンである!


 レンは疲労困憊のぼたんと遭遇すると、彼女を横抱き(お姫様抱っこ!)にして隠れ場所を探す。

 途中、ウサギ型ロボットに見つかると……レンは、ぼたんを抱いたまま走って逃げる。

 そして追跡をかわすのが難しいと判断するや、ぼたんを草むらに隠し、ぼたんの身の安全を守るために自身がおとりになる。

 ……じつにカッコいいのである!


※男前のレンと、思わず頬を染めるぼたん。


 対するヒバリは、終始はなこと行動を共にしているが……レンのような見せ場はない(はなこのピンチを救うのはヒバリではなく、小平先生だ)。


※特に見せ場のないヒバリさん……。


※余談:OPや第2話には、「ヒバリが、ぶっ倒れたぼたんをおぶってやるシーン」が登場する。ところが第11話になると、上述の通り、ぼたんを助けるのはレンの役目になるのだ……。


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 このように、ヒバリはヒビキとレンの登場によって印象が薄れ、そして人気も低下してしまったのではないかと思うのだ。

 じつに哀れな話である!!


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 アニメ「あんハピ♪」の研究(全7回)はこれで終了です。ありがとうございました!

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(担当:三葉)

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