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仇を取れ!大切な女のために復讐するのだ!!|『シン・シティ』(3)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「シン・シティ」に登場する「ハード グッバイ」をベースに新しい物語を妄想します。


※【参考】「シン・シティ」の作品概要などはこちら


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。「シン・シティ」は、3つの独立した物語が組み合わさったオムニバス作品です。

嘉村 ええ。

三葉 今回は、3つの物語の内の1つ「ハード グッバイ」のストーリー構造を利用して、新しい物語をアレコレ考えてみましょう!

嘉村 承知しました。

三葉 まずは、「ハード グッバイ」の概要を振り返ります。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。


案①


三葉 さて、以上を踏まえて「『ハード グッバイ』をリスペクトした物語案①」ですが……。

嘉村 はい。

三葉 ズバリ!「童貞の自己犠牲的献身 ~『凄腕ハッカー』編」です。


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嘉村 凄腕ハッカー!

三葉 まずは、「ハード グッバイ」と比較してみましょう。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は30代後半の男性。彼は凄腕のハッカーですが……コミュニケーション能力が欠如していた!そして、ブサイクだった!さらに、メタボだった!女性と接するのが大の苦手で、童貞だった!!

嘉村 怒涛の欠点ですね。

三葉 ある日……主人公は、喫茶店で仕事をしていました。別段、「意識高い系」だの「オシャレエンジニア」だのを気取ったわけではありません。知り合いのいない場所の方が、オフィスよりも仕事がはかどるだけのことです。

嘉村 ふむ。

三葉 さて、超スピードでタイピングしていると……誰かが隣の席に座った。主人公は反射的に「嫌だなぁ……」と思う。人と接するのが苦手な彼です。誰かが傍にいるだけで落ち着かない。主人公は、チラッと隣を見る。そこにいたのは、超絶かわいらしいJKだった。……JK!よりにもよってJK!しかもかわいい!主人公が最も苦手とするタイプの人間です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公は慌てて視線を戻そうとします……が、その時!JKがニコッと微笑み、口を開いた「こんにちは」。主人公の喉が一瞬でカラカラに乾く。一方全身の毛穴という毛穴からは、汗が吹き出す。何しろ……冴えない彼の人生において、かわいらしいJKから微笑まれるなんて初めてのことだったのですから!彼は動揺して混乱する「こっ、こんにちは!?『こんにちは』って何?『お前、どっか行けよ!キモイんだよ!』的な意味だっけ?それとも、『おぅ!ちょっと金貸してくれよ。オレたち、友だちだよなぁ!』的な意味だっけ?」。

嘉村 ……彼のこれまでの人生がいかに悲惨なものだったか、よくわかりますね。

三葉 とまぁ、こうして主人公はJK(以下、Aさん)と出会いました。主人公は最初は戸惑っていたものの、積極的で友好的なAさんのおかげで、次第に楽しくなってくる。口も軽くなる。そして2人は喫茶店を出て、カラオケやレストランを経由して……やがてホテルへ。

嘉村 ……ホテル?

三葉 ええ。かくして、主人公は童貞を脱します。

嘉村 ……出会ったその日に肉体関係を持ったわけですか?

三葉 はい、出会ってからおよそ8時間です。

嘉村 あまりにも拙速な気がしますが……。

三葉 愛の前には、時間なんて関係ありませんよ。

嘉村 なるほど。……でも、相手はJKですよね?

三葉 ええ。17歳のJK2ですね。

嘉村 30代後半の男が17歳と性交か……。

三葉 愛の前には、年齢差なんて関係ないんですよ。

嘉村 ふーむ、なるほど……。

三葉 主人公は感激します「嗚呼、天使だ!この子は、醜いオレを受け入れてくれる天使だ!」。そして2人は連絡先を交換し、翌日も会う約束をして別れるのですが……別れた直後から連絡が取れなくなる。LINEを送っても音沙汰がない。

三葉 ほぉ……。

嘉村 主人公は嫌な予感がする。そして、嫌な予感に限って的中しまうのが世の常です。……主人公と別れた直後、Aさんが道端で何者かに刺殺されていたことが明らかになる。

嘉村 おー……主人公はショックでしょうね。

三葉 ええ。彼の全身を激しい怒りが貫きます「オレの……オレの天使を!よくもやってくれたな!」。彼は復讐を誓う。

嘉村 ふむ。

三葉 そして……彼は凄腕ハッカーですからね。警察やらマスコミやらにハッキングをかけ、情報を集める。やがて真実が明らかになります。すなわち……彼女は売春をしていた。

嘉村 売春……。

三葉 「パパ活」だの「援助交際」だのといった生易しいものではありません。彼女は、大規模売春組織に所属していたのです。組織に属するのは、容姿端麗なJCJK。そして、お客は政財官界の大物です。

嘉村 何やら、「プチエンジェル事件」風の話になってきましたね。


三葉 主人公と出会ったあの日の前夜、彼女は売春をしていました。相手は政界の大物です。そして……彼女は偶然、男が持っていた機密書類を目にしてしまう。

嘉村 機密と言うと……。

三葉 「国内に密かに配備された核兵器に関する情報」とか、「某国の要人暗殺に関わった工作員の実名」とか、そういうレベルの国家機密です。知ってはいけないことを知ってしまった!彼女は恐怖します。それは、国家の理を揺るがす秘密。口封じされるに違いありません。彼女は逃げ出す。しかし……逃げきれるのだろうか?相手は政界のドン。その気になれば、警察を意のままに操って追いかけてくるでしょう。彼女は怯え、願う……「誰か、私を守って!」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そんな時、Bさんは、喫茶店で仕事をしていた主人公を見かけたのです。……いかにもモテない顔つきをしている。しかし、その眼光は鋭い。彼女は、人を見る目があると自負していた「この人なら……きっと私を守ってくれる」。

嘉村 なるほど。「ハード グッバイ」では、命を狙われた女(ゴールディ)が、見るからに屈強な男(主人公のマーヴ)に助けを求めましたが……。

三葉 ええ。現代日本を舞台にするなら、「肉体美を誇るパワー系キャラが大暴れする物語」よりも、「凄腕ハッカーが情報戦を制す物語」の方がリアリティがあるかなと思いまして。

嘉村 確かに。

三葉 さて話を戻しまして……いま、すべてが明らかになった!主人公は一体どうするでしょう?仇を取る?復讐する?しかし……相手は政界のドン。わが国の中枢に位置する人物です。一口に「復讐」といっても、そう易しいものではない。差し違える覚悟が必要でしょう。

嘉村 ふむ。

三葉 ましてや……JKは、用心棒を求めて彼に近づいたのです。そこに愛はなかった。あるのは打算だけ。また、2人が共に過ごしたのはわずか半日程度。性交にしたって1度しただけです。人生を棒に振ってまで復讐する義理はないように見えますが……しかし!主人公はやる!なぜならば、そう!あのJKは、主人公の初めての相手だから!彼を受け入れてくれた唯一の女だから!彼にとっては天使だから!!「相手がどう思っていようが……そんなことは関係ない!」と主人公は考える。「オレにとっては、誰よりも大切な女なのだ!そして、大切な女のために命を捨てる……それが男ってもんだろ!!」。

嘉村 おー!

三葉 かくして主人公は、持てるすべての技術、すべての力を使って政界のドンを追い詰め……ぶち殺す!復讐は成った!しかしその直後、彼は警官に撃たれてしまう。銃弾が心臓を貫く。彼はその場に崩れ落ち、死んだ。警官が死体の顔を覗き込む。驚いたことに、彼は穏やか笑みを浮かべて死んでいた。……で、物語は幕を閉じます。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「童貞の自己犠牲的献身 ~『ただのオッサンだけど全力で頑張る』編」です。


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嘉村 「ただのオッサンだけど全力で頑張る」……。

三葉 ええ。まずは、「ハード グッバイ」との比較表をご覧ください。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、30代後半の会社員。彼は凡人です。「案①」の主人公のような特技なんてない。そして……童貞!

嘉村 ふむ。

三葉 ある日、道を歩いていた時のこと。彼は、群衆の中に初恋の女性(以下、Bさん)を見つけます。一瞬心臓が止まり、続いてバクバクと猛スピードで脈を打ち始めた。彼女と会うのは中学の卒業式以来なので……嗚呼!四半世紀ぶり!主人公は、Bさんを目で追う。少し疲れているように見えるが、美しかった。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公は、人付き合いが得意な方ではありません。「陰キャ」といってもいい。彼は初恋のBさんを一目見れたことに満足して、そっとその場を立ち去ろうとしたのですが……その時、Bさんが主人公に向かってまっすぐに歩いてくる。主人公はどうしていいのかわからず、立ちすくむ。Bさんが微笑みかける「○○くんでしょ?お久しぶり」。……覚えていた!彼女は、オレを覚えていてくれたんだ!主人公はもうそれだけで嬉しい。感激する。大感激です。

嘉村 ほぉ!

三葉 Bさんは楽しそうに思い出話を始めた。そして、主人公の面白くも何ともない話に微笑み、頷いてくれる。「人生最良の日だ」と思う。しかし、彼の「最良の日」はまだまだ終わらない。2人は喫茶店へ移動して話を続け、さらにオシャレなバーを経由して……ホテルへ。かくして、主人公は初めての性交をした。

嘉村 なるほど。

三葉 この後の展開は、概ね「案①」同様です。すなわち……直後、Bさんが殺される。主人公は衝撃を受け、復讐を誓う。そして犯人を追う。とはいえ、何の特技もない彼です。泥臭くヘマを重ねつつ、真相に迫る。そして……Bさんが、20歳も年下のチンピラに入れ込んでいたことが明らかになります。彼女は給与も貯金もすべて貢いでいた。

嘉村 ははぁ……「ヒモ」と「ヒモ付き」って関係ですね。


三葉 Bさんが幸せだったのかどうか……いまとなっては誰にもわかりません。しかし、少なくとも経済的に困窮していました。元凶は、チンピラのギャンブル癖。彼は違法賭博の常連だった。

嘉村 どうしようもない男だ……。

三葉 ある時、彼は兄貴分に借金をした。しかし、返済できなかった。兄貴分は怒り狂う。チンピラは自棄を起こし、半グレ組織の事務所に強盗に入った。大金を隠し持っていることを知っていたのです。彼は金を盗むことに成功する。しかし、すぐにバレる。チンピラはBさんを残し、1人で逃げ出す!半グレ組織の面々はチンピラの行方を追い、Bさんにも近づく。彼女は「どうにかしてお金を用意します!だから、あの人の命だけは助けてあげてください!」と頼み込む。だが、Bさんは期日になっても金を工面できなかった。彼女は逃げ出し……そして、主人公とばったり出会ったのです。

嘉村 ふーむ。

三葉 Bさんは、「ハード グッバイ」や「案①」のヒロイン同様、守ってほしくて主人公に接近しました。とはいえ、「案②」の主人公は凡人です。ずば抜けた身体能力の持ち主ではないし、ハッキング技術のような特技もない。Bさんも、彼が特別な男ではないことはわかっていました。……が、しかし!それでも、Bさんは主人公を頼った。それだけ彼女は追い詰められていたのです。ところが、彼女は犯グレ組織に見つかってしまう。そして嬲り殺された。

嘉村 かわいそうに……。

三葉 すべてを知った主人公は、半グレ組織の連中を皆殺しにせんと決意します。……Bさんは、主人公を愛していたわけではありません。守ってほしくて近づいたに過ぎない。その上、2日は四半世紀ぶりに再会し、わずか数時間を共にしただけです。命懸けの復讐をするほどの義理はないように思える。が、主人公はやる!

嘉村 まさに、「童貞の自己犠牲的献身」ですね。

三葉 ええ、その通りです。しかし、彼は非力です。真っ正面から殴り込みをかけてもあっさり返り討ちに遭うだけでしょう。かくなる上は……彼は、インターネットの情報をもとにダイナマイトを自作。腹に巻きつけると、半グレ集団の事務所に車で突っ込む!そして、ダイナマイトに火をつけた。彼は爆散!半グレ連中も木っ端みじんです。

嘉村 爆散!木っ端みじん!

三葉 ええ。ただのオッサンたる彼には、自爆攻撃くらいしか手がありませんからね。

嘉村 なるほど……。

三葉 こうして彼は、見事大切な女の仇を取ったのでした。……で、おしまいです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上、「『ハード グッバイ』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


続きはこちら!!

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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