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ヒロインにストーカーされ、そして対人スキルの狂った男|『アホガール』(2)

 本記事は、アニメ「アホガール」を徹底分析する特集の……第2回である★


第1回:アホはアホでも彼女のアホは……

第2回(本記事):ヒロインにストーカーされ、そして対人スキルの狂った男

第1回からご覧になることをオススメします!


研究開始★


 前回は、主人公・よしこに注目した。


 彼女は空前絶後のアホである!

 ……で、一口に「アホ」といっても様々なタイプがあるが、よしこの「アホ」の本質は、【1】「異常にポジティブ!!」(すべてを好意的に解釈し、決して悩むことがない)と、【2】「その場の感情や直感のみにしたがって行動する!!」だとご説明した。


 さて……今回注目するのは、本作の主要キャラの1人・阿久津明!!

 彼の(よしこによって破壊された)人となりを見てみよう★


明の基本プロファイル


 明は、よしこの幼馴染である。

 そして、いまは同じ高校のクラスメイトだ。

 成績は学年トップクラスで、不愛想なクールキャラである。


 ……と、これだけ見ると少女マンガのヒーローっぽいのだが、事はそう単純ではない。

 明というキャラの面白いところ、その特殊性をご説明していこう!


【明の特殊性①】明は、よしこを嫌っている


 何よりもまず、彼はよしこを嫌っている!


 2人は幼馴染である。

 アニメやマンガの世界の幼馴染といえば、なんだかんだありつつも、互いを憎からず思っているものであり、愛なり情なりを抱いているもの……だが、明は違う。

 彼は、本気でよしこと縁を切りたいと思っている。


 前回ご説明した通り、よしこはアホだ。

 明は幼い頃から散々振り回され、ひどい目に遭ってきた。それを思えば、彼がよしこを嫌うのも無理ないかもしれない。


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 ……で、だ。

 一方のよしこは明をどう思っているのだろうか?

 これも前回申し上げたが……よしこは明に恋をしている。

 その上、「明は自分を愛している」と勘違いしている。

 明がどれほどよしこを邪険に扱おうとも、よしこは照れや冗談だと受け取る。


 つまり、明からすれば、よしこは「『自分たちは相思相愛だ♥』という妄想を抱いたストーカー」なのだ(ヒロインなのに!)。


【明の特殊性②】明は、人の気持ちがわからない


 明は不愛想なクールキャラだと申し上げた……が、じつはそんなシャレたものではない!

 彼は、クールとは違う。

 人の気持ちをまったく理解できず、相手に寄り添ったコミュニケーションを取ることができないのだ!


 いくつか例を見てみよう。


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例①


 明には妹がいる。その名は瑠璃。


 瑠璃はアホである。

 どれほど勉強しても決して報われない。しかし彼女は努力家である。何度0点を取っても、次こそは次こそは……と勉強を諦めない!!


 そんな瑠璃の誕生日……。

 明が1冊の本を差し出す。

 瑠璃は、「理解しやすい勉強の本とか?」と喜ぶが……それは「お兄ちゃんがリアルに分析!学歴のいらない生き方紹介ブック!」という明お手製の本!!

 瑠璃はショックを受ける。

 しかし明はそれに気づかず、「楽になっていいんだぞ」と微笑む。


 不断の努力家に向かって、「楽になってもいいんだぞ」と微笑む兄……最悪である。


例②


 担任のアラサー女教師に向かって明が一言……「えっ?28歳ってまだ『お姉さん』なんですか?」

 担任は号泣する。


例③


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 明が、いかに人の気持ちを理解できないクソ野郎かご理解いただけたと思う。

 で……問題は、なぜ彼がこんな風になってしまったのかということだ。


 おそらく、原因はよしこにある

 明は、幼い頃からよしこと共にあった……というかストーカーのようにつきまとわれてきた


 よしこは、【1】「異常にポジティブ!!」(すべてを好意的に解釈し、決して悩むことがない)で、【2】「その場の感情や直感のみにしたがって行動する!!」

 そんなアホに24時間365日絡まれてきたのだ!

 そりゃ、人の気持ちを慮ったり、寄り添ったりすることはできなくなるだろう。

 ちょっとでも甘い顔をすると、よしこはどこまでもつけあがる。明が常に警戒心を抱き、攻撃的になるのも無理ないだろう。


 ……かくして、明の対人スキルは壊滅的になったと思われる。


まとめ


「明」というキャラの特殊性


よしこと明の関係性


応用しよう!!


 クリエイターの方へ。

 ここまでご説明してきた「よしこと明の関係性」だが……これは「私たちが普段、比較的よく耳にする犯罪行為・悲劇的な人間関係」をちょっとズラしたものだと思うのだ。


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 ご説明しよう。


 「『自分たちは相思相愛だ♥』という妄想を抱いた男性が、女性(アイドルなどを含む)のストーカーになる」というのは、ちょいちょい聞く話ではないだろうか。

 よしこと明の関係は、この「男女逆転パターン」だ。


 また、「ひどい親に育てられると、子どもの人格が歪む」というのも、誰もが聞いたことのある話だろう。

 よしこと明の関係は、この「幼馴染パターン」(よしこが、いわゆる「毒親」に該当する)と理解できる。


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 本作は、こうした「比較的よく耳にする犯罪行為・悲劇的な人間関係」を少しズラし、それを笑いの源泉にしているというわけだ。

 ……いかがだろう?

 これはヒントになるのではないだろうか。


 例えば最近であれば、「高齢者による自動車事故」や「老親と、長年引きこもっている子ども」あたりが話題性のある「犯罪行為・悲劇的な人間関係」だと思うが……本作を見習って、これらを少しズラしてやると面白い作品が生まれるかもしれないと思うのだ★


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明日に続く★

 明日は、真面目系クズ・瑠璃のアホっぷりに注目します。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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