見出し画像

非リア充の青年が、友を救うべくウィーン少年合唱団ばりの美声を披露して承認欲求を満たす物語!!|『ナポレオン・ダイナマイト』(3)

画像1


テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「ナポレオン・ダイナマイト」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ナポレオン・ダイナマイト」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「ナポレオン・ダイナマイト」は、スクールカースト下位の非リア充高校生が、「皆から認められたい!」という願い(承認欲求)を叶えるまでの物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『ナポレオン・ダイナマイト』 ~『非リア充JKだってミスコンに出たい!』編」、「『ナポレオン・ダイナマイト』 ~『老人だらけのテニスサークル』編」の2案でした。


案③


嘉村 それでは「案③」にまいりましょう!

三葉 はい。「案③」は、「『ナポレオン・ダイナマイト』 ~『田舎町の町長選挙』編~」です。


画像2


嘉村 ほぉ!

三葉 詳細をご説明する前に、「ナポレオン・ダイナマイト」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


画像6


画像7


画像8


画像9


画像10


画像11


画像12


画像13


画像14


三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて「案③」ですが……まずは、「ナポレオン・ダイナマイト」との比較表をご覧ください。


画像14


三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は、日本の田舎町に住む若者です。両親の跡を継ぎ、雑貨屋を経営している。そんな彼は……じつに冴えない男だった!

嘉村 ふむ。

三葉 勉強は不得手で、スポーツも苦手。顔は泥臭く、体格は貧弱。幼い頃からいまに至るまで、周囲の人から小バカにされ続けてきた。特段いじめられているとか、のけ者にされているとかいうわけではありませんが、「変人」、あるいは「一段下の役立たず」と扱われてきたのです。

嘉村 ふーむ……。

三葉 そんな現実に反して……というか、現実がそんな具合だからこそ、彼は人一倍強い承認欲求(「皆から認められたい」という願い)を抱いている。しかし願いは叶わず、今日も彼はボンヤリ店番……。

嘉村 なるほど。

三葉 さて……ある日、1人の移住者がやってきて(以下、Aくん)、主人公と親しくなります。主人公と同世代の若者で、やはり冴えないヤツ!しかし、主人公とAくんには大きな違いがあった。そう、彼はめったやたらと行動的だったのです。すなわち……無謀にも、村一番のイケイケ美女を夏祭りに誘う。拒否されると、すかさず別の女性に声をかける。

嘉村 ははぁ……。

三葉 あるいはこれまた無謀にも、夏祭りのイケメンコンテストに出場する。

嘉村 ふむ。

三葉 さらに新入りにも関わらず、村のカラオケ大会で一番にマイクを握る。さぞ自信があるのだろうと一同期待するが、実際はオンチ。

嘉村 ほぉ。

三葉 とまぁ、そんな具合ですね。

嘉村 なるほど。

三葉 そして、行動的なAくんと一緒にいる内に主人公の毎日も充実してくる。例えば夏祭り。多くの若者が、気になる異性を誘って参加する……が、これまで、主人公には羨ましくも無縁のイベントでした。しかし今年は違う!アクティブなAくんに触発され、彼は初めて女の子に声をかけたのです。お世辞にも美人とは言えない子だが……そんなの関係ない!彼は遅れてやって来た青春を満喫していた。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ……が、それはまやかしの「充実」。なぜなら、彼はAくんのおこぼれにあずかっているに過ぎないのですから。

嘉村 まやかし……。

三葉 ええ。彼が本当に欲しているのは「皆から認められること」。しかしいま、彼はまだ何もしていない。いくら華やかに見えたところで、このままでは彼自身が賞賛される日は永遠にやってこないでしょう。

嘉村 確かに。

三葉 そんなある日……Aくんがふいに町長選挙に立候補する!

嘉村 町長選挙!

三葉 かくして静かな田舎町が、蜂の巣をつついたような大騒ぎになります。というのも、主人公の住む町には4つの名家があり、持ち回りで町長を務めるのが習わしとなっていたのです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そして、今回の選挙で無投票当選する予定だったのは……主人公の元同級生・Bくん。幼い頃から文武両道の人気者。「ちょっと傲慢なところがあるが、それもまた上に立つ人間としては頼もしい」なんて村のうるさ型からも支持されている若者です。

嘉村 つまり、「ナポレオン・ダイナマイト」風に言うなら、「スクールカースト最上位のリア充男子」ですね。

三葉 ええ、その通りです。

嘉村 ふむ。

三葉 Aくんが出馬すると聞き、4名家の面々は仰天し、次いで激昂する「村の秩序を乱す不届き者である!いますぐ、我らが村から追っ払うべし!」。

嘉村 ふーむ……いかにも「閉鎖的な村」って感じですね。

三葉 しかし、Bくんは一笑に付す「お爺様、そしてお集まりの皆さん。いいじゃないですか。出馬したいというならさせましょう。しかし、ご安心ください。この私がコテンパに叩きのめしてやりますから」。一同拍手喝采。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして、町長選はAくんとBくんの一騎打ちになる。選挙運動を経て、いよいよ投票前日の立候補者演説会。まずはBくんの番です。彼は威風堂々素晴らしい演説をする。推薦人も彼をべた褒め。聴衆からは、大きな歓声が上がる。次いでAくんの番ですが……彼の顔は青ざめていた。

嘉村 ほぉ。

三葉 よくも悪くも空気を読まず、不屈の強メンタルを誇るAくんが、初めて見せた気弱な表情……彼は、Bくん陣営の完璧な演説を前に、意気消沈していたのです。

嘉村 ふーむ……。

三葉 なかなか登壇しないAくんに対して、聴衆からヤジが飛ぶ「やる気がないなら帰れ!」「ひっこめ、三下!」……まさにピンチ!このままではAくんの落選は間違いありません。やはりイケメンの陽キャには勝てぬのか!非リア充は負け犬にしかなれぬというのか!……と、その時。主人公が舞台に上がる。司会者は戸惑いつつも、「えーと……応援演説からですね?では、Aくんの応援演説です」。そして主人公は、ゆっくりと歌い出す。

嘉村 歌!

三葉 ええ。

嘉村 ほぉ……。

三葉 アカペラです。

嘉村 なるほど。

三葉 誰もが耳を疑う。主人公は、ウィーン少年合唱団ばりの美声だったのです。あのボンクラ野郎の口から、天使の歌声が……!会場はシンと静まり返り、間もなく万雷の拍手!その後、主人公の歌声に力を得たAくんが登壇し、堂々演説する。そして、Aくんが当選。

嘉村 ほぉ。

三葉 つまり、主人公は友の窮地を救うべく自ら「行動」し、その結果、念願の「賞賛」を得ることができたのでした……で、おしまいです。


案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は、「『ナポレオン・ダイナマイト』 ~『冴えない異世界転生者』編」です。


画像4


嘉村 今度は異世界転生!


三葉 「ナポレオン・ダイナマイト」と比較すると、以下のようになります。


画像5


嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公はある日、トラックに轢かれて異世界に転生する……が、神からチート能力を授かることはありませんでした。

嘉村 ほぉ……。

三葉 「剣と魔法とドラゴンの世界」、「テクノロジーは未発達ながらも、現地の人びとは総じて知的」、そして「チート能力を授かった転生者たち」……主人公の居場所はどこにもない。

嘉村 せっかく転生したのに……。

三葉 しかし、人間食わねば死ぬ。彼は、どうにかこうにか巨大冒険者ギルドの一員に加えてもらいます。

嘉村 よかったですねぇ。

三葉 ええ。とは言え、彼は剣を扱えぬ。魔法もわからぬ。知略に秀でているなんてこともない。かといって料理や洗濯も苦手です。……彼は雑用係として、主に野菜の皮むきに従事していた。

嘉村 ……寂しい異世界転生だ。

三葉 無論、彼だって現状に満足しているわけではありません。せっかく転生したのです。ドラゴンの1匹でも退治して、やんやの喝采を浴びたい。……そう、人並み程度の承認欲求を抱いている。

嘉村 ふむ。

三葉 だが、現実は厳しい。彼は今日もイモの皮を剥いている。……と、そんなある日、ギルドに新メンバー(以下、C氏)が加わります。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公同様に冴えない男。剣術もダメ、魔法もダメ。ギルドのサブリーダーは呆れ果て、「こんなヤツいらねぇよ。またお荷物が増えるだけじゃん」とぼやく。しかし、リーダーは情に厚い男です「まぁ、いいじゃないか。皮むきが2人いたってさ」。

嘉村 なるほど……。

三葉 主人公とC氏は2人とも、「チート能力を授からなかった不幸な転生者」です。また、転生する前から冴えないタイプの男だった。つまり彼らは一見すると似た者同士だったのです……が、1つ大きな違いがある。

嘉村 「C氏はやたら行動的」……ですね!

三葉 その通りです。この後のストーリーは「ナポレオン・ダイナマイト」や、「案①②③」と同じです。C氏と行動を共にする内に、主人公の毎日は充実したものになる。しかし、それはまやかしに過ぎない。

嘉村 ふむ。

三葉 そんなある日、ドラゴン討伐に向かったリーダーと連絡が取れなくなる。どうやら返り討ちにあったようだ……。しからば、次のリーダーを決めねばならぬ。選挙で決めるのがルールだが、特に立候補者がいなければサブリーダーが持ち上がることになる。

嘉村 ふむふむ。

三葉 サブリーダーはやや好戦的すぎるところもありますが、勇猛果敢で、剣の腕はピカイチ。リーダーに相応しいように見える。誰もが「まぁ、彼がリーダーで差し支えないだろう」と思っていた。ところが……ここに、よくも悪くも空気を読めぬ男がいる。そう、C氏です。彼が立候補する。

嘉村 皮むき担当なのに?

三葉 ええ。主にイモの皮むき担当なのに。

嘉村 ……無謀ですね。

三葉 まったくね。分をわきまえぬ男なのです。

嘉村 ……なるほど。

三葉 やがて、立候補者の演説日がやってきます。それまで自信満々だったC氏ですが……何ということでしょう!サブリーダーの堂々たるスピーチを前に萎縮してしまう。嗚呼、残酷!非リア充は負け犬になる運命なのか!……とその時、主人公が登壇し、華麗なパフォーマンスを披露する。歌でもダンスでも、あるいは漫談でも何でもいいのですが……ギルドメンバーから大きな歓声が上がる。つまり……主人公は「行動」したことで、念願の「賞賛」を得た。また、C氏はギルドリーダーに就任した。で、おしまいです。

嘉村 皮むき担当がグッと出世しましたね!

三葉 以上、「『ナポレオン・ダイナマイト』風物語」のアイデアをご紹介しました!


---🌞---

 「ナポレオン・ダイナマイト」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

---🌞---

関連

---🌞---

最新情報はTwitterで★

---🌞---

 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!