こうして彼らは破局した！！｜『セックス・アンド・マネー』（5）

100%ツールズ｜創作の技術

2020年1月15日 19:34

テーマ発表！！

　前回に引き続き、映画「セックス・アンド・マネー」に登場する「クリスティーンの物語」をベースに新しい物語を妄想します。

※【参考】「セックス・アンド・マネー」の作品概要などは → こちら

妄想開始！

嘉村　それではまいりましょう！

三葉　はい。「セックス・アンド・マネー」は、40代女性のリアルな日常を描いた群像劇です。

嘉村　ええ。

三葉　そして、「群像劇」というからには作中に複数の物語が登場するのですが……その内の1つが「クリスティーンというキャラにまつわる物語」。今回は、この「クリスティーンの物語」のストーリー構造を利用して、新しい物語をアレコレ考えてみましょう！

嘉村　承知しました。

三葉　まずは、「クリスティーンの物語」の概要を振り返ります。

三葉　……ですね（より詳しくは前回の記事で）。

嘉村　ふむふむ。

案①

三葉　さて、以上を踏まえて「『クリスティーンの物語』をリスペクトした物語案①」ですが……。

嘉村　はい。

三葉　「クリスティーンの物語」を、日本の高校生カップルに当てはめてみましょう。すなわち……「高校生カップルが破局するまでの物語」です。

嘉村　ほぉ！

三葉　主人公はJKです。彼女には、素敵な恋人（以下、Aくん）がいました。

嘉村　ふむ。

三葉　2人が恋人同士になってからおよそ半年。しかし、彼らが交際していることはごく一部の人しか知りません。主人公が、「恥ずかしいから……みんなには秘密にしようよ」と頼んだのです。

嘉村　あー。高校生あたりだと、こっそり付き合っているカップルも少なくありませんよね。

三葉　Aくんは、「オレはどちらでもいいけど、まぁ、きみがそう言うなら（……っていうか恥ずかしがる彼女もかわいいな♡）」ということで了承したのです。

嘉村　ふむふむ。

三葉　デート前もデート中も、主人公はいつも周囲の目を気にしています。「○○遊園地かぁ……ちょっと危険じゃない？□□ちゃんカップルあたりがいそうだよ。遊園地は止めておこう」「あっ、待って待って！あそこに△△くんたちがいる！戻ろ、戻ろ！駅に戻ろう！」なんて具合ですね。

嘉村　なるほど。いかにも高校生カップルという感じで初々しいですね。

三葉　また、主人公は勉強が不得手です。国語や社会はまだ救いようがあるものの、理系科目は壊滅的だった。

嘉村　ほぉ。

三葉　とは言え、根は真面目な子です。いつも真剣に授業に臨む……ものの、開始5分で睡魔に襲われる。宿題だってちゃんとやろう……とは思うものの、やはり睡魔には勝てぬ。かくして先日の中間試験では、ついに2点を取ってしまった。

嘉村　2点！？

三葉　はい。100点満点中の2点です。

嘉村　ふーむ……。

三葉　主人公は半べそをかきながら、Aくんに「どうしよー！困ったよぉー！助けてよぉ！」。彼女は慰めてほしかった。

嘉村　「頭ポンポン」ってヤツですね。

三葉　ええ、そうですね。ポンポンしてほしかった。あるいは、ギュッと抱き締めてもらいたかった。

嘉村　なるほど。

三葉　ところが、Aくんは「助けてやりたいけれど、結局最後はきみが自分で勉強をするしかないんだよ」。主人公は食い下がる「そんなこと言わないで……ねっ、一緒に勉強しよう♡」。「うーん……すぐ雑談になってしまうからなぁ。勉強は1人ですべきだよ」「えー！勉強教えてよぉ！」「わからないことがあるなら、先生に質問するべきだよ。その方が効率的だ」。

嘉村　まぁ、正論ですが……。

三葉　また、主人公はAくんと同じ大学に進学したいと思っていました。しかしAくんは、「きみは勉強が好きじゃないだろ？無理に進学する必要はないと思うよ」。「嫌だよ！Aくんと同じ大学に行きたいよ♡」「うーん……自分の進路だからさ、真剣に考えるべきじゃないか」。

嘉村　紛うことなき正論ですねぇ。でも、ちょっと冷たい気もしますね……。

三葉　ここでネタばらしをしましょう。すなわち……当初、Aくんは主人公の穏やかなところや、アホっぽいところに魅力を感じていました。「穏やかで癒されるなぁ♡アホなところもかわいい♡」という具合ですね。しかし半年ほど付き合う内に、人の目ばかり気にしているところや主体性のなさ、そしてガキ臭いところにうんざりするようになった。

嘉村　あー……。

三葉　一方、主人公はどうか？当初彼女は、Aくんの大人っぽいところに魅かれていました。しかしいまでは、「なんで私の気持ちをわかってくれないの？なんでそんなに冷たいの？本当に愛してくれているの？」と不満を感じている。

嘉村　ふーむ……。

三葉　既にお気づきかと思いますが……主人公はずっと前から主体性がなく、ガキ臭い子でした。一方、Aくんは人の気持ちに寄り添うのが苦手な人でした。そう、彼らの性格自体は変わっていないのです。変わったのは、「相手を見る目」。元々ポジティブに感じていた部分が、いまではネガティブにしか見えなくなっている。

嘉村　なるほど。

三葉　そして一度こうなると、もう一緒にいるのは難しい。かくして2人は破局を迎えたのでした。……で、物語は幕を閉じる。

案②

嘉村　続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉　はい。「案②」では、「クリスティーンの物語」を社会人カップルに当てはめてみましょう。すなわち……「結婚直前の社会人カップルが破局するまでの物語」です。

三葉　主人公は、20代後半の女性です。彼女には同い年の恋人（以下、B氏）がいる。そして2人は、半年後に結婚を控えていた。

嘉村　ふむ。

三葉　さて、まずは主人公の人となりをご紹介しましょう。彼女は……ドジっ子だった！

嘉村　ドジ！

三葉　それも、並みのドジっ子ではありません。ちょっと驚くほどのドジっ子です。例えば、2人が付き合い出して間もなくのこと。主人公は、B氏に手料理をふるまおうと考えた。B氏はオムライスが好きだという。主人公は張りきる「よーし、お手製オムライスで彼をメロメロにしてやるぞ！」。事前に買い物を済ませ、いよいよ彼がやってくる。さぁ、調理スタートだ。そして冷蔵庫を開けると……「しまった！卵は卵でもウズラの卵を買っちゃった！」。

嘉村　それは……なかなかのものですねぇ。

三葉　あるいは、B氏の誕生日のこと。たまには豪勢な食事をしようということで、主人公がレストランを予約した。そして当日、2人がレストランに到着すると……ウェイターが困惑する「お客様、20名様分のご予約を承っておりますが……」。主人公は慌ててスマホを確認する「しまった！確かに私、20人で予約してる！」。

嘉村　……。

三葉　さて、話を戻しまして……ある日のことです。2人は、結婚式のプランについて相談していました。主人公はアレコレ理想を語る。一方、B氏は現実的です「なるほど。きみの希望はよくわかった。でも、できるだけ無駄は省くべきだと思うんだ」。主人公はカチンとくる「無駄……？」。B氏は引き続き冷静に、「例えば、テーブル装花だけどさ」「うんうん！ゲストのみなさんのテーブルの上には、豪華なお花がほしいわよね！わざわざご列席くださるんだから、華やかにお迎えしたいわ！」「うーん……じゃあ、それはいいとしてさ。僕たちのテーブルの上はどう？もっとシンプルでいいんじゃないかな？」。主人公は肩をすくめる「嫌よぉ！一生に一度のことよ。豪華にしたいわ」。B氏も肩をすくめる「しかし、ただの花に5万円は高すぎるよ。新生活はいろいろ物入りなんだからさ、お金は合理的に使うべきだよ」。主人公は再びムッとする「……合理的？」。

嘉村　あー……。

三葉　あるいは、ウェディングドレスを選ぶ時。主人公はカタログを見て、「わぁ！私、これがいいわ！どう思う？」。B氏が覗き込む「どれどれ」。そして、「いやぁ……どうかな」。主人公はカチンとくる「何よ。ダメ？」。「ダメと言うか……似合わないだろ」「どうして？」「だってコレ、巨乳の人向けのデザインだよ」「……何それ」「ん？」「バカにしてるの！？」「違うよ」「どうせ貧乳ですよ！」「違うって。落ち着けよ。何しろ、一生に一度のことだろ。よく似合うドレスを着てほしいんだ。だからまじめに答えたんじゃないか。おいおい、泣くなよ。人間の価値は胸のサイズで決まるわけじゃあるまいし……」。

嘉村　うーむ……。

三葉　さらにまた、列席者を選定する中でも2人の性格差が如実に表れる。主人公は「ゼクシィ」などを読み漁り、誰を呼ぶべきか頭を悩ませていた。「あの人を呼んでこの人を呼ばないと角が立つし……」という具合ですね。一方、B氏は無関心です。「人数調整が必要なら、オレの友だちをカットしていいぞ。親戚をざっくり減らしてもいい」なんて言う。主人公はイラッとする「そんなことできるわけないでしょ。無責任なこと言わないで！」。

嘉村　なるほど。

三葉　さて、ここで整理しておきましょう。……主人公は元々、「頼りになる人だわ♡」とB氏に魅力を感じていました。しかしいまでは、「ホントに鈍感！もう少し人の気持ちを考えなさいよね！」とイラついている。一方B氏は、主人公のドジなところや真面目なところに好意を抱いていた。ところが現在は、「いつまでもガキっぽいな！」「人の目ばかり気にして……自分ってものがないのかよ！」とうんざりしている。

嘉村　ふーむ……。

三葉　かくして2人は、結婚を前に破局するに至ったのでした。……で、おしまいです。

嘉村　ふむふむ。

三葉　以上、「『クリスティーンの物語』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました！

続きはこちら！！

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