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異世界に転生しても、やっぱり元カノの前ではカッコつけたいよね!!|『シン・シティ』(5)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「シン・シティ」に登場する「ビッグ ファット キル」をベースに新しい物語を妄想します。


※【参考】「シン・シティ」の作品概要などはこちら


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。「シン・シティ」は、3つの独立した物語が組み合わさったオムニバス作品です。

嘉村 ええ。

三葉 今回は、3つの物語の内の1つ「ビッグ ファット キル」のストーリー構造を利用して、新しい物語をアレコレ考えてみましょう!

嘉村 承知しました。

三葉 まずは、ビッグ ファット キル」の概要を振り返ります。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。


案①


三葉 さて、以上を踏まえて「『ビッグ ファット キル』をリスペクトした物語案①」ですが……。

嘉村 はい。

三葉 ズバリ!「元カノにカッコ悪いところは見せられないぜ! ~『異世界転生』編」です。


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嘉村 ほぉ!

三葉 まずは、「ビッグ ファット キル」と比較してみましょう。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、男性の異世界転生者。そして舞台は異世界。……そう、これは「異世界転生もの」のアイデアです。


三葉 多くの「異世界転生もの」では、転生者は神から特別な能力を授かります。「案①」の主人公も例外ではありません。彼は、「チート能力」というほどではないものの……そこそこ強力な攻撃魔法を授かった。

嘉村 ふむふむ。

三葉 また……多くの転生者は何らかのギルドに属し、仲間と共に暮らすようですが、彼は一匹狼であることを選びました。人嫌いというわけではありません。しかし、1人の方が気楽でいい。それに、せっかくの異世界です。あちこち冒険してみたい。一匹狼で気の向くままに旅してやろうと考えたのです。かくして彼は、各地で「人を襲うスライムを駆逐する」といったクエストをこなし、その報酬で街から街へと旅を続けていました。

嘉村 「ぶらり異世界の旅」、あるいは「異世界さんぽ」……いいですね!楽しそうだ。

三葉 さて、そんなある日のことです。主人公は、新しい街に到着しました。そして、驚くべき出会いを果たす。あっ、あれは!すぐに向こうも気づきます「あーっ!なんであんたがここにいんのよ!」。……それは、転生前にしばらく恋人関係だったことのある女性、つまり元カノ(以下、Aさん)でした。「お前こそ、どうして!?」「『お前』って何よ!馴れ馴れしいわね!ふん!」。

嘉村 つまり……元カノもまた異世界に転生していたと?

三葉 ええ。

嘉村 そして、主人公と元カノはばったり再会を果たした……。

三葉 その通りです。

嘉村 すごい確率だ……。

三葉 Aさんは舌打ちをする「ああ、もう!こんなところで会うなんて、どんな腐れ縁よ!さっさとどっかに行ってよね!」。主人公は肩をすくめる「おいおい、いま着いたばかりだぜ。せめて2~3日は休ませてくれよ」「ダメ!退去を命じます!」「何だよ、それ。お前の街じゃあるまいし」「ふん!確かにここは私の街ではないけれど、私にはこの街を守る義務があるの!」「ん?」「何を隠そう、この街の防衛を委託された戦士ギルドのリーダー、それが私よ!」「戦士ギルド!?」「ええ、女性戦士ばかりのギルドなの」「ほぉ……」「つまり、ギルドメンバーからも街の人びとからも信頼されてるってわけよ」「そりゃすごい」「まっ、まぁね!……で、あんたは?何してるのよ?」「オレは気ままな一匹狼さ。この世界を旅している」「……つまり、無職ってわけね」「いや、無職じゃなくて……」「昔からあなたってそうよね。1人だけ飄々としちゃって!」……とまぁ、そんな乱暴なことを言うAさんですが、何も本当に主人公を悪く思っているわけではありません。主人公も同様です。2人は一度は破局した仲ではありますが、いまもってお互いを憎からず思っていた。

嘉村 なるほど。

三葉 その後、Aさんは主人公を宿屋に案内してくれる。宿のオーナーは、「Aさんのお知り合いですか。これはこれは!」と愛想よく微笑み、主人公を最上級の部屋に通す。主人公は躊躇する。懐が寂しいのだ。しかし、オーナーは笑う「お代?そんなものは結構ですよ。いつもAさんにはお世話になっているんでね」。Aさんは、「どんなもんよ!」といった風に仁王立ちして見せる。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、その晩のことです。主人公とAさんが夕飯を共にしていると……ギルドメンバーが小走りにやってくる。彼女は平静を装っているが、その目は血走っていた。彼女は、Aさんの耳元で何事か囁く。Aさんの顔色がさっと青ざめる。いつも自信満々のAさんが、だ。これはただ事ではない。Aさんが立ち上がる。主人公も後に続く。「あんたはここにいて!」「いや、オレも行くよ」「いいから!」「何だかわからぬが、緊急事態なんだろ?オレを説得する暇があったら急いだ方がいい」「あんたってヤツはまたそんなことを言って……わかったわ!勝手にしなさいよ!」。彼らは駆け出す。

嘉村 一体何があったのでしょうね。

三葉 ここで、ネタばらしをしてしまいましょう。……街の外を巡回警備していた数人のギルドメンバーが、突如ドラゴンに襲われたのです。彼女らは必死に抵抗し、やがてドラゴンを仕留めた。一同無事だった。ホッとする。ところが死骸をよく見ると……嗚呼、何ということか!それは、異世界人が「聖なる生き物」として崇める神竜だったのです!

嘉村 神竜……。

三葉 ええ。異世界には、「神竜を傷つけると災いが降りかかる」という伝承がある。ましてや、殺すなんて絶対のご法度です。ギルドメンバーがドラゴンを殺してしまったと聞けば、街の住民は驚き、怯え、怒るでしょう。当然、Aさんらギルドメンバーと、街の住民との信頼関係は崩れ去る。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公らは、殺害現場に到着します。巨大な神竜が死んでいる。Aさんは、唇をきつく噛みしめる。そして呟く「困ったわ。これは……本当に困ったわ……」。街の住民からの信頼を失えば、Aさんらは任を解かれ、街を追放されることになるでしょう。しかし、彼女らは女性ばかりのギルド。中には、妊婦や幼い子供を抱えている者もいる。落ち着いて暮らせる生活拠点を失うわけにはいかないのです。

嘉村 なるほど。

三葉 さぁ、元カノのピンチです!「元」であって「現」ではない。しかし、いまも憎からず思っている相手。カッコ悪いところは見せられぬ!というか、カッコいいところを見せたい!……かくして、主人公が口を開く「オレに考えがある」。Aさんらの視線が主人公に集まる。「幸い、街の住民はまだこの騒動に気づいていないようだ。神竜の死骸を谷底に捨てるといい。それで解決だ」。Aさんが口を開く「つまり……もみ消すってこと?」。「ああ、そうだ。きみらは街に戻れ。いつまでもこんなところに集まっていたら、住民から怪しまれる。死骸はオレが捨ててこよう」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公は、「私も行くわ。私には責任がある。……っていうか、あんたに任せきりなんて不安だわ!」と言うAさんと2人で死骸を捨てに行きます。ところがその途中、ふいに攻撃を受ける。慌てて応戦する。敵の正体は……ならず者集団だった。

嘉村 ならず者……?

三葉 ええ。彼らは街を襲撃し、金品を強奪せんとしていた。しかし、Aさん率いるギルドが邪魔です。彼女らは強い。真っ正面からぶつかるのは避けたい。何か策はないかと首をひねっていたのです。

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三葉 そんなならず者集団にとって、今回の事件は絶好のチャンスです。神竜の死骸を奪い取り、それを街に届ける。住民はAさんらを追放するに違いない。あとは楽勝です。非力な住民なぞあっという間に蹴散らせる。……こうして、「『主人公+Aさん』 v.s 『ならず者集団』の死骸争奪戦」が始まったのです。

嘉村 ほぉ!

三葉 主人公らは、苦戦しつつも最終的には死骸を谷底に捨てることに成功する。そして、ならず者連中も返り討ちにする。主人公は、元カノの前で十二分にカッコつけることができたのでした!……というところで、物語は幕を閉じます。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「元カノにカッコ悪いところは見せられないぜ! ~『ゲイの殺し屋』編」です。


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嘉村 ゲイの殺し屋……?

三葉 ええ。まずは、「ビッグ ファット キル」との比較表をご覧ください。


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三葉 さて、「ビッグ ファット キル」も「案①」も「主人公(男性)が、『元カノ(女性)にカッコ悪いところは見せられぬ』と奮闘する物語」ですが……。

嘉村 ええ。

三葉 これ、必ずしも「男女の物語」である必要はないと思うんですよ。

嘉村 と言うと……?

三葉 例えば、ゲイカップルの物語。「主人公(男性)が、『元パートナー(男性)にカッコ悪いところは見せられぬ』と奮闘する物語」とか。

嘉村 あー、確かに。

三葉 そこで「案②」ですが……「主人公」は、一匹狼の殺し屋。対する「元パートナー」は、弱小暴力団の組長(以下、B氏及びB組)。2人とも男性です。

嘉村 ほぉ。

三葉 彼らは、刑務所の中で出会いました。そしてカップルになる。出所後もしばらく関係は続いていましたが……一方は孤独なフリーランス。もう一方は、少数ながらも子分を率いる組織人。どうしたって価値観はズレる。そしてすれ違う。やがて疎遠になってしまった。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて……B氏が率いる弱小暴力団は、とある広域暴力団の傘下に入っていました。企業でいうところの「親会社」と「子会社」の関係ですね。

嘉村 ふむ。

三葉 「B組 = 子会社」は、商売にしろ抗争にしろ「広域暴力団 = 親会社」のパワーに依存しているところが大きい。つまり、広域暴力団は、B組にとってなくてはならない存在なのです。まぁ、その代わりに少なからぬ上納金を納めているわけですが……それはともかくとして。

嘉村 ええ。

三葉 そんなある日、B組は窮地に陥ります。事の発端は……B氏の子分が、妙にデカい顔をしているチンピラを街で見かけた。気に食わぬ。ここはB組の縄張りである。チンピラに声をかける。生意気にも反抗的だ。ちょっと痛めつけてやろうと思った。ぶん殴る。するとチンピラはひっくり返り、アスファルトに頭を打った。そして……嗚呼、何と不運なことか!打ち所が悪く、そのまま死んでしまったのです。B氏は舌打ちをする。厄介ごとを起こしやがって。しかし、話は単なる「厄介ごと」では済まなかった!身元を確認すべくポケットを探ると……そのチンピラは、広域暴力団の組長の縁者だったのです。B氏の顔が青ざめる。事故とは言え、「広域暴力団 = 親会社」の「組長 = 社長」の身内の者を殺してしまったのです。一体この先どうなるか……考えるだけで恐ろしい!小指を落とす?いや、そんなものでは収まらない。破門された上、莫大な慰謝料を請求され、さらに命を狙われるに違いない。それがヤクザのケジメというものです。

嘉村 恐ろしい……。

三葉 そこへ偶然通りかかったのが……そう、我らが主人公・一匹狼の殺し屋!話を聞けば、「元カノ」ならぬ「元パートナー」のピンチだと言う。すれ違いの果てに破局したとはいえ、彼はいまもB氏を憎からず思っていた。そんなB氏の前である。カッコつけたい!……主人公は言う「秘密裏に遺体を処分するのだ!」。

嘉村 なるほど。

三葉 あとは、「案①」と概ね同様の展開です。主人公とB氏が死体を処分しに向かう途中、何者かに襲撃を受ける。相手は……半グレ集団!彼らは、前々からB組を快く思っていなかった。彼らがいるせいで、街で大きな顔ができぬのだ。しかしB組のバックには、広域暴力団がついている。迂闊には手出しできない。

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三葉 ところが……いま、千載一遇のチャンスが訪れた!死体を奪い取り、それを広域暴力団に差し出すのだ。そうすれば、広域暴力団とB組の関係は破綻する。広域暴力団さえいなければ、B組なんて恐るるに足らずだ!

嘉村 ふーむ。

三葉 こうして、「『主人公+B氏』 v.s 『半グレ集団』の死体争奪戦」が始まります。両者ドスを抜くわ、拳銃をぶっ放すわ、果ては手榴弾やロケットランチャーまで持ち出して、文字通り血みどろの争いとなる。しかし、最終的には主人公らが勝利。死体を処分し、おまけに半グレ集団もぶちのめす。かくして、主人公は元パートナーの前で存分にカッコいいところを見せることができたのでした!……で、おしまいです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上、「『ビッグ ファット キル』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!



続きはこちら!!

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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