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僕らは失恋し……とんでもないことになった!!|『ミスティック・リバー』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「ミスティック・リバー」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ミスティック・リバー」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「ミスティック・リバー」は、とある事件に巻き込まれ、心に大きな傷を負った少年3人の「その後の人生」を描いた物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『ミスティック・リバー』 ~『大震災』編」、「『ミスティック・リバー』 ~『血に飢えた獣』編」の2案でした。


案③


嘉村 それでは「案③」にまいりましょう!

三葉 はい。「案③」は、「『ミスティック・リバー』 ~『犯罪者の血脈』編」です。


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嘉村 犯罪者の血脈……?

三葉 詳細をご説明する前に、「ミスティック・リバー」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて……「案③」!「ミスティック・リバー」と比較すると以下のようになります。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は4人兄弟です。

嘉村 ほぉ。

三葉 彼らが幼い頃、「第1の事件」が起きた。すなわち……彼らの両親が逮捕されたのです。罪状は振り込め詐欺。そう、両親は詐欺師だった!4人はショックを受ける。嗚呼、僕たちのお父さんが犯罪者だったとは!優しく美しいお母さんが罪人だったとは!彼らは、心に深い傷を負いました。

嘉村 ふーむ。まぁ、両親が犯罪者となるとねぇ……。

三葉 その後、4人は「この事件に影響を受けた人生」を歩むことになります。「この事件が彼らの人格を形成し、人生を決定した」と言ってもいいでしょう。

嘉村 ふむふむ。

三葉 まずは、キャラA(長男)。

嘉村 はい。

三葉 両親が詐欺師だと判明した時、彼は体を震わせた!「カッコいい……マジカッコいい!夫婦でタッグを組んで、10億円以上を荒稼ぎって……父ちゃん、マジ最高だぜ!母ちゃん、マジクールだぜ!」。かくして、彼は「詐欺師」になりました。彼の目標は、両親のような夫婦詐欺師として活躍することです。

嘉村 ははぁ……。

三葉 続いて、キャラB(次男)。

嘉村 ええ。

三葉 両親が詐欺師だと判明した時、彼は体を震わせた!「情けねぇ……マジ情けねぇ!詐欺だと!?カーッ、チンケだぜ!オレはもっとデカい男になる!」。かくして、彼は「強盗犯」になりました。有能な仲間とチームを組み、銀行やら大企業やらの金庫をいくつも破ってきた。

嘉村 なるほど……。

三葉 そして、キャラC(三男)。

嘉村 ふむ。

三葉 両親が詐欺師だと判明した時、彼は体を震わせた!「恥ずかしい……オレはいま猛烈に恥ずかしい!両親が、お天道様の下を大手を振って歩けぬクズだったとは!嗚呼、悪は滅すべし!」。かくして、彼は「警官」になりました。そして「どんな小物であろうとも悪は悪!断じて見逃せぬ!」と、容赦なく鉄槌を下した。裏の世界で生きる者は彼を「死神」と呼び、恐れている。

嘉村 ほぉ……。

三葉 最後にキャラD(四男)。

嘉村 ええ。

三葉 両親が詐欺師だと判明した時、彼は体を震わせた!そして嘔吐した。ゲロゲロ吐いた。

嘉村 ……ん?

三葉 彼は叫ぶ「僕は汚い!今日まで、人様を悲しませ、人様から奪い取った金で育てられてきたんだ!嗚呼……僕は汚い!僕は汚れている!」。彼はリストカットを繰り返し、通院するようになる。そして、「摂食障害」「解離性障害」などいくつかの病名が与えられた。彼はいま「ニート」です。

嘉村 ふーむ……。

三葉 そして「第1の事件」から10年後、「第2の事件」が起きます。ある日……A氏のもとに、いまだ服役中の父から手紙が届いたのです。父曰く、「これまで誰にも言ったことのない隠し財産の在り処を、ここに記す。現金で3億円ある。お前たち4人でいいように使ってくれ。出所後再び仕事を始める際の資金にしようと思ってこれまで黙っていたのだが、母さんも死に、すっかりその気がなくなってしまった」。彼らの母は昨年獄死。それ以来父はすっかり気弱になってしまったのです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして、A氏は隠し場所に向かった。しかし……そこには何もありませんでした。A氏は激昂する「犯人は、弟たちの中にいるに違いない!無断で親の財産に手をつけるとは何事か!」。彼は、3人の弟を呼び出す。

嘉村 ふむ。

三葉 こうして「詐欺師」「強盗犯」「警官」「ニート」の4人が、10年ぶりに顔を合わせることになった。彼らが一堂に会してトラブルが起きぬはずもなく……というのが「案③」です。


案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は、「『ミスティック・リバー』 ~『失恋』編」です。


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嘉村 今度は失恋!

三葉 まずは、「ミスティック・リバー」との比較表をご覧ください。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、高校の仲よし4人組です。いつも4人で集まってはダベっている。戯言を弄したり、両親や教師の悪口を言ったり。そして……彼らは16歳!もちろん恋の話だってします。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ある日、キャラAが腹を決める「オレ……Eさんに告白するよ!」。キャラB、C、Dが笑う「やっとかよ!」。AくんとEさんは幼馴染で、誰の目にも相思相愛に見えた。2人は恋人同士だと誤解している者も少なくない。3人は、「とっとと告白しろよ!Eさんが痺れを切らしちまうぞ!」と心配していたのです。

嘉村 なるほど。

三葉 Aくんは、Eさんを校舎裏に呼び出しました。B、C、Dくんは草むらに隠れ、様子をうかがう。晴れてカップルになった暁には、飛び出して行ってAくんを胴上げしてやろうという算段です。

嘉村 ふむ。

三葉 そして告白!すると……嗚呼、何ということか!Aくんは振られてしまった!さらにEさんが追い打ちをかける「ハァ?告白とかキモいんですけど!私ら、ただの幼馴染っしょ。勘違いしないでよね!死ね!」。

嘉村 ええっ……。

三葉 4人は愕然とする「まさか……そんな!」。彼らは心に深い傷を負ったのでした。

嘉村 あー……。

三葉 彼らはこの事件をきっかけに疎遠になり、そしてその後、それぞれ「事件の影響を受けた人生」を送ることになります。

嘉村 ふむ。

三葉 まずはAくん。彼は「女嫌い」になった。「ミソジニー」というヤツですね。


三葉 女性を嫌い、女性を厭う。女性が近づいてくると露骨に顔をしかめ、舌打ちする。Twitterやらネット掲示板やらにヘイトを書き連ねるのが日課です。

嘉村 ふーむ……。

三葉 続いてBくん。彼は「DV男」になった。女は総じてクズである。殴り、そして蹴り、自らが劣等種であることを体に覚え込ませねばならぬ!

嘉村 過激すぎるでしょ……。

三葉 そしてCくん。彼は「ゲイ」になった。正確には、「あの日を境に、自らがゲイであることを自覚した」というべきでしょうか。彼は、AくんやBくんのように女性を嫌っているわけではありません。性の対象ではないというだけで、むしろ女性には仲間意識を持っている。

嘉村 ほぉ。

三葉 最後にDくん。彼は「女性崇拝者」になった。「フィロジニー」というヤツですね。女性は、すべからく女神もしくは天使である!崇め、敬い、奉るべき対象だ!

嘉村 うーん……これはこれで過激ですねぇ。その内、「女王様、私を鞭で打ってください!」とか言い出しそうだ。

三葉 確かに。

嘉村 ふむ。

三葉 さて、「第1の事件」から10年後……「第2の事件」が起きます。すなわち、Aくんを振ったEさんが何者かに殺されたのです。

嘉村 ほぉ!

三葉 ニュースで事件を知った4人は、居ても立ってもいられない。どう考えても、Aくんが怪しい!いや、Bくんが犯人にも思える!いやいや、Cくんだって心の内は知れない!無論、Dくんだって疑わしい!彼らはEさんの葬儀で顔を合わせ、誰ともなしにカラオケボックスに移動する。そして、「お前が犯人だろ!」「お前こそ、アリバイはどうなんだよ!」と喧々諤々の議論が始まったのでした。……これが「案④」です。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『ミスティック・リバー』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 「ミスティック・リバー」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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