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僕らは「同じ日に心が壊れた仲間」!!|『ミスティック・リバー』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ミスティック・リバー」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ミスティック・リバー」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ミスティック・リバー」は、とある事件に巻き込まれ、心に大きな傷を負った少年3人の「その後の人生」を描いた物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ミスティック・リバー」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて「案①」は……ズバリ!「『ミスティック・リバー』 ~『大震災』編」です。


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嘉村 大震災!

三葉 「ミスティック・リバー」と比較すると以下のようになります。


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三葉 「ミスティック・リバー」では、「第1の事件」の25年後に「第2の事件」が発生するのですが……。

嘉村 ええ。

三葉 では、「2020年(今年)の25年前に何があっただろう?」と考えてみると、阪神淡路大震災なんですよ。そこで「案①」は、阪神淡路大震災の被災者を主人公にしました。

嘉村 なるほど。

三葉 まず、震災直後の荒廃した街で、キャラC(当時11歳)が性的暴行を受けます。間もなく犯人は逮捕されますが……キャラCとその友人A、B(同じく11歳)の心には深い傷が残った。そしてその後、3人は「この事件に影響を受けた人生」を歩むことになります。「この事件が、彼らの人格を形成し、人生を決定した」と言ってもいいでしょう。

嘉村 ふむふむ。

三葉 では、どんな人格になり、どんな人生を歩んだのか?……「案①」では「ミスティック・リバー」の設定を流用してみましょう。

嘉村 承知しました。

三葉 すなわち……事件を受け、キャラAはこう考えた「この世は弱肉強食だ!強くなければ生きていけねぇ!」。彼は不良になり、喧嘩に明け暮れた。高校卒業後はラーメン屋で修業を積み、腕を磨いた。そして独立。いまは3つのラーメン屋を経営し、妻子を養っている。とはいえ、丸くなったわけではない。いまでも、彼の眼光は鋭い。

嘉村 なるほど。

三葉 一方、キャラBはこう考えた「許せねぇ!悪は許せねぇよ!断じて見逃せねぇ!」。彼は学業やスポーツに励み、優秀な成績で大学を卒業。そして刑事になった。

嘉村 ふむふむ。

三葉 最後にキャラC。直接の被害者である彼は、いまもフラッシュバック(ふいに当時の記憶がよみがえり、自分がいま事件の真っただ中にいるように感じること)や、「自分が自分ではない感覚」(解離性障害)に悩まされている。そのせいで、突然意味不明なことを口走ったり、うつろな目をしたりすることがある。

嘉村 周囲の人は驚き、不審がるでしょうねぇ。

三葉 そうですね。

嘉村 ふむ。

三葉 そして25年後……再び大震災が発生!キャラAの1人娘が何者かに殺される。

嘉村 ふむふむ。

三葉 「強い男」たるA氏は誓います「絶対許さん!犯人を見つけ出し、この手でぶち殺す!」。彼は昔の仲間を集め、捜査を開始する。一方、B氏。彼は刑事として捜査に乗り出す。とはいえ震災直後です。思うようにいかない。「いまはそれどころじゃねぇ」と見て見ぬふりする同僚もいるが……彼だけは手を緩めない「悪は断じて許さん!」

嘉村 C氏は……それどころではないでしょうねぇ。

三葉 ええ、その通りです。彼は25年前の惨劇を思い出し、強烈な頭痛や吐き気、希死念慮に襲われていた。そして、荒廃した街をフラフラ歩き回る。

嘉村 ふーむ。

三葉 とまぁそんな具合に、A氏とB氏は真相に迫っていきます。一方、C氏は露骨に怪しい。やがてA氏は「C氏こそが犯人に違いない」と考え、ぶち殺してしまう。

嘉村 まぁ、無理もないか……。

三葉 ところが、犯人はまったくの別人だった!B氏が真犯人を検挙する。A氏は真実を知り、「無実のCを殺しちまった!」とショックを受けるが……すぐに気を取り直す「まぁ、悔やんでも仕方ねぇか。この世は弱肉強食。弱いヤツが悪いんだ!」……で、物語は幕を閉じます。

嘉村 つまり、「第1の事件」以来ずっと……A氏は「強い男」、B氏は「正義の男」、そしてC氏は「死んだ男」だったというわけですね。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「『ミスティック・リバー』 ~『血に飢えた獣』編」です。


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嘉村 血に飢えた獣……?

三葉 ええ。まずは、「ミスティック・リバー」との比較表をご覧ください。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……「ミスティック・リバー」や「案①」同様、3人の少年が事件に巻き込まれるところから物語は始まります。

嘉村 ふむふむ。

三葉 「案②」では、「3人の目の前で友人が虐殺された」ということにしましょう。

嘉村 虐殺!

三葉 すなわち……犯人は、生きたまま腹を切り裂いた!爪の間に千枚通しを突っ込み、さらに1本ずつ指を潰した!目玉をくりぬき、歯も抜いた!

嘉村 うーむ……気違い!

三葉 3人は物陰から一部始終を見ていましたが……幼い彼らにできることは皆無。ただただ震えるだけでした。やがて犯人は逮捕される。しかし、3人の心には深い傷が残った。

嘉村 でしょうねぇ……。

三葉 彼らは事件をきっかけに疎遠になり、そしてそれぞれ「事件の影響を受けた人生」を送ることになります。まずは……キャラA。彼は「軍人」になりました。

嘉村 軍人!

三葉 筋骨隆々で、銃器の扱いもプロフェッショナル。特殊部隊のメンバーに選抜され、紛争地域に派遣されたことも数知れず。

嘉村 なるほど。

三葉 次いで、キャラB。彼は「犯罪者」になりました。

嘉村 犯罪者!

三葉 犯罪者といっても様々ですが、彼は半グレ集団のリーダーです。振り込め詐欺や恐喝、麻薬の密売などで莫大な金を稼いでいる。彼が一声かければ、100人からの仲間が集まる。

嘉村 ほぉ。

三葉 最後に、キャラC。彼は「殺人鬼」になった。

嘉村 殺人鬼!

三葉 普段はごく普通の会社員ながらも、裏の顔を持っている。通勤中に好みの女性を見かけると、彼女のプロフィールや行動パターンを徹底的に調べ上げ、そっと近寄り……殺める!

嘉村 ふむふむ。

三葉 そして「第1の事件」から25年経ち……A氏の娘が何者かに殺されます。A氏は激昂する。娘の遺体に「必ずオレが仇を討つ!」と誓い、独自に捜査を開始。

三葉 ほぉ。

三葉 間もなく、娘が怪しげなチンピラ連中と付き合っていたことを突き止める。A氏は「あの清廉な娘が……」とショックを受けつつも、チンピラどもに接近。相手がチンピラとなれば、彼は容赦がない。ボコボコにして話を聞き出す。

嘉村 そのチンピラというのは……。

三葉 ええ、B氏の子分です。話を聞いたB氏は、A氏に警告する「昔馴染みということで、今日までのことは見逃してやる。しかしこれ以上うちのシマを荒すようなら……」。A氏は一歩も引かない「何だ?荒すとどうなるって?」。「軍人」と「犯罪者」が静かに睨み合う。

嘉村 ふーむ。

三葉 また、A氏は昨今話題の連続殺人鬼にも疑いを抱く。「オレの娘も、サイコ野郎にやられたのではなかろうか?」。

嘉村 連続殺人鬼……つまり、C氏のことですね。

三葉 ええ、そうです。また、B氏もB氏で独自に殺人鬼について調べていた。彼の組織の女が1人殺されているのです。

嘉村 ほぉ。

三葉 とまぁそんな具合に、かつて共にトラウマを負い、心のどこかがブチ壊れてしまった3人の人生がいま再び交差する!……これが「案②」です。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『ミスティック・リバー』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


続きはこちら!!

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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