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最高で最愛の大分トリニータ🔵🟡🐢🐇

こんちゃ!どうもいったーです。

片さんとの冒険も終わって1週間。
かなり長く感じました。
準決勝を勝ち上がって、決勝は勝っても負けても記録に残したい。
noteに残そうと決めていましたが、どうしてもiPadに向かうことができませんでした。

片さんの試合後の円陣を見返すこと、そしてペレイラの同点弾を見返すことができても、あの、絶対に決められたくない男にやられた瞬間だけは見返すことができません。
天皇杯に片手はかかっていましたが、まさに“スルり”と逃げていきました。

集結した大分サポーター。

大分空港からの東京方面への飛行機はもちろんのこと
各九州の空港からの東京方面の飛行機もほぼ満席。
加えて、福岡からの新幹線のチケットを取ることも困難になり、
しまいには、陸路で車で東京に乗り込んでくるといった強者までいました。

僕は、決勝のチケット販売のタイミングでゴール裏を4枚押さえていたので

余裕でしたが、準決勝の終了後、大分にいる家族の分や友達のチケット等を調達することに追われました。運よく、大学時代の友達であるフロンターレサポーターに譲ってもらいなんとか決勝に間に合いました。

あのナビスコ杯決勝やJ1PO決勝のように

もう一度“聖地国立”で戴冠の瞬間を見届けようと、ゴール裏を青く染め上げました。地方クラブが国内随一のスタジアムを染め上げるのは、本当にクラブをサポートしているのかわからないような赤に染めるのとは訳が違うのです。

青色に染まるスタンド

驚きのスターティングイレブン

2021/12/19 天皇杯決勝 浦和-大分 @国立競技場

正直、スタメン発表があった時には色々な意味で驚きを隠せませんでした。

負傷離脱したCBペレイラがなんと1週間で間に合わせました。驚異の回復力です。※本人と奥様のインスタグラムから東京入りは確認が取れており、流石に使わない選手を帯同させないのでは?いや、決勝だから全員移動しているだけかも。と頭の中はぐちゃぐちゃでした。

最も驚かされたのはスターティングイレブンです。準決勝vs川崎フロンターレと同様の「4-3-1-2」で臨みました。あのシステムは対川崎専用の「4-3-3」のために用意されたものだと思っていました。

この布陣で流動的に立ち位置を変化させてくる浦和の攻撃に対抗できるのか?という心配がありつつも、いつも通り、味方ですら試合が始まらない限りスタメンの意図を感じ取れないという片野坂あるあるを信じながら試合開始を迎えました。

悪夢の立ち上がり。


カップファイナル、リーグ優勝を決める試合。

これらには独特の雰囲気があり、この舞台を未体験の選手にいくら「いつも通りでいいから」「自然体」といった言葉をかけてもどうしても立ち上がりは難しい展開になりがちです。

その“硬さ”が1番の懸念点であることは間違いありませんでした。

大分は優勝争いとしてはJ2時代に経験したものの、日本一を決める試合を経験した選手がほぼゼロに近く、案の定、試合の立ち上がりはフワフワしたものとなりました。

その点、相手は世代交代の過渡期と言えど、幾度となく修羅場を潜り抜けてきた選手が多く、硬さはあまり感じさせませんでした。

本当に、今夏Jリーグに復帰した酒井宏樹選手はズルです。
古巣じゃなくてもJに復帰していい風潮を作ったのも彼です。
いい迷惑すぎます。個人的にはマルセイユの丘に聳え立つのヴェロドロームスタジアムに行って、彼のプレーを見てみたかったです。(畏敬の念を込めています。)

あっという間の先制点。


酒井選手が陣取り、欧州から(逃げ)帰ってきたRMFせ○ねが形成する右サイドは圧倒的でした。

攻撃時は自らアクションを起こすだけのクオリティがありましたし、守備時には前線からマンマーク気味にハメてきて、きっちり後ろもプレスに呼応する形で何度も大分は窒息していました。

大分の前半のビルドアップ

図のように、ビルドアップ時は4バックのCBペレイラ&エンリケの間にCMF小林が降りてくるダウンスリーの形を取り、SB三竿&小出がWBのように高い位置を取りました。

最終ラインに落ちたCMF小林からCBに渡ったところで、出しどころがなく、次の手を打つまでの時間を与えてもらえませんでした。
ジリ貧になり下がったラインを押し上げられないまま、左サイドが切り裂かれました。幾度とないピンチを凌いだ大分守備陣もあっけないほどの一瞬の出来事の失点で、呆然としていました。

(三竿か下田のところでファールがあったと信じていますが、主役は相変わらず主審でした。失点時に主審を取り囲んだことも今後の判定に少しばかり影響を与えたのではないか、と思うと悲しくてたまりません。準決勝の山根のハンド、大島の報復プレーと不利な判定が続いた気がします。)

先制されたせいで少なくとも1点が必要になった大分トリニータでしたが、前半は全くと言っていいほど攻撃の糸口が掴めず、相手も先制点を虎の子の1点かのように自陣に引き籠り、早くも塩漬けの展開に持ち込み、時計だけが進んでいきました。

さすがの修正力、息を吹き返したトリニータ。


泣いても笑っても最後の45分でした。

ボールは持っているのに、相手陣地に侵入できない現状を改善させるためにロッカールームでどんな話をして、どんな策を与えたのか非常に興味がありました。

蓋を開けてみれば、後半は完全に大分ペースだったと言っても過言ではありませんでした。

ビルドアップの部分で修正があり、それがうまくハマったように思えます。

大分の後半のビルドアップ

前半はトップ下のような位置にいたCMF下田北斗がビルドアップ時はCBエンリケの外側に降りてきて、少しばかり組み立てが得意ではないCBエンリケを手助けしました。後半頭から今季のストロングポイントであった大分の左サイドがイキイキとし始め、少ないタッチでボールを動かし続け攻撃のリズムを作っていました。ボランチが最終ラインに降りてくることで中盤のスペースはOMF/SHの渡邉新太や町田也真人が適切なタイミングで顔を出しながら、時にはボールを運ぶドリブルを仕掛けてアクセントを加えていました。

本当に、シーズン終盤のOMF渡邉新太の活躍ぶりには目を見張るものがありました。周りを生かすプレーを習得し、エゴむき出しのストライカーから賢いリンクマンの顔を見せるようになりました。

希望を繋ぎ止めた、神様タカーギ。


大分の修正がうまく行き、攻撃のリズムがで始めた70分この試合最大の絶体絶命のピンチを迎えます。

クロスをノープレッシャーでGK西川にキャッチされ、ぽっかり空いた中盤のスペースにスローされます。そこからまたしてもRMFせ○ねに素早く運ばれ、ST江坂に完璧なスルーパスが通りました。


大分は一か八かのラインを上げてオフサイドにかけようとしましたが、ラインを揃え損ねオフサイドを取れず、完璧にGKタカーギとST江坂と1on1になります。

サイドに流れ、わずかにフェイクが入りGKタカーギを外したST江坂の勝利で決定的な2点目を覚悟しました。

しかしながら、体勢を崩されながらも足を動かし続け、シュートを打つ前から身体を目一杯伸ばして飛んでいました。気づいたらシュートはサイドネットを揺らしており、追加点を阻止しました。このプレーで一段階ギアが上がったのは間違いなく感じ取れました。

またしても奇跡が目の前で、、、


こんなに“またしても”という言葉が似合うシーンを見たことがありません。

そうです。またしても試合終了間際90分にドラマが待っていました。

今回も立役者はCMF下田北斗でしたが、準決勝と違うのは彼の逆足である右足から生まれたということです。

捨て身のパワープレーに入った大分は、空中戦に強いCF長沢、CBエンリケ、CBペレイラを送り込んでいました。なんとかしてその3人にボールを届けたいところでしたが、CMF下田の伝家の宝刀である左足を警戒されていました。しかしながらCMF下田は、執念で右足で対空時間の長いボールをPA内に送り込みました。

ここからはあまり覚えていません。
けど、1つだけ言えるのは、CBペレイラが最高のタイミングで雪崩れ込んできました。

そのあとは、喜びを爆発させ、エンブレムを掴みながらゴール裏に走ってきたあの光景は一生忘れないでしょう。クールに決めた準決勝のCBエンリケも最高にかっこよかったですが、常々「フットボールは感情の爆発のスポーツである」と言い続けている筆者からすると、サブを含めてスタッフまで走ってきたあのシーンは控えめに言っても最高です。

あの瞬間まさにスタジアムが揺れ、心の底から震えました。

奇跡的な同点弾を叩き込むCBペレイラ🇧🇷と喜ぶCBエンリケ🇧🇷

残酷なフィナーレ

フィナーレはあまりにも残酷でした。

MF柴戸のシュートも素晴らしかったですが、ちゃんとあのままのシュートコースで飛んでいれば確実にGKタカーギがストップしていたでしょう。

また、あの瞬間、「オフサイド!」と思ってリプレイを確認したときにはOMF町田也真人だけが残っておりオフサイドはありませんでした。
選手みんなが少しの希望を持って咄嗟にオフサイドラインを確認するために後ろに振り向いた時、OMF町田が残っていたことを見た時の期待から絶望への表情の移り変わりがあまりにも残酷でした。

奇跡的な同点弾から3分後の出来事でした。

全大分サポーターが延長戦に進み、大分の勝利を確信したことでしょう。

その一瞬の気の緩み、油断みたいなものが勝利の女神からそっぽを向かれたんでしょうか。

「グッドルーザーでいよう。」


NHKのTwitterでこのシーンは流れました。
優勝インタビューの最中に大分は最後の円陣を組んでいました。
その円陣内のスピーチは“片さんらしさ”で溢れていました。

涙無しにはみれません。

それでは全文です。

 「この悔しさを忘れないで欲しい。この舞台はなかなか得られるものじゃない。これを成長の糧にして欲しい。この経験を、この場を、この悔しさを次に生かそう。絶対にみんなはできる。みんなならできる。グッドルーザーでいよう。胸張って顔を上げて、サポーターにしっかり挨拶しよう。絶対にこのチームはいいチームだから。俺は自信を持って言う。見て、素晴らしいよ! 素晴らしいピッチだよ! 負けたけど、リーグ戦も負けたけど、それが自分たちの力なんだよ。それをしっかり真摯に受け止めて、グッドルーザーで、しっかり感謝して、みんなで大分に帰って、次に向けて準備してやっていこう。お疲れ様。ありがとう。」

大分トリニータ:片野坂知宏監督

最後の試合で土壇場に決勝点を決められ、人生最大の絶望のはずなのにこんなに前向きで、少しでも未来のトリニータの為を思ったスピーチができるのは片さんだけです。

セレモニーから見るクラブの存在意義


セレモニー中、片さんのスピーチに加えてもう1つ感動した出来事がありました。

それは、準優勝をメダルを最後まで外さなかったことです。

準優勝に終えると、すぐにメダルを外してしまう選手がたくさんいます。

そんなシーンを見ていて、悔しいのはわかるけどリスペクトやクラスが足りないな、と個人的には残念に思っていました。

今回大分トリニータが準優勝になってしまいましたが、メダルを受け取った後の振る舞いにも密かに注目していました。大分にとって初めての準優勝メダルです。

中にはメダルを外す選手がいるのではないか、と思っていましたが杞憂に終わりました。

ちゃんと全員が立派に堂々と銀色に輝くメダルを首から下げセレモニーを過ごしていました。

そんなトリニータの選手が誇らしくてたまりません。

決勝では「勝てば官軍。勝たなくては意味がない。」といったコメントをサポーターからよく耳にします。特に勝利を義務付けられているクラブからです。

勝利することはこれ以上ない最高の結末であることには間違いありません。

しかし、僕は、そのクラブの価値は勝利できなかったときにどんなことをサポーターに与えられるかどうかで測れると信じています。

逆に勝利でしかクラブの価値を見出せないようでは、勝てなくなった時、何を目的に、何のために試合を見るのでしょうか。負けた後にこんなことを言っても負け犬の遠吠えでしかありませんが、今季降格が決まった試合でも全く怒号や罵声がなく、拍手で選手を迎えたときに強く、クラブの価値が何なのかを知りました。天皇杯決勝でも同じです。

カタノサッカーと言われる大分のスタイルを築き上げてくれた片野坂監督にはスポーツ面でも大きな感謝をしなければなりません。

サッカーのスタイル以上の大きな功績はスポーツ面以外にあると思います。

「常に最後まで諦めない姿勢」

「常に最大値を発揮すること」

「常に感謝する謙虚な姿勢」

「常に互いに信じること」

片野坂監督のこの6年間での最大の功績は
大分トリニータが大分トリニータたる所以を、我々に植え付けてくれたことではないでしょうか。

片さんとの蜜月の6年間の冒険はこれで終わりです。

ハッピーエンドではありませんでしたが、たくさんの夢を見させてくれたことに感謝しながら

この言葉で締めたいと思います。

「片さん、大丈夫です。大分は強くなります。J1で待っててください。」

J2降格となった監督としては異例の勇退会見。

それではこのへんで、、、

ばいころまる~

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