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《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法   その7 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-① 状態を言って要求する子ども

 《思考の柔軟性が弱いタイプ》に《低学年で覚えて欲しいルールとスキル 30》を、実際に4つの方法を使って覚えもらう方法は、説明ができません。授業中や給食のときや、休み時間やトラブルのときなどありとあらゆるところで、臨機応変に使ってやっていくからです。

 だから、これから事例をたくさん書いていきます。内容は、事例とその時使う4つの方法です。この事例のセリフをしっかり読み込むことで、4つの方法の本質が分かってきます。すると、日常的に4つの方法が使えるようになります。
 
「本質は、細部に宿る」のです。定義とか説明と原理を何度読んでも、この4つの方法は、使えるようになりません。

 早速、事例を書いていきます。これまでに、出てきた事例もあります。

 まず、実際に起ったトラブルを書きます。それに対して、4つの方法をどのように使えばよかったのか、【解説】と【セリフ】を書きます。


事例1 状態を言うだけで、要求を出すのは
   《自分言葉》

 算数のプリントを配ってしばらくしたら、2年生のA君が「 紙破れた」と破れたプリントを持ってきた。どうやら、消しゴムで消していて破れたらしい。先生が「そうか。仕方がないな」と返事をしたら「違うやろ」と急に怒り出した。
   

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【解説】A君が「違うやろ」と怒ったのは、プリントを替えて欲しかったのに先生が替えてくれなかったからです。しかし、彼は「替えて欲しい」とは言ってはいません。彼が言ったのは「破れた」だけです。これでは「替えて欲しい」と先生には分かりません。
 仮に、先生が「替えて欲しいんだな」と分かっても、「紙破れた」だけで、代わりのプリントをあげてはいけません。コミュニケーションが間違っているからです。正しいコミュニケーションを教えておく必要があります。
 特に、この場合のように『頼む』ときのセリフを知ることは大事です。

【セリフ】
A君「紙破れた。」

先生「それは、大変だね(「共感」)。」

A君「嫌だ。」

先生「それは嫌だね(「共感」)。じゃ、新しい紙が欲しいということか
   な(「想像」)?」

A君「そう。」

先生「そ言うときは『紙破れた』じゃ、分からないね。『紙が破れたの
   で、新しいのをくだい』と言わないとダメだよ(「覚えて」)。覚え
   たかな?」

A君「覚えた。」

先生「じゃ、1回言ってみて。できたら、すみませんをつけてね
   (「覚えて」)。」

A君「すみません。紙が破れたので、新しいのをください(「すみませ
   ん」
)。」

先生「よく言えました。どうぞ、そこから1枚取って、持っていってくださ
  い。」

  黙って、行きかける。

先生「黙って行ったら、だめだよ。先生に親切にされたんだから『ありがと
   う』と言ってください(「覚えて」)。」

A君「ありがとう。」

先生「どういたしまして。先生はいい先生でしょう?」

A君「うん。」

先生「うんじゃなくて『はい』だね(「覚えて」)。」

A君「はい。」

 
事例2に続く。

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