マガジンのカバー画像

アジアさすらいー中国編

12
15年前に実際にアジアを旅した時の回想録です。はじめは中国編から。当時の日記で語られている出来事を振り返っています。様々なトラブルや発見があったので暇な人は是非読んでください!
運営しているクリエイター

#ひとり旅

アジアさすらいの日々ー中国編⑪(見当たらないビザと受付の女の子)

アジアさすらいの日々ー中国編⑪(見当たらないビザと受付の女の子)

<前回までの旅>
…中国入国4日目、僕は日本からの荷物をバックパックに詰め、早くも無錫を発つ事を決めた。4時間後の列車の切符を買い、動物園を通り抜け、目に留まったケンタッキーで快適に過ごした。そして駅を間違えながらも電車に乗り込み、向かったのは南京。ホステル周辺は繁華街で心躍ったのも束の間、ホステルではビザと入国スタンプが押された紙を紛失したことが発覚。それがないならこのホステルには泊まれないと受

もっとみる
アジアさすらいの日々ー中国編⑧(最後の判断:信頼と疑念)

アジアさすらいの日々ー中国編⑧(最後の判断:信頼と疑念)

<前回までの旅>
…船で大阪から上海まで来て3日目にしてようやく一人旅が始まった。蘇州行きの電車の中で、僕が出会ったのは同い年くらいの男の子。色々話す中で彼の家に泊まらせてもらうという流れとなったのだが、彼が保有する美容院で彼の妹たちと楽しい時間を過ごしたのも束の間、次に連れてこられたのは彼が経営しているという風俗店。日も暮れ始めていて、僕の中には恐怖心が芽生え始めていた。

**********

もっとみる
アジアさすらいの日々ー中国編⑦(蘇州郊外での体験:悦楽と恐怖)

アジアさすらいの日々ー中国編⑦(蘇州郊外での体験:悦楽と恐怖)

<前回までの旅>
…船で大阪から上海まで来て3日目、僕は船で出会った5人のバックパッカーたちと別れ、ようやく一人旅が始まった。蘇州行きの電車の中で、僕は下呂温泉で中国人女子たちと一緒に働いていたことを思い出し、彼女の出身である蘇州で再会できないかと考えていたのだが、その電車で出会ったのは同い年くらいの男の子。色々話す中で彼はこう提案した。「泊まるところがないならうちに来ればいい」と。

*****

もっとみる
アジアさすらいの日々ー中国編④(上海上陸と雑技団の天才たち)

アジアさすらいの日々ー中国編④(上海上陸と雑技団の天才たち)

<前回までの旅>
…丸二日間の船の旅は退屈ながらもバックパッキング経験者から様々な情報を聞くことができた。そしていよいよ船で出会った僕たち6人に上海上陸の瞬間がきた…が港には何もなく、僕たちはタクシーに乗り込むことにした。

******************************

9月22日㈭

我々6人を乗せたタクシーは大陸から少し離れた上海港から、長い橋を渡って市内中心部のホステル(ア

もっとみる
アジアさすらいの日々ー中国編①(アジアへの旅立ち)

アジアさすらいの日々ー中国編①(アジアへの旅立ち)



2005年9月22日(木)

今改めて見てみれば、何と陰鬱な光景なんだろう。空はネズミ色の厚い雲に、海は生命など感じられないほど濁った水に覆われていて、こんな世界に生まれて来たならば明るい未来なんて描けないだろうと想像する。

しかしその時の僕にとってはこの光景の中にある全てのものが貴重で、未来を切り開いてくれる存在に見えた。実際、この場所から始まる一連の経験はその後の僕の人生を大きく変化させ

もっとみる