図工さん

とある図工アトリエのずこーせんせー。アトリエメンバーの内緒の話の記録。

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とある図工アトリエのずこーせんせー。アトリエメンバーの内緒の話の記録。

最近の記事

[図工15] 目玉のジュース

きょうのAちゃんはちょっとホラーの Aちゃん。家族思いで、友達思いで、いつも誰かのために図工で何かを作る心優しい子、ちょっと照れ屋で、照れるとなぜかホラーになるAちゃん。かわいいAちゃん。わたしはAちゃんのつくる目玉のジューズの大ファン。 最初の目玉のジュースは去年のサンタさんに。 「ねーねーサンタさんて、どっから入ってくるの?玄関は鍵しまってるし、マンションだからベランダ高いとこだし、窓だって鍵しまってるし、煙突なんてなし、お父さんがなんかしてるの?」とAちゃんが聞いて

    • [図工14] 雑草はえてるよ

      いくつもの粘土のお団子を丸めながらAちゃんは言った。「ねーねー、天井からぶら下がってるものから雑草はえてるよ」。いや、雑草じゃないのよ、苔玉から素敵なグリーンが飛び出してる吊るし型のおしゃれ観葉植物なのよ、、。「雑草じゃないよー!!」と、軽快にツッコミを入れると、AちゃんとBちゃんはケタケタケタケタケタと、大爆笑をした。笑いながらBちゃんが「ねーねーAちゃん、じゃあ、今度は一緒に雑草はえてるよーって言おう?」と言う。なんだなんだ?ツッコミが気に入ったのか?自分も突っ込まれたい

      • [図工13] テレビ観たいな

        粘土をクッキー生地の様に型抜きしながらAちゃんは言った。「テレビ観たいな、つけていい?」、それはなんていうか、温泉旅館について、とりあえずのんびりするか?みたいな、あるいは、いつもの慣れた家事してるから、テキトーになんか観ながらやるか?みたいなテンションのようだった。「うち、テレビ観せるサービスはやってないんですよ」、と言うと「えー、ケチ!」っと、怒られた。 別の日に、スライムを何種類も作ってひと段落したBちゃんも言った。「テレビつけて?!」こっちははなから命令だ。「いや、

        • [図工12] ここでバイトしたい

          かわいいレタリングを施しながら、「ここでバイトしたいな、雇って!?」と、Aちゃんは言った。すまない、Aちゃん、うちはバイトどころか、私だってやってけないくらいのブラックアトリエなんだぞ、と言いかけたが、Aちゃんから材料費をもらっている身でありながら、情けないことは言えない気がして、私はちょっと黙ってしまった。 「お金ほしいなぁ、欲しい物が多すぎる、漫画とか、漫画とか?」。小学校高学年のAちゃんはうちに来ると、好きな漫画や推しの話を聞かせてくれる。そういうの聞くの私大好きだ。今

        [図工15] 目玉のジュース

          [図工11] われないようにして!

          青い風船と風船を膨らませる道具を持って来てAくんは言った。「ふくらませて、とめて!」 子供たちは何をやっていてもすぐに飽きるので、箸休め的存在として、アトリエには常に風船を用意している。風船が嫌いな子はいない。箸休めのつもりが、1袋全部(16個)の風船を膨らませて、紐でつなげて、空でも飛ぶつもりなのか?という姿で自転車で帰った子もかつていた。膨らませすぎて酸欠になりかけたので(私が)、最近空気入れを買った。 「はやくして!」Aくんがおこり始めたので、わたしは真面目に膨らま

          [図工11] われないようにして!

          [図工10] ぶっさする

          割りピンを見つけたAちゃんはぶっきらぼうに言った。「紙ちょうだい?」「厚紙?色紙?」と、私が聞くと、「普通の」という。手元にあったコピー用紙をとりあえず渡してみると、端っこから割りピンを刺し始めた。「その紙じゃ薄くないか?」と聞くと、「いいの、この方がぶっさしやすいから」と、。なんか怖いぞ!「な、なにかストレスでもおありですか?A様?」おそるおそる聞くと、。「え、あるよ、いっぱい、学校の先生怖いし。」一緒に来ていたBちゃんも「あー、先生すぐ怒るよね、ほんとやだ、むかつく。」「

          [図工10] ぶっさする

          [図工09] いっしょにねてみたいな

          素敵な虹模様を描きながら、3歳のAちゃんは言った、「こんど、いっしょにねてみたいな。」私の顔をちら、ちらっと、みながら照れくさそうだ。図工と結びつかなすぎて、一緒に来ていたAちゃんのお母さんと私はどういうことか一瞬理解できず、沈黙してしまった。「せんせーと?ってことかな?」とお母さんが聞くと、Aちゃんは、うんうん!っと首を縦に振った。「おとまり?」と私も聞いてみる。「うん!うん!わたしのお家にきてみてほしいの。」とAちゃん。かわいい。かわいすぎる。せんせー嬉しすぎて泣きそうだ

          [図工09] いっしょにねてみたいな

          [図工08] いやだのつづき

          相変わらずAちゃんは断り続けている。一つの紙を一色で塗ってはぽいしているので、たまにはこれにこの色とか付け加えるのはどう?と聞いてみたが、やはり食い気味で断られた。いい、これでいい。断れる子が私は好きだ。うちのアトリエに通って来てくれているこのほとんどは、私のアドバイスや提案を一度や二度やそのすべてを、一旦断る。 Bちゃんに木や布を買って来てと言われたので、翌週Bちゃんの来る日に用意して、わかりやすいところにそれらをおいておいた。どんなものを作るのか楽しみだ。アトリエに入っ

          [図工08] いやだのつづき

          [図工07] いやだ

          「いやだ」とAちゃんは言った。「この辺も色を塗ってみたら?」絵の端っこの方が白かったので思わず私が言った言葉に、ものすごい勢いでAちゃんに断られた。私が何かを提案するとほとんどのことをAちゃんは断る。食い気味で「いやだ」と言われるのはわかっている、でも、一応、せんせーらしくアドバイスとか?したい。 断られるのは慣れている。Bちゃんも大抵のことは断る。Bちゃんの好きそうな新しい材料を仕入れたので、これ使ってなんかやってみない?と、言っても、「いやだ、木ないの?それか布。」と言

          [図工07] いやだ

          [図工06] 芸術は爆発する

          ある日Aくんの芸術は爆発した!Aくんはアトリエに通い始めの頃は恥ずかしがり屋で、来てすぐにちょっとだけ絵を描くと、あとは材料をただながめたり、生き物図鑑を開いたりする時間が長かった。少しずつ慣れて、ハサミを使ったり、両面テープをつかったり、ちょっとずつ道具を試したり、絵の具を混ぜて、いっぱいできた茶色を持って帰った。何かもう一つ作ってくれないかなと、工作キットを渡して「いやだ」と断られることもあった。半年くらい通うとあたらしい道具を使ってみることもだんだん楽しめるようになって

          [図工06] 芸術は爆発する

          [図工05] ぼくの名前は

          ある日Aちゃんに怒られた、「ぼくの名前はAくんだ!」。男の子のAちゃんはとても小さい頃からきてくれているので、可愛らしさから私はずっとAちゃんと呼んでいた。私は男女とか立場とか関係なく「ちゃん」づけで呼ぶのが好きというのもあるし、キャラでかわるかな?「〜さん」とか、あと、全然先生じゃない人に「〜せんせい」とか、こどもに「〜せんぱい!」とか呼んだりもする。Aちゃん改、Aくんは今年小学生になった。きっとたくさんクラスメイトができて、男の子とか女の子とか、学校の活動の中で意識するこ

          [図工05] ぼくの名前は

          [図工04] ダンゴムシ飼って?

          ある日Aちゃんがダンゴムシを連れて来た。来るとき家の玄関前で見つけて(自分で捕まえるのは怖いので)Bちゃんに捕まえてもらってヨーグルトの容器に入れたとのこと。AちゃんとBちゃんは興奮気味にアトリエにはいってくると、「ずこーせんせーみてみて、ダンゴムシ、名前つけたんだ。ダンコ。かわいい?こわい?きもちわるっ」。うん、気持ちが大渋滞。ダンゴムシなんぞ見慣れた私にはどこに寄り添えばいいのか全然わからない。でも、まあ、「かわいいね、ほんとにダンゴムシ?まるまるの?ワラジムシじゃない?

          [図工04] ダンゴムシ飼って?

          [図工03] 旅行とかいきなよ

          ある日、Aちゃんが絵を描きながらきいてきた。「ずこーせんせーってさ、私たちが払ったおかねでこういう材料買うの?」。図工アトリエは1時間¥1,000いただいている。材料費と利用料という名目で、講師料は含まれないことにしている。人によって、段ボールアートを作って材料費ほぼ0円の日があったり、100円ショップの粘土10箱くらいとりあえずあけたり、絵の具をどば〜〜っと出しきって混ぜて何も作らず帰るこどももいる(みんな最初ひととおりやるやつ)、絵の具を並びかえるだけの子もいたな。何かを

          [図工03] 旅行とかいきなよ

          [図工02] おとうとずるいんだよ

          ある日Aちゃんはぼそぼそっと話し始めた。「Bくん(おとうと)ってずるいんだよ」。「Aちゃんがたべていたチョコレート、AちゃんがBくんの歳の時、まだ食べられなかったのに、Aちゃんのをよこどりしてねー、ほとんどたべちゃったんだよ」。「それは、困ったねえ」。「あとねー、公園行った時、公園ついたら、疲れたっていって、全然歩かなくなって、おかあさんにだっこしてて、おかあさんぜんぜんあそべなくなっちゃってた」。「あまえんぼうさんだねえ」。「あとねー、Aちゃんは宿題あるからテレビみちゃだめ

          [図工02] おとうとずるいんだよ

          [図工01] 500円玉くらいの大きさ

          ある日Aちゃんが聞いてきた。「えのぐどんくらいだせばいいの?」。いい質問だ、うちにくる子で、初めての質問だ。みんな皿一杯にだすからな、止まるまでだす。「500円玉くらいの大きさがいいんじゃない?」とこたえると、「Aちゃんあんまり見たことないからわからないんだよね」と。そうか、Aちゃんは幼稚園生だった。まだ自分で特売品お買い物をしたり、小銭貯金して貯金箱から小銭出して何円が何枚あるか数えてにやにやしたり、善とケチの間でぶるぶる震えながら募金したり、しないのか、。じゃあ、子供にわ

          [図工01] 500円玉くらいの大きさ

          [図工00] 突然思い立って

          図工さんは、とある図工アトリエのずこーせんせいです。おとなもこどもも図工をしにくる小さなアトリエです。こどもたちのエピソードが可愛くって面白いので、ここに書いて残してみようと思いました。内緒話だから、内緒でお願いします。本当のことは忘れちゃうことも多いから、半分くらい作り話なこともあります。

          [図工00] 突然思い立って