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[図工08] いやだのつづき

相変わらずAちゃんは断り続けている。一つの紙を一色で塗ってはぽいしているので、たまにはこれにこの色とか付け加えるのはどう?と聞いてみたが、やはり食い気味で断られた。いい、これでいい。断れる子が私は好きだ。うちのアトリエに通って来てくれているこのほとんどは、私のアドバイスや提案を一度や二度やそのすべてを、一旦断る。

Bちゃんに木や布を買って来てと言われたので、翌週Bちゃんの来る日に用意して、わかりやすいところにそれらをおいておいた。どんなものを作るのか楽しみだ。アトリエに入って来たBちゃんはきょろきょろと材料の棚を見渡す。わたしは「木と布あるよ!」とは言わない。言うときっと「いやだ」と言われるから、今日はやめておく。なんだか今日のBちゃんはおとなしい。しばらく材料と物色すると、いつものねんどはないのか?っと聞いて来たので、買い足しておいた粘土をだした。すると、またいつものようにドーナツやケーキを作り出し、次に前回私がおすすめして、断ったお菓子のラッピングバッグにそれらを入れ始めた。バレンタインの手作りお菓子のような可愛いスイーツセットが出来上がった。Bちゃんはきっと、先週からいろいろと考えていたのではないかな、照れ屋さんだなあ、もう。「すっごいね、可愛いのができたね」と私がいうと、「これもう一個つかっていい?」と聞くので、「作りたいだけ作っていいよ」というと、「ええ!?いいの?全部でもいいの?」とちょっと怒っているみたいに喜んで、家族みんなの分のスイーツセットを作って帰った。木と布の出番はまだまだ先かな?

Cちゃんが久しぶりにくるという。Cちゃんはお引越しをしておうちが少し遠くなったので、夏休みに少しだけ来てくれることになった。この日はアクリル絵の具は出さずに、アトリエ用の水性絵の具を出しておいた。久しぶりに会ったCちゃんは私に目を合わさず、しずか〜に絵の具を机に並べ始めた。絵皿に全ての色を綺麗にならべて出して、じ〜っとしずかにしばらくながめた後「ね〜ね〜手〜かして〜」というので、「その手には乗らないぜ」っと私は手を引っ込めた、「え〜、んとね、これなんだと思う?」と緑色の絵の具をゆびさした。「カエルかな?」と私がいうと、「ちがうよ〜、これはゴーヤ」。この日は出した絵の具のひとつひとつを指差しながら、あたらしいお話を聞かせてくれた。確か八百屋の話で、最終的になぜか私の手や腕はカラフルな色に染まっていた。次回は大きめのキャンバスをだして私は隠れてみてようかな。

Dくんは玄関に靴を脱ぎ捨てて、一目散にダンボールの所に行った。箱を分解したなるべく大きめのダンボールを選ぶと、それらをなが〜く繋げて「これ、りゅうだよ」と自慢げに言った。「すんごいながいじゃん!顔はどっち?」と聞くと、すぅっと別のダンボールを手に取り何か絵を描いて、ザクザクとハサミで切り始めた。「プラキオサウルス〜!」と叫んで見せてくれた恐竜のきりぬきはとてもよくかけていたので、ダンボールでベルトを作ってDくんの体につけてみたら喜んでくれた。

アトリエの子たちはみんな可愛い。

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