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[図工10] ぶっさする

割りピンを見つけたAちゃんはぶっきらぼうに言った。「紙ちょうだい?」「厚紙?色紙?」と、私が聞くと、「普通の」という。手元にあったコピー用紙をとりあえず渡してみると、端っこから割りピンを刺し始めた。「その紙じゃ薄くないか?」と聞くと、「いいの、この方がぶっさしやすいから」と、。なんか怖いぞ!「な、なにかストレスでもおありですか?A様?」おそるおそる聞くと、。「え、あるよ、いっぱい、学校の先生怖いし。」一緒に来ていたBちゃんも「あー、先生すぐ怒るよね、ほんとやだ、むかつく。」「へ〜〜〜、あ〜、そっすか、こわいっすかあ。」二人の物言いの方がよっぽど怖い私はうっすらとだけ返事をするも、二人の愚痴は止まらない。「その恨みを〜、ここに〜これを〜ぶっさして、晴らしているの、でもこれ、絶対他の人にいっちゃだめだよ」。そして、コピー用紙は割りピンだらけになってきた。「ひ〜〜〜こわ〜〜い。でもなんか面白いからその話日記に書きたいな(このnoteのこと)」と私がいうと、Aちゃんは「え〜〜絶対ダメ〜、もし〜このこと日記とか?SNSとかに描いたら、次はずこーせんせーのことを恨んで、ぶっさする!!」。ぶっさするって(笑)、あたらしいな。「こそこそ書くのは?だめ?棚の裏とか?」。「えー、かくれてるならまーいいけど、でも、もう、ここからはずこーせんせーの分のぶっさだから!」。「えー、やだーいたい〜。やめてよ〜」といっても、やめるわけはない。まあ、紙でよかったよ。紙の端っこまでぶっさしおわると、Aちゃんは満足したようで、色紙で別の工作を始めた。

割りピンは全部で24個並んでいた。頼りないコピー用紙の上で、色も輝きもさまざまで綺麗だった。ここにこの話を書いたことはAちゃんにバレると、またぶっさされちゃうので、どうかご内密に。

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