見出し画像

[図工04] ダンゴムシ飼って?

ある日Aちゃんがダンゴムシを連れて来た。来るとき家の玄関前で見つけて(自分で捕まえるのは怖いので)Bちゃんに捕まえてもらってヨーグルトの容器に入れたとのこと。AちゃんとBちゃんは興奮気味にアトリエにはいってくると、「ずこーせんせーみてみて、ダンゴムシ、名前つけたんだ。ダンコ。かわいい?こわい?きもちわるっ」。うん、気持ちが大渋滞。ダンゴムシなんぞ見慣れた私にはどこに寄り添えばいいのか全然わからない。でも、まあ、「かわいいね、ほんとにダンゴムシ?まるまるの?ワラジムシじゃない??」「ちがうよー、まるまったもん、ほらあ、ダンゴムシだよお、もう!ちゃんとみてよ〜」おこられた。私はAちゃんに怒られるのがなんか好きだ。二人はここに連れて来るまでの小さな奮闘劇を話し切ると、「かわいいからさ〜、飼いたいんだけど」「うちは飼えないからさ〜」「なにたべるかわからないし〜」「お母さんおこるし〜」「ずこーせんせーんちで飼って?」と、素敵な上目遣いでたのまれた。「は?やだ」私は速攻断った。「え〜だって、だって〜、ずこーせんせーんちはかたつむりとかかえるとか、なんか、いろいろ飼ってるじゃ〜ん。一緒に飼ってよ〜」。(かたつむりの赤ちゃんがいたり、娘が拾って来たかえるを飼っている、虫も時々いるし、猫もいる。飼っているというより、勝手に居る。)「いや、無理でしょ」と、私は断り続ける。「けちぃ。いっぱい飼ってるんだからいいじゃんかわいいじゃ〜ん」。「じゃあ、私がAちゃんとBちゃんをかわいいからうちの子にしたいなあ〜って思ったら、うちも子供いるんで大丈夫だよ〜ってお母さん私にくれるかな?AちゃんとBちゃん、うちの子になる?」っというと、「あ〜〜。そうか、わかった」と、案外あっさり納得してくれた。うちの団地の花壇の横に、ダンゴムシがいっぱいいるところあるよと、いうと、「じゃあ、家族がそこにいるかもね、あとでその場所つれてってよ」と話がまとまり、二人は図工を始めた。その日Aちゃんが作ったのはダンコのリビング。Bちゃんは空の絵。ダンコはその後無事お外に放されたので、そのリビングを使うことはない。雨が降って来た、二人はかわいいレインコートを着て、キャッキャ言いながら帰っていった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?