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図案考論 #002 世のロゴ

講義をベースとしたデザインの教科書です。ワークショップを組み込みながら、実践的に習得していくプログラムです。

< ロゴの成り立ち >

世にあるロゴの成り立ちを理解し、考察をしていきましょう。

■ FedEx

FedEx Corporation

Design: 
リンドン・リーダー(ランドーアソシエイツ)

Story: 
スピードと正確性を持って届けることが、物流の世界最大手FedExの強みであるというメッセージを、フォントのたたずまいや、“E”と“x”のホワイトスペースに見える“右向きの矢印”で表している。この“矢印のギミック”は、ロゴの成り立ちが語り継がれることを想定したアイデアである。

Comment: (安川の私感です。)
矢印が右向きであるところが一番の幸運とも言えるポイント。右向きには、(文字の読み書きの流れからくる)視覚的に自然さがあり、また“未来”を想像させる。(きっと左向き矢印では、スピード感やストーリー含め、成立しない。)
また、“→”は、世界の共通認識出来る記号であるというところも広く知られる大きな要素になっている。

おそらく、この矢印のアイデアが出たと同時に、当然“E”と“x”の文字同士を接する必要が出て、全ての文字が接することになった。これもまた、字間を空けないことによる“緊張感”に“(物流の)スピード”を感じる効果がマッチした。
フォントの太さに企業の“安心感”や“安定感”を持たせている。
太さは一方で、鈍臭さを生む場合もあるが、“ホワイトスペースの右向き矢印”と“接するまでの文字間隔”で、この辺りを払拭している。
“コンデンスド フォント(横幅を狭くしたフォント)”の選びは、やはり“スピード感”を出すために必然性があるし、全体の面のボリュームを考えると最良の選択である。

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