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バックパッカーズゲストハウス

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二〇〇九年、二十七歳の時に、秋葉原にあるゲストハウスへ四ヶ月滞在したときの旅行記です。 著者の記憶違い、主観が多分に含まれています。また、主に登場人物に関して名前や設定を故意に…
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#日雇い派遣

バックパッカーズ・ゲストハウス⑤「荷物を担ぐ」

バックパッカーズ・ゲストハウス⑤「荷物を担ぐ」

 前回までのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 フリーターなりのマナーとして、リタイヤを宣言してから一ヶ月ほど消化試合をこなした後、日雇い派遣の会社に登録した。当時、日雇い派遣は、「登録制バイト」と呼び方を少しマイルドに変えて、爽やかな印象のテレビCMを流す会社がいくつかあった。これは金貸しが明るいCMを流したがるのと同じ、悪いも

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バックパッカーズ・ゲストハウス⑥「トラックドライバーとラジオ」

前回までのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 繁忙期の引っ越し作業は、朝六時集合で夜十時とか十一時まで仕事ということがざらだった。ヤバいことに社員は、十一時に我々派遣が帰った後もまだ、次の現場に向っていた。

 よく派遣されていた、引っ越しも請け負う運送屋に、「津川さん」という五十代のドライバーが居た。この業界の人としては珍しく、

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バックパッカーズ・ゲストハウス⑦「パンになった男」

バックパッカーズ・ゲストハウス⑦「パンになった男」

前回までのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 自分でシフトを組める環境下で、二日続けて十五、六時間の肉体労働をこなすほど変態ではなかったので、私は一勤一休のペースで働いた。本業の人には到底敵わないが、よく働いた方じゃないかと思う。時間1,000円だか1,100円だか貰えて地方都市としては上等な時給だった。それでも、どういう分けか引

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