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価値観とかライフスタイルとか。
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生きることに価値を見いだす偏見

生きることに価値を見いだす偏見

 いくつもの言葉が呪いのように渦巻いて、私を捕らえて離さない。その一方で、言葉を使いつくしても自分にも他者にも伝えられないことがあるような気がして、途方に暮れる。声にならない言葉とともにあることは存外疲れるものだ。

 言葉にするということはなにかを決めること、可視化すること。書かれなかったこと、いわれなかったことと区別されるもの。なにを書いたか、あるいはなにをいったかではなくて、ほんとうに大切な

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愛するもののために

愛するもののために

 24歳になった。年が明けたからといってなにか変わらないと同じように、なのかはわからないけれど、ひとつ歳を重ねたからといってとくに変わるところはない。それでも、そうだな、なにかの理由にはしてもよいのだと思う。年が明けたから、とか、ひとつ歳を重ねたから、とかを理由に、ささやかだけれど確かなことをみつめなおすきっかけにできたらきっと素敵なことだ。

 大切にしたいものの価値を忘れてしまったり、覚えてい

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『銀河英雄伝説』の言葉

『銀河英雄伝説』の言葉

 こんにちは。柚子瀬です。

 先日、『銀河英雄伝説』(以下『銀英伝』という)正伝・外伝をひととおり読み終えました。『銀英伝』に出会ってからまだ日が浅いですが、この作品には並々ならぬ思い入れがあります。原作からではなくアニメから入ったのですが、110話もあるアニメの正伝は気づいたらもう4,5回はみてます。だからなのか、個人的に今はアニメの印象がけっこう強いです。原作をひととおり読んで、アニメの良さ

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歳を重ねるということ

歳を重ねるということ

 いつからか歳をとるのが怖くなった。ほんの少し前には年齢よりも先を歩いていると思っていたのに、今はそうは思えない。私たちは誰しも関係のなかで生きている。だから、私が歳をとるのが怖くなったのは他者や社会が求める規範に対して上手く応えられないからではなくてみずから立てた規範におくれをとっているからだといってみたとしても、それがほんとうのことなのかはわからない。ただそう信じたいだけなのかもしれない。

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24歳の私へ

24歳の私へ

 私にとって23歳というのは特別な意味をもつ年齢だった。22歳の私は23歳を迎える資格があるのか懐疑的だった。そして今、24歳になろうとしている私は、自分には23歳を迎える資格などなかったことを知っている。23歳にはこうありたいって思っていた姿からは程遠い。

 23歳を迎える資格のない私が24歳を迎えていいはずがない。それでも私は、自分に猶予を与えることにした。30歳まで待つことにしたのだ。これ

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ラブレター

ラブレター

 今、23歳になった私は彼女に宛てた手紙を書く。

 思い返してみればいつだって私のなかには彼女の瞳があった。純粋で、鋭利で、まっすぐで、切実で。ほかのなによりも綺麗だった。

 彼女は目で見たものを信じ、行動する。理性で考えるよりも先に、行動する。そして自らが血を流すのも、相手が血を流すのも厭わず言葉の善性を信じて伝える。自らが正しいと信じながらも、相手の言葉と行動が自らの価値観に照らして正しい

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言葉に誠実であるために

言葉に誠実であるために

 どれだけ本心で話しても言葉にすると伝わらないことがある。くだらない会話では多弁なのに、本当に伝えたいことはどうしても伝わらない。

 私は内向的で繊細なのだろう。内向的な人は閉じた世界を持っているものだと思う。私はその世界においては言葉に誠実であれているのに、いったん言葉が私から離れてしまうとどうしても誠実であれなくなってしまう。私にはそれが悲しいことに思える。もしかしたら私はなにも喋らないのが

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私にとっての『やさしさとは』

私にとっての『やさしさとは』

 私にとっての乃木坂46『やさしさとは』を定義するのは難しい。強いていうなら、私にとって『やさしさとは』は、「階段島」「サクラダリセット」に近いものなのだと思う。私を私のままみつめる瞳。あるいは、私が私のままでいいんだと教えてくれる存在。

 今となっては私がこの曲と出会ったのがいつのことだったのか思い出せないけれど、少なくない時間を共に過ごしたことは確かだと思う。私が苦しいときや、悲しいときに、

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白紙の名言集③

白紙の名言集③

 こんにちは。柚子瀬です。

 今回は「架見崎」シリーズほか、河野裕さんの作品を中心に、私がこれまで読んだ本の中で心に残っている言葉を紹介しようと思います。メモが散逸してしまったりしているため、ここで紹介する以外にも少なくない数心に残っている言葉があります。そのところをあらかじめ留意していただけますと幸いです。

河野裕『さよならの言い方なんて知らない。』(新潮文庫nex,2019)

河野裕『さ

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白紙の名言集②

白紙の名言集②

 「階段島」の心に残っている言葉をみたら、「サクラダリセット」のも気になってしまいまったので、引き続き更新します。こちらは「階段島」と比べると数は少ないです。おそらく心に残っている言葉はたくさんあるのに、メモし忘れているのかもしれません。気づき次第、追記するつもりです。

河野裕『猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1』(角川文庫,2016)

河野裕『魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラ

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白紙の名言集①

白紙の名言集①

 こんにちは。柚子瀬です。

 私が「階段島」「サクラダリセット」で心に残っている言葉を紹介しようと思います。単に私が見返したいだけっていうのもあるのですが、それはナイショでよろしくお願いします。

 今回は「階段島」シリーズから。

河野裕『いなくなれ、群青』(新潮文庫nex,2014)

河野裕『その白さえ嘘だとしても』(新潮文庫nex,2015)

河野裕『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』(新潮文庫

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野ノ尾盛夏の価値観と真辺由宇の瞳

野ノ尾盛夏の価値観と真辺由宇の瞳

 私について書こうと思う。

 私に、私の命の価値を知らしめたのは「階段島」シリーズだった。そのとき私は大学2年生だった。春休みのことだったと思う。当時付き合っていた人との関係で私は苦しんでいた。なにを選んでも選ばなくても私の価値観に誠実であれないような気がして、どうしていいのかわからなかった。そんなとき、あたかも天啓を受けたかのように、私は私自身の価値を確信した。価値、というと、大仰かもしれない

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私の世界に青を鳴らし続けるために

私の世界に青を鳴らし続けるために

 もうすぐ2022年が終わろうとしている。その前に私はこの文章を書き上げなければならないのだと思う。それは、私の体の状態が悪化し、大学院進学を断念せざる得なくなったとか、大学を卒業したとかもあるだろうけれど、23歳を迎える2023年に向けて現時点での私の答えのようなものを示しておかなければならないと思われたからだ。

 2022年は私にとって苦しい1年だった。私は自分という存在の希薄さにまざまざと

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私に優しさの美しさと悲しさを教えてくれた物語:「サクラダリセット」シリーズについて②

私に優しさの美しさと悲しさを教えてくれた物語:「サクラダリセット」シリーズについて②

 私が「優しさ」という視座から「サクラダリセット」をみるのはきっと、「優しさ」のような抽象的な言葉には辞書的な意味だけをみるのでは切り取られてしまう方にその本質があるように映るからだと思います。「優しさ」に限らず、「愛」「信頼」「幸せ」等々、私たちが人生を通して選び取る価値の中には辞書で引けばその一義的な意味がわかるものの方が少ないでしょう。「優しさ」とはなにか? これは相当に難しい問題です。

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