#333 【キャリアの呪縛】会社員・公務員が9割を占める時代、向いていない人も一定存在してるはず
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
今日は、「キャリアの呪縛」について考えてみたいと思います。
先日、3歳の息子と長門湯本で開催された狂犬ツアーに参加してきましたが、普段自分がいる環境とは異なり、自営の方が半分くらい?の環境に身を置き、話をしてきました。
そこでやはり感じたのは、会社員や公務員など、会社や官公庁などに雇われて給料・賃金を得ている「雇用者」となるか、「自営業主・家族従業者」となるかのキャリアを分ける大きな要因として、仕事をはじめるまでの環境が大きく依存しているのではないか?ということです。
「雇用者」と「自営業者・家族従業者」のどちらが良いか、という話ではないのですが、もともと「自営業者数」の方が多かった国で、時代の背景として「雇用者数」がそれを逆転して大多数になっているということは、一定のミスマッチも起こっているはずと考えています。
上図の通り、高度経済成長開始のタイミングとなる1955年には、「雇用者数」よりも「自営業主数+家族従業者数」の方が多く、徐々に「自営業主」は減少し、一方で雇用者数が1990年代に入り大きく増加したことで、現在の「雇用者化」の進展に繋がっています。
統計局の労働力調査を見ると、雇用者数は2022年平均で6041万人で就業者に占める割合は89.9%と、全体の9割を占めるようになっています。
一方で「自営業主・家族従業者数」は2022年平均で648万人となっており、約70年前の1955年には2,312万人いたことを考えると、当時の28%程度にまで減少しています。
今日は、個人のキャリア形成において、私が重要だと感じている環境の影響と、キャリアの呪縛から逃れて、できるだけフラットな状態で自分に適正な仕事を選択していくにはどういうことが必要なのか?を考えてみたいと思います。
私が縛られてきた「キャリアの呪縛」
私は最近になって、自営業を営む知り合いの方が増えてきて、「自営業」の魅力に気付き始めているのですが(もちろん、大変なことも多いと思います)、そもそも大学を卒業して会社員として仕事を始めるまで、「自営」という選択肢が頭をよぎることは全くなかったです。
というのも、私の両親は共に高卒で、父親は会社員、母親もパート勤務で働いていたので、「自分で商売をする」というのが、「生き方の選択肢として存在すること」をリアリティ持って感じられなかったのがあると思います。
私は勉強がすごくできるわけではないですが、いわゆる「暗記」はそこまで苦手ではなかったので、「暗記能力」に比重が大きい義務教育における学校教育の内容は、割と得意な方でした。
だから、中学校に入ってからは、人並みに勉強すれば学年で上位にもなったし、そんな感じだから高校入試でも当然のように地元の進学校を受験し、高校に入ってからは大学進学のために勉強して、そのまま関西の国立大学に進学しました。
大学に入ってからは、1〜2年生の時はのうのうと時間を過ごしていましたが、3年生になり、周囲も就職活動を始めると自分も「どこかの企業に勤務すること」を前提に企業研究をはじめ、よく言われる「消費者目線で知っている企業」ばかりの採用試験を受けて、今の会社に入社しました。
今振り返れば、高校進学のタイミングで手に職つけられる工業高校への道を選択した方が、社会の「需要と供給のバランス」を考慮すると将来的により年収が上がる、ということを考えて進学先を決めることも選択肢になりうると感じます。
また、大学進学のタイミングでも「当時の自分の学力から少し背伸びすれば進学できる大学」を選ぶのではなく、よりユニークであったり、早い段階から社会と接続できる大学を選べばよかったなぁと感じます。
就職先も同じで、雇用者となる会社員ありきで考えるのではなく、自分で起業するとか色々選択肢はある中で、より幅広な選択肢から選べたはず(ちなみに公務員は、遊び呆けていた学生時代に公務員試験を受験するなんて、当時の自分には苦痛でしかなかったので、選択肢にありませんでした)。
しかし、高校進学の時にも、大学受験の時にも、就職先決定の時にも、それらの道は全く脳裏にすら浮かんで来ませんでした。
その理由は、私が直接的に見える半径5メートル以内の世界の価値観に染まっていたからだと考えています。
キャリア選択において環境影響が大きいという仮説
大学時代に出会った人で、私と同じような道を辿ってきたであろう尊敬する後輩がいます。
彼は、大学の時に同じ部活に入っていてよく遊んでいた後輩で、私と学部も同じで、新卒では一旦普通に会社員として就職するところまでは、私と似たようなキャリアを歩んできました。
しかし、彼の実家は岡山にあり、家が事業を行っていたため、途中で親が社長を務める会社に入ることになります。
本社が岡山の企業ではありますが、世界のあらゆるところに工場や事業所を持っているグローバル企業で、先日は、元岸田総理と握手して2ショットの写真を撮ったりしてました。笑
岸田さんがどうこうというより、相変わらず面白い人生を歩んでいるな〜と改めて尊敬の念を深めたわけですが、やはり親が自営とか、親戚に自営の人がいるとか、「自分で事業をやっている人」が身近にいるかどうかって、結構キャリア選択の際に影響してくると思うのです。
本来であれば、キャリア選択のエントリーゲートの近くにいるはずの「進路指導」を担当する人がより広い選択肢を見せられればいいと思いますが、「進路指導員」を担当する人自体が狭い視野しか持っていないとそれは現実には難しい。
しかも、「世の中に取りうる選択肢を広く提示できる指導員」を全国規模で均一に配置するとなると無理ゲーレベルです。
少なくとも私が大学受験した時は、地元の進学校だったこともあり、高校の先生は生徒を大学進学させることしか考えていませんでした。「進路相談」と言いつつ「大学受験先相談」にしかなってなかったと思います。
せめて次世代により広い世界を見せるには?
上述したロジックでいくと、私も妻も会社員である私の家庭において、2人の子どもも同じように雇用者になる可能性は非常に高いです。私の子どもだけでなく、就業者の9割が雇用者であることを考えると、同じような家庭は多いはず。
別に雇用者にマッチすればいいですよ。しかも、自分と子どもは別の人間ですから、私は子どもの人生選択に関与するつもりは全くありません。
しかし、今の高校生に対する進路指導や、大学のキャリア相談員を見ていても、どうしても自分の頃とは「かなり様相が変わった!」というのを感じられないのです。
私の頃と同じように「みんなと同じが良い」のロジックで、進路指導が動いてしまっているように見えます。ここだけが要因ではないとは思うものの、結果として9割が雇用者である結果が事実としてあります。
そうなると、「雇用者も自営業者も一定の割合でブレンドされた環境」や「他とは違うことをしているが故に、自分で生計を立ててより自分らしく生きている人が当たり前にいる環境」と定期的に接する機会をいかに提供できるか、だと考えます。
先週参加した狂犬ツアーなんて正しくその機会の一つだし、個別具体で見ていくとマイナーではあるものの、そういう機会が少しずつ生まれてはきてますよね。
この「キャリアの呪縛問題」は、個人的に関心が強い分野でもあるので、もう少し他の取り組みも勉強しながら、自分でもそういう機会が作れないか考えていきたいと思います。
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