連載長編小説『美しき復讐の女神』5-2
客席からだと、一閃された竹刀を目で追うのがやっとだった。同じ競技を自分もやっているというのに、まるで違う競技のように感じる。高校生と大学生の差は、歴然としていた。
団体戦の決勝は互角の試合だった。二勝二敗で大将戦へと移り、お互い技を繰り出しては防戦し合う一進一退の攻防で、残り時間はわずか三十秒となっていた。観客は頻りに残り時間を気にするようになったが、睨み合う大将同士は時間など気にならないようだった。いや、時間を気にしている余裕などないと言うべきか。一瞬の油断が隙を生み、