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正社員にならないことは無責任なのか

4年間個別指導塾で講師をしてきた。

大学院入試に失敗し、断腸の思いで勤務先の正社員登用試験を受けた。
無事に内定を得ることができた。

けれど、日に日に積る「本当にこれでいいのか」という思い。

考えぬいた先にたどり着いた答え。

それは、私にとって何よりも重要だったのは、「自由」だったということ。

組織のしがらみに縛られない働き方。
自分にとって大切なのはそっちだった。

けれど、何より心配なのはお金の問題。

フリーターとして本当に生計を立てられるの。
自由を求めたはずが、バイト三昧になって、結局不自由になるのでは。
そんな不安がぬぐえない…。

そんなわけで内定先に進んだ場合と、そうでない場合のケースを給料面から比較していきたいと思います。

正社員給与を時給換算してみた

そのまま内定先に就職した場合
月額賃金      246,000
その他手当       20,000
計                                 266,000

1日当たりの賃金
週5日勤務(週休2日)なので→1か月あたり約20日の労働
1日当たりの賃金を算出すると
266,000(円)÷20(日)=13,3000(円/日)

1時間当たりの賃金
1日当たり8時間労働なので、時給換算すると…
13,000(円)÷8(時間)≒1,663(円/時間)

驚きました。
少ないですよね。

月収26万円は、一見すると十分な収入のようにも思えますが、結局は時給1600円程度に過ぎないんですね。今までまんまと騙されていました。

私がお世話になった教室長は、苦労の末に昇進し、自身の年収を600万まで伸ばしたと話していました。月収にすると50万、1日当たりの稼ぎは2万5千、時給換算すると3,125円です。けれど、昇進すると、給与と同時に責任も増します。その室長は、残業も休日出勤もいとわない働き方をしていました。その努力は果たして報酬に正当に反映されているのか。この点は甚だ疑問です。

一方で、大卒資格をもつ家庭教師、塾・予備校講師の時給は、1900~3,000円が相場です。ちなみに、現在私が気になっているグループ指導の塾の時給は3,500円です。非常勤講師という扱いなので、労働時間は自分で調整することが可能です。自分のための「学び」の時間を十分に確保できます。実績を積めば、さらなる時給アップも狙えます。

社会人になることは「手段」

私は当初、以下のようなキャリアパスを構想していました。

 こちらからも分かる通り、私が本当にやりたいことは、授業なんです。人前で話すことと勉強することが好きなので、授業を行っているときほど、やりがいを感じられることはありませんでした。けれど、私は「教えられる」という客観的な証明を持ちません。塾講師という職業は、基礎学力のある大学生であれば、誰でもなることができます。せっかく教えることが好きなのであれば、それを客観的に証明できる資格が欲しい。そうした思いが強まり、私は新たに教員免許の取得を目指すことにしました。しかし、私はすでに大学4年。教員免許を取るためには、新たに大学に通い、教職課程を履修する必要があります。授業料を払うだけの十分な資金が必要になります。そのためにはやはり働くしかないか…。そうして、私は社会人として働きながら、通信制大学に通うことに決めたのでした。もちろん、今の職場で正社員になって成し遂げたいこともありましたた。けれど、私にとって、社会人になることは、結局は「手段」に過ぎなかったのです。

自分にとっての「幸せ」

 講師として私がこれまで大事にしてきたのは「学び続ける姿勢」です。現状に甘んじることなく、常に知識をアップデートし続けることを大切にしてきました。教える側の人間が学び続ける姿勢を見せることで、生徒が抱く「勉強になんて面白くない、意味がない」というイメージを払拭したいという思いがあるからです。今では、中高の教員免許を5教科分全て取得するという目標があります。多くの人は「働くために学んできた」と考えていると思います。学歴社会のなか、苦労して勉強してきたのは、将来は働くときに困らないため。そう考えていることでしょう。ただし、私にとっては逆です。「学ぶために働く」のです。知らなかったことを知る。理解できなかったことを理解できるようになる。できなかったことができるようになる。こうした「学び」の積み重ねが私にとっての「幸せ」に他なりません。たとえ正社員のような昇進がなくても、知識を蓄え続け、成長し続けることできればそれで十分です。

2つの責任

 このように、正社員じゃない働き方もありだよねという話をすると、これだから最近の若者は責任感が無くて困る…みたいな話をされます。確かに、正社員と比べると、「会社に対する」責任感が薄いのかもしれません。しかしながら、私は「自分に対する」責任感を強く持っています。組織に依存することなく、自分のやりたいことは何か、どうやったら淘汰されずに生き延びていけるかを常に考えています。昇進がないからこそ、常に向上心を持って働く必要があります。社会的信用が確保されていないからこそ、一つ一つの案件に全力で取り組むのです。いくら会社から与えられる「責任」を果たしたとしても、それがあなたが本当に果たしたいと思っている「責任」でないならば意味がないと思います。むしろそれは、あなた自身の人生に対して無責任です。私は会社ではなく、自分の人生に責任を持ちたいと考えています。正社員という名の「保険商品」に頼るのではなく、自分という人的資本に投資してみたいと思います。

それではまたどこかで!





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