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今年読んだ書籍からのトップ10

昨日、今年の振り返りとしてやっぱり書いておきたくなって映画について書いた。

もうひとつ。本についても書きたかったのだけど、読んだ本が多すぎて、しかも乱読ゆえに記憶が交錯していて、まとめるには時間もなくて・・・、これらはそれらしく聞こえる言い訳なのだけれど、ようするに「#今年のベスト本」のnoteを書くのは断念していた。

この年末年始は帰省しないことにしたので、通常の買い物など以外は引きこもっている。たとえ仕事は休みにはいっていてもなにかと気忙しいのが年末で、家事やら買い物やら旗関係のことやらを済ませて一息つくが早いか、リビングの飾り棚がいつのまにやら書籍類に占拠されている様が視界に入ってしまった。

大掃除ができていないではないか。

というわけで飾り棚に置いていた展覧会図録をまとめて階下の美術関連書籍専用の書棚まで運んだ。

あらためて飾り棚を眺めれば、まだまだ大量の書籍が居座っている。大半は今年購入したもので、あとは購読している雑誌や読み返すのに持ってきた昔の書籍。この飾り棚の状況に不満を述べている妻の買った本もある。飾り棚を眺めていると、やはりちょっとぐらいはこれらの書籍について書いておかないといけないような心持ちがした。

物理的な大掃除は大変なので、まずは記憶だけでも整理しておこうか。いいえ、けっして怠けているわけではなくて。

わたしは上に引用したツイートに続けて、140字の範囲で記憶を頼りにいくつかの本を挙げていた。

そういうわけで、ベストの1冊は絞りきれていないけれど、記憶に残っている良かった本を10冊ほど羅列しておくことにする。なお、以下はamazonのアフィリエイト。もしよければクリックして書籍の情報をご覧ください。

◆◇◆

いつだったか書いたことがあるけど、わたしは川上未映子ファンである。大ファンである。お金は怖い。さらに文章の疾走するグルーブ感!謎の一部が謎のままで余韻のなかで考えさせてくれるところも川上文学の醍醐味。

NHKの「100分de名著」のスピンオフ番組「100分deフェミニズム」で知った選書。著者は翻訳家。外国のディストピア小説に秘められたリアル世界へのメッセージを読み解くアプローチが新鮮で刺激的。紹介されている小説も要チェック。

次は神保町のブックフェスティバルで購入した書籍(このときのnoteはこちら)。著者の池内先生はわたしが大学にいた時に別部局にいらっしゃって、特別講義を拝聴したことがある。あの京都弁の語り口が懐かしいサイエンス・エッセイ。分野横断のアプローチはとっても楽しい。

わたしは日本旗章学協会という団体に所属している。旗章学とは旗と紋章の学問。その紋章は中世ヨーロッパに遡る複雑怪奇なルールに従っていることが多い。そのルールのひとつの要素が色で、その謎が解き明かされるのが本書。中世ヨーロッパの色彩感覚が現代にまで残っているのは楽しい発見だった。

次はたしか浅草ブックマーケットでの購入品。最果タヒさんは最近気になっている詩人。1000年前の百人一首を現代の感性で読み解くこの書籍は日本語の潜在的な魅力を再認識させてくれる。ちなみにこれはサイン本。

次はわたしの専門分野である石についての本。伝説的な鉱物学者による有名な古典的名著。訳者の堀秀道さんが数々のエッセイで触れられていたので読んだ気になっていたのだけど、そうではなかった。石好きの友人がこの本について言及していたので購入した。丁寧な文体から石とその背後にある科学にたいする敬意がとても心地よい。

以上がツイートで挙げたものだけど、さらに4冊を追加しておく。

内容はけっこう古いのだけど、非常に興味深い対談。とくに親子間の対談は親子ならではの近さと遠慮があってちょっとスリリング。詩と哲学の共通点がときどき垣間見えるのがたまらない。

これもたしか神保町ブックフェスティバルで買ったもの。同著者による新書本も持っているのだけど、こちらはそのちょっと後に出版されたもので、より親しみやすい文体になっている。じつはわたしは最近ネットでタコの水槽の中継なんかを見ている。それで密かに気になっていた。タコが飼いたくなる。そのうち飼育しちゃうかも。

この際なので雑誌も紹介。kotobaの2023年秋号の特集は「萌える言語学」。言語学者の日常は、まぁ研究者あるあるなのだけど、基礎的な内容から最新の生成AIの可能性と問題点まで網羅されていた意欲的な内容で読み応えがある。

さて最後の10冊目は、絵文字について。この書籍は十返舎一九の『文字もんじ知画ちえ』の解説書。なんなのかこの自由さは。アラビア書道の自由さにも匹敵する字形のアレンジが素晴らしい。わたしは変体仮名が好きで自分の日記なんかにも使っているのだけど、これはやってみたいと思った。

以上の10冊がわたしが飾り棚に並べられた本から選んだ10冊。乱読なのでじつは全部を読んでいないものもあるけど、それは後日ゆっくり読み直すつもりだったりする。いっぽうでしっかり読みはしたけれど今回選ばなかったものもある。

わたしは書店に行くのが好きだ。いつしか書店では気になった本を片っ端から速読するのが習慣になり、数十冊をざっと読んで、それで本の内容だけでなく関連する分野の体系が頭に入ったような感覚になっている。

もちろんそれでは足りなくて、そのなかからじっくり読みたいもの、資料として持っておきたいものを数冊購入する、ということが多い。立ち読みだけして帰るのに申し訳なさを感じるというのも理由のひとつだけれど。

そんな乱読だから、速読で読みはしたけれど手元にはない本でおすすめしたい本もいくつかある。だけど買っていないので紹介するのはマナー違反のような気がして除外した。それはたぶん将来的に買うだろうから、もしかしたら来年の大晦日にでもこんな感じで紹介するかもしれない。

そんなわけで大晦日の今日、強引に今年読んだなかから10冊を選んでみた。あ、年越しまであと1時間。大掃除が終わっていない?本棚の整理はエンドレスだから年始にもぼちぼちやることにしよう。

来年も良い本に巡り会えますように。皆様も良いお年をお迎えください。


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