マガジンのカバー画像

評論

633
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

「ゼレンスキー大統領の国会演説」は日本にとっていかなる意味を持つか

昨日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本の国会で演説しました。外国の要人がオンライン形式で国会での演説を行うのは日本の国会史上初のことです。

演説の中でゼレンスキー大統領は日本が米欧と協調してロシアへの経済制裁を行ったことに謝意を示すとともに、チェルノブイリ原子力発電所への攻撃やサリンなどの化学兵器の利用を用意している点などを挙げてロシアを批判しました。さらに、今回の紛争に際し

もっとみる

「初の電力需給逼迫警報発令」はいかなる意味を持つか

昨日、経済産業省は東京電力ホールディングス管内と東北電力管内で電力不足に陥る恐れが高まったことを受け、電力需給逼迫警報を発令しました。

両管内の企業や家庭などでの使用電力の節減が行われた結果、昨日と本日の両日とも、広範囲に及ぶ停電は回避されました。

2011年の東日本大震災を受けて送電網の整備と増強の必要さが指摘されながら具体的な取り組みが進まないままであったことが、今回の警報の発令に繋がった

もっとみる

「まん延防止等重点措置の解除後」にわれわれが行うべきことは何か

昨日、政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、北海道、大阪府、京都府、兵庫県など18道府県に適用されていたまん延防止等重点措置を解除しました。

これにより、今年1月9日以来続いていたまん延防止等重点措置は72日間で終了したことになります。

昨年の同じ時期との比較では新型コロナウイルス感染症の罹患者数は高水準で推移しているものの、感染者数そのものは今回の措置中の最盛期に比べて低下してい

もっとみる

妥協的で現実的な「ゼレンスキー大統領の日本の国会での演説」の実現

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、オンライン形式により3月23日に日本の国会で演説する運びとなりました[1]。

ゼレンスキー大統領はこれまで米英独加各国の議会でオンライン形式による演説を行っており、ロシアによるウクライナへの侵攻を巡りウクライナを支持する立場をとる日本に対しても、支持と連帯を訴えるものと考えられます。

外国の元首などが来日した際に国会で演説した例としては、200

もっとみる

東横線渋谷駅の地下化9年目に際して「渋谷再開発」の持つ「根本的な問題」を考える

本日、2013年3月16日(土)に東急東横線渋谷駅が地下に移設され、東京地下鉄副都心線との相互直通運転を開始してから満9年が経ちました。

東急東横線渋谷駅の地下化と東京地下鉄副都心線との相互直通運転が利用者に与える不利益や、「渋谷再開発」が最終的に渋谷駅を通過駅とし、渋谷そのものの存在価値を低下させること、さらに種々の大型施設が「都市の特徴」を活かしきれていないという点については、本欄の縷説する

もっとみる

労使紛争解決後の大リーグが取り組むべき課題は何か

現地時間の3月10日(木)、大リーグ選手会(MLBPA)と大リーグ機構及び球団経営者は、新たな労使協定の締結に合意しました[1]。

今回の合意により、制度面での主な変更点は、以下の通りとなります。

また、今後の日程は次の様に予定されています。

今回の労使交渉の最大の焦点である贅沢税の最低課税基準額は、交渉当初に既存の金額から3000万ドルの減額を主張していた大リーグ機構・経営陣に対し、MLP

もっとみる

What Is a Problem of Cultural Sanctions against Russia?

After Russia's invasion of Ukraine, there has been a widespread movement to exclude Russia from the arts and sports fields.

Recently, the Russian athletes were excluded from the Beijing Paralympics,

もっとみる

「ロシアへの文化的制裁」はいかなる意味を持つか

ロシアによるウクライナへの侵攻を受け、芸術やスポーツの分野からロシアを排除する動きが広まっています。

最近では北京パラリンピックからロシア選手団が排除されましたし、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団はロシア人のヴァレリー・ゲルギエフ氏を首席指揮者から解任し、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団も同氏との全ての関係を解消することを公表しました。

北京パラリンピックの場合は一度は国際パラリンピ

もっとみる

「IPCによるロシアとベラルーシの選手の北京パラからの除外」の問題点は何か

今日、国際パラリンピック委員会(IPC)は緊急理事会を開催し、ロシアによるウクライナへの侵攻の問題に関連して、ロシアとベラルーシの選手及び役員の北京パラリンピックへの参加を認めない決定を下しました[1]。

IPCは3月2日に両国の選手と役員の参加を認めていただけに、1日と経たないうちに判断が覆ったことになります。

緊急理事会後の記者会見で、IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は3月2日の決定後

もっとみる

「労使交渉の決裂」は大リーグにいかなる未来をもたらすか

現地時間の2月28日(月)、大リーグ機構及び球団経営陣と大リーグ選手会(MLBPA)とによる労使協定の改定交渉が決裂し、2022年の公式戦の開幕が4月7日(木)に変更されるとともに、暫定的に156試合制で実施されることになりました[1]。

労使双方の主張の隔たりが大きく、特にMLBPA側が強く要求している、各球団の年俸総額に対するいわゆる贅沢税の課税基準額の引き上げ問題について、歩み寄りがない点

もっとみる

「米国プロ野球史上初の女性監督」が注目される本当の理由

去る1月24日(月)、日刊ゲンダイの2022年1月25日号27面に、連載「メジャーリーグ通信」の第108回「「米国プロ野球史上初の女性監督」が注目される本当の理由」が公開されました[1]。

今回は、ヤンキース傘下の短期A級タンパ・ターポンズの監督にレイチェル・バルコベック氏が就任したことの意味を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

「米国プロ野

もっとみる