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ビューティセラピストの仕事の光と闇 その1

私の職業はビューティセラピスト(美容セラピスト)、日本風に言うならエステティシャンです。
ニュージーランドのビューティセラピストは、日本でいうエステティシャンよりもずっと広い範囲の仕事をします。

47歳の時に美容学校に入学、国際資格ITECとNZのディプロマを取得し、48歳で就活して、ビューティセラピストになりました。
それから商業サロンで7年間働き、3年前から自宅サロンで自分のペースで仕事をしています。

この記事では、ニュージーランドのビューティセラピストの仕事について、仕事の内容と実情(闇)をお話したいと思います。

セラピストという職業のプラス面(光)については、次の記事で説明します。

続く記事では、セラピストの学校や資格についてと、セラピストとして独立し自営することについて、お話したいと思います。

ビューティセラピストの仕事の内容

ビューティセラピストは、以前はビューティシャンと呼ばれていました。様々な施術をする美容サロンは、ビューティサロンと呼ばれます。
仕事の内容、担当施術は多岐にわたります。リストアップしますと、

フェイシャル(マニュアル・機械)
顔の脱毛(ワックス・糸除毛)
体のワックス脱毛
ブラジリアンワックス(アンダーヘア脱毛)・スプレータン(スプレーガンのフェイク・タン)
ネイル(マニキュア・ペディキュア・ジェルネイル)
まつ毛と眉毛のティント、眉毛のシェイプ
顔のケミカルピール、マイクロ・ダーマブレ―ジョン、針ローラー、 フォト・フェイシャルなど
IPL (光)脱毛
ボディマッサージ:スウェディッシュ・ディープティシュー・ホットストーン・タイハーブボールなど
メイクアップ・肌分析・スキンケアの販売
まつエク・眉アートメイク(特殊技能)
受け付け・予約管理・ストック管理・レジ
ネット販売商品の梱包、発送
サロンの掃除

え、一人でこれ全部やらされるの?
ハイ、そうです。オールマイティにこなせないと、なかなか雇ってもらえません。

日本だと専門化して、アイリスト、フェイシャリスト、ネイリスト、マッサージセラピストという様に仕事が分割されています。

なぜ海外のビューティセラピストは、こんなに多くのことを一人でやらなければならないのか。それは人件費節約のため。

何でもできるセラピストを数人雇って、その人達の予約枠をギチギチに埋める。
ネイリストやアイリストを個別に雇っても、100%予約が埋まらないと人件費の無駄。
それで何でもできる人を雇い馬車馬みたいに働かせます。
さらに予約のない時間があれば、受付やストック管理、発送業務、掃除をやらせます。

ビューティセラピストは、スキルは高いものを要求され賃金は最低ラインと、割に合わない仕事。
楽してお金を稼ぎたい人にはオススメできなません。

ビューティセラピストという職業の実情(マイナス面)

最初から夢を壊すようなことを言ってすみません。

ニュージーランドの美容業界は超ブラックで、セラピストは使い捨てです。

ブラックなら給与がいいかと言うとそうではなく…様々なスキルを身につけても、セラピストの時給は法律で決められた最低時給である場合がほとんど。

最低賃金プラス、スキンケア商品を売れば、売利上げに比例したコミッションが、ごく少額つきますが、本当に少ないコミッションなので、張り切って売る気がなかなか起きません。

私の働いていた会社では、セラピストにコミッションを払いたくないので、セラピストが週に売った商品の総額から、セラピストの週給の額を引き算し、その差額のみにコミッションを払う、という謎ルールを作っていました。

つまり週に600ドルの商品を売り自分の週給が600ドルだったら、コミッションは1ドルももらえない。
そのコミッションも100ドル売ったら3%で3ドルとか、笑っちゃうような低額。

上の例で言うと、週給600ドルのセラピストが700ドル分商品を売ると、3ドルのコミッションがもらえます。700ドル売って3ドル…
これでやる気る人がいたら奇跡です。

また商品の売り上げターゲットは、個人ごとに毎週設定され、到達しないと一対一のミーティングでねちねち、いびられます。
そうやってネガティブなプレッシャーかけられて、もっと売ってやろう!と奮起する人はいないです。
仕事が嫌になり、ミーティングがストレスになって多くのセラピストが辞めていきます。

ちなみに商品を売る以外にも、お客様が施術に支払う料金は店の売り上げとなります。でもどんなに売れっ子でも、施術料金の売り上げ分には、全くコミッションがつきません。

人気セラピストになり予約が毎日朝から晩まで埋まるような状況になっても、商品が売れなければ、会社からはカスみたいに扱われます。

私は固定客がたくさんついていましたが、商品を押し売りするのが嫌だったので、雇い主から常に嫌味を言われていました。
でもお客様にしたら必要な施術のみを希望で、不必要な商品は買いたくないしセールストークもうざい、という方がほとんど。
店は客側のニーズや希望は無視して、押せ押せで、とにかくたくさん売ることしか考えていません。
客側のニーズと店側の要求が大きくかけ離れており、その板挟みになるのがセラピストです。

こんな環境で何年も働き、身も心もボロボロになった私は、商業的な美容業界にすっかり失望してしまいました。
ビューティと謳いつつも、その本質はただの商業主義で金・金・金。
ちっとも癒しを与えるような職場環境ではなかったのです。

先にネガティブ面(闇)ばかりをあげつらってすみません。
こういう本質の業界であるという事を大前提に、それでもセラピストという職業は楽しいしやりがいがある、という点を次回の記事では取り上げたいと思います。

美容業界は嫌いですが、私は美容やセラピストの仕事が大好きです。
人を幸せに、良い気分にするとてもやりがいのある仕事で、働く場所や働き方さえ間違わなければ、素晴らしい職業だと思います。

(次回に続く)

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