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春と私の小さな宇宙

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少し不思議で哲学チックな物語です。自分でも何故こんな話を書いたのかわかりません。
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#生物

『春と私の小さな宇宙』 その53

『春と私の小さな宇宙』 その53

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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アキは無事なようだった。気絶していただけで、軽傷で済んだらしい。

私は安堵した。 アキの行動は少なからず私の精神に響いていた。ハルに対しての配慮や心遣いが、所どころ見て取れたからだ。

なんとなく、ハルがアキと一緒にいるのが

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『春と私の小さな宇宙』 その48

『春と私の小さな宇宙』 その48

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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脱走事件の日、所長をしていた彼は研究成果を学会に発表するため、海外に渡った。

事件を知ったのはその二週間後だった。

機関に戻ると、すぐに異変を感じた。所長が帰ってきたというのに誰も迎えに来ない。

研究所内を調べると実験体

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『春と私の小さな宇宙』 その9

『春と私の小さな宇宙』 その9

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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ハルが校舎を出ると日は沈みかけ、辺りは濃い紅色に包まれていた。

夕焼けが束の間の輝きを放っている。羽ばたくカラスが半円の太陽をバックにシルエットをつくっていた。 夕日の背景に黒く染まり、その黒をより際立たせる。

「ハルゥ、

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『春と私の小さな宇宙』 その8

『春と私の小さな宇宙』 その8

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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二月にもなると学生たちはすっかり正月気分が抜け、あくせくと学業に励んでいた。

人々の活気が古びた校舎に生気を与える。 いつもの退屈極まりない講義を終えたハルは、教授室へ向かっていた。 教授に学会で発表する研究論文を手渡

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『春と私の小さな宇宙』 その7

『春と私の小さな宇宙』 その7

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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生物は進化の過程で遺伝子の形態を幾度も変えてきた。 研究者たちは生物の遺伝子を特性上、大きく三つに分類した。

性別がなく、無性生殖する単細胞生物が第一世代。

有性生殖し、二重螺旋のDNAを持つ者、つまり人間や動物などが第二

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