婚活アプリで出会った相手が既婚者だった話。6日目 (戦闘モード突入3日目)
戦闘モード:既婚者と発覚し、自分の身の潔白を証明したいがために、彼に「覚書」として、「未婚と偽って交際していた」旨を、一筆、書いてもらおうという状況。
前日の夜、書類の作成をLineで依頼していた。
夜中、目が覚め、スマホをチェックする。
昨日送った依頼のメッセージは、未読だった。
私は普段、温厚な草食動物だが、魔女に変わっていた。
朝8時ごろ、さらにメッセージを送った。交際の経緯について、追記するようにと。
仕事の合間をぬって、弁護士とやりとりを進め、翌日に無料相談の予約をした。
心が高ぶっていたので、当日に相談に行きたいくらいだった。
だが、今思うと、当日予約枠が空いてなくてよかった。
弁護士に、状況を簡単に説明すると、覚書の作成を仲介することは可能とのことだった。
だが、弁護士費用は、私が支払うとのこと。
金額はだいたい10〜30万円くらいになるだろうとのこと。
もし、弁護士費用を相手に請求するなら、「貞操権の侵害」として、慰謝料を彼に請求することで、補填することができる可能性はあるとのことだった。
「私が、慰謝料を請求・・・?」
不穏な違和感。
私はそこまでする気はないし、そんなことはしたくないし、することもできない。
未読のまま無視されているのに、メッセージをさらに送る。「攻撃する気はないので、書類の作成をお願いします」と。
洗面所に立って、その日初めて鏡を見た。
疲れ切った老婆のような私が、泣いていた。
何をどうしたらいいか判断することができず、睡眠薬で寝て、逃げることにした。
眠りに入る間際は、潜在意識が表面に出てくる。
そこには、まっすぐに彼を信じていた、私がちゃんといた。
「彼のことが大好き!」
爽やかな風に、桜の香りまで漂わせて、私にささやく。
「そうだよね、まだ、理解できていないんだよね。」
大人の私が諭す。
でも、「信じたい」と思った私の、過去の判断を、否定したくなかった。
というか、その必要は無いと思った。
きっと、そういう愚直さは、私の良さだから。
彼と想像していた未来について、過去の私と話をする。
楽しい盲想話をする女子会みたいに、ぺちゃくちゃと話が弾んだ。
夢の中でだけ、大好きなままでいさせて。
涙は静かに流れ続けていたが、そのままにして、眠りについた。
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