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資源・エネルギー・環境教育雑記帖(10)〜教科書で扱われている資源・エネルギー・環境(中3理科・電池のしくみ)〜

2023年より、資源・エネルギー・環境教育の推進に深く関わってきました。
この分野への興味を抱き、暇を見つけては関連する書籍を読み、研究を重ねています。
同じ関心を持つ仲間たちと立ち上げた研究会では、教育における資源・エネルギー・環境問題の扱いについて積極的に議論を交わしています。
この不定期連載では、中学校及び高校での資源・エネルギー・環境に関する教育内容をご紹介します。


電池の原理〜ダニエル電池〜

中学3年生の理科では、電池のしくみを例に挙げ、イオンと電気エネルギーの関係について学びます。
金属板が異なる金属イオンを含む水溶液に触れると、化学反応により金属が溶けることがあります。
このとき、金属板から溶け出す陽イオンと電子が生じ、既に水溶液に存在する陽イオンは電子を受け取るのです。
1836年にイギリスの化学者ダニエルが発明したダニエル電池は、この原理を利用しています。
亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅(Ⅱ)水溶液に浸し、両板を導線で結ぶと、電流が流れます。
亜鉛は溶けて亜鉛イオンとなり、硫酸銅(Ⅱ)水溶液の銅板には銅が析出します。この化学反応は、以下の化学式で表されます。

−極:Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ (亜鉛 → 亜鉛イオン + 電子)

+極:Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu (銅(Ⅱ)イオン + 電子 → 銅)

電池によるエネルギー変換

電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換し取り出す装置です。
放電時には化学エネルギーが電気エネルギーに、充電時にはその逆の変換が行われます。
充電不可能な一次電池として、アルカリマンガン乾電池やリチウム電池、空気亜鉛電池が紹介されています。
一方で、充電して繰り返し使用可能な二次電池として、鉛蓄電池やリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、燃料電池が紹介されています。

燃料電池

特に中学3年生の理科では、燃料電池の原理が詳しく解説されています。
燃料電池は、一方に水素、他方に酸素を蓄えた2枚の白金電極と、リン酸水溶液などの電解液を使用して電気を生成します。
中学2年生で学んだ水の電気分解は、燃料電池の充電プロセスと同じ原理です。
放電および充電の化学反応は以下のように表されます。

放電:2H₂ + O₂ → 2H₂O (水素 + 酸素 → 水)

充電:2H₂O → 2H₂ + O₂ (水 → 水素 + 酸素)

燃料電池の技術は、有害な排気ガスを出さず、環境にやさしいという特性があるため、燃料電池自動車の開発にも応用されています。
これにより、将来のエネルギー資源として注目されているのです。

中学3年の理科の教科書を通じて、我々はエネルギーの変換、資源の利用、そして環境への影響について理解を深めることができます。
これらの知識は、持続可能な社会を築くための基盤となります。

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