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merukeso
2021年2月2日 13:23
私の名前はシェエラザードクモの巣にかかって、水路に落ちて電気の網で引き揚げられましたそのまま王宮で王様の前に「・・・泥臭いナマズも一興か・・」その一言で後室暮らし毎晩お呼びがかかるものの、何か一芸と歌ってみれば耳をふさいで王様が、逆に美しい声で子守唄いびきをかいて先に眠る王様は翌日寝ぼけ眼で執務にあたる今宵は物語を話しましょうまちがいだらけの寝物
2021年2月7日 19:27
似合わないとはぎ取られた私の鎧褥の向こうに置き去りにされ、私はあなたの視線を纏う。あなたの指は私の中に、私の両手を束ねる左手には、懇願するたび力を込める。空は臙脂に、群青に、そして漆黒に。鎧と鋼の刃を探し求めていた両手は、やがて、あなたを探り始める。漆黒の夜はまだ長く、暁の茜まではまだ遠い。
2021年2月14日 09:09
「今日旦那様はあの方とご一緒にあの呉服店に行かれたそうですよ。」「そうなのですね。」「ついで、だそうでございます。」「そう。」私の面倒を見てくれているタネさんが、着物を拡げる。「ずいぶんはしゃいでおられたようです。」「そうでしょうね。」「そうでしょうとも。」何枚も反物を拡げて大はしゃぎする姿が目に浮かぶ。あの人は本当に子供のような人だ。旦那様に甘えて、何枚も美しい
2021年2月16日 05:30
この浜に来るのは久しぶりだ。先日海で助けた男に会いに来た。私たちからは女しか産まれない。だから子供を産むには人間の男の精が必要なのだ。寒い冬の海で漂い、体温を失いかけていた男を浜辺に送った。身分の高い男なのか、たくさんの人間が大声で呼ばわりながらその男を探していたので、浜から私はすぐに離れた。それから間もなく私はこの浜を訪れた。歌を歌う。「くうーくきいーー」人間に