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【詩】 陽炎 

床に寝転がり

深く息を吐く

足が沈み

指から肩から

首裏の視神経が

重く落ちる

鼻筋から目頭に抜ける

意識の先端は

するりと上に抜けて広がる

背中は重力に万遍なく従う


意識の向かう先は

その物語の語り出し

さり気なさを装いながら

必然的な確信に変わったのだった

いつ知れず私を覆い囚えた

深い夢の中で

君の手掛けた焼き菓子が空を飛ぶ


この掌で掬える分だけ明日を探して

雲の流れをただ見つめて

朴訥と一日ずつ過ごしてきた

言葉にできなかった得体の知れぬ情念は

どこかに置き忘れた雨傘の内側にある


君は今何処に立っているのだろうか

我なのか

君なのか

夢現の境界線にて

紅を差す


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