【詩】 陽炎
床に寝転がり
深く息を吐く
足が沈み
指から肩から
首裏の視神経が
重く落ちる
鼻筋から目頭に抜ける
意識の先端は
するりと上に抜けて広がる
背中は重力に万遍なく従う
意識の向かう先は
その物語の語り出し
さり気なさを装いながら
必然的な確信に変わったのだった
いつ知れず私を覆い囚えた
深い夢の中で
君の手掛けた焼き菓子が空を飛ぶ
この掌で掬える分だけ明日を探して
雲の流れをただ見つめて
朴訥と一日ずつ過ごしてきた
言葉にできなかった得体の知れぬ情念は
どこかに置き忘れた雨傘の内側にある
君は今何処に立っているのだろうか
我なのか
君なのか
夢現の境界線にて
紅を差す
あたたかなご支援をありがとうございます❤ みなさんのお心に寄り添えるような詩を形にしてゆきたいと思っています。