シニア小説家志望の雪ん子おばさん

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最近の記事

毒親からの解放ストーリー (30)

   私は自分史を一年がかりでようやく書き上げた。書いているうちに、母とのやり取りの全てを、母からの虐待だったと思えるようになった。書きながら当時を思い出して怒りに震えたり、呼吸が苦しくなったり、フラッシュバックに怯えたりしながらの作業だった。  しかし記憶を遡って書き進むうちに、母の私への虐め、いたぶりは、彼女が本来持っている邪悪な性格が、私のような少し内気で、相手の言うままを何の疑いも無く受け入れてしまうような子にぶつけ易かったのだろう。 だから母の暴言、暴力は加速し

    • 毒親からの解放ストーリー (29)

       「私の母はいわゆる毒親なのです。だからそんな母から逃れたくて、家から出来るだけ離れたこの大学を選びました。なのに、母がいた方が良いかも知れないと思ってしまうのです。きっと母の命令だけを聞いて、従っていれば、あとは何も考えなくて良いから、気が楽だなんて思っているのだと思います」   「そう思ってしまうのだね。今君は混乱しているのかもしれないね」 「私は母をとっても憎んでいたのにどうしてってだろうと考えると、訳が分からなくなってしまうのです。だからそんな自分に嫌悪してしまうの

      • 毒親からの解放ストーリー (28)

         私は田中先輩が話を聞いてくれると言ってくれたので、うれしくなって、一気に緊張が解けて、気が抜けてしまった。  今まで誰にも話すことが出来なかった母と私の関係だ。物心ついた時から、何かにつけて母から怒られ、殴られていた日常。そしてそれが当たり前だと思い込んでいた幼い自分。  それが友人の家に行って、初めて見た母と娘の優しい感情のやり取り。 それ以降 、本を読んだり、友人たちの話にそっと耳を傾けることによって知り得た、自分以外の家庭や親子関係を理解していくうちに、心の中で何か

        • 小池百合子という人 (4)

           父親の勇二郎氏はホラ吹きで有名な人物で、自分を大きく見せるためにしょっちゅう噓をついていたそうだ。そのため家族は勇二郎氏の言動に振り回され、挙句の果てに生活は破綻し、借金取りから逃れるため海外生活を余儀なくされた。 そんな父親に憎悪の念を持ったとしても、社会の規範として、子供が親の生き方を学んでしまうのは当たり前なことだ。 世間にカイロ大卒の噓をつくことで、マスメディアに拾われ、40代になって、政界へと華麗に進出し、その中で政界渡り鳥とか、権力者を渡り歩く女などと揶

        毒親からの解放ストーリー (30)

          毒親からの解放ストーリー (27)

           どんよりとした雨上がりの、ムッとした空気に包まれながら学食の前の広場を、足早に歩いていた私は、白衣を着た先輩とばったり出会った。 「最近部活に来て無いみたいだけど、何か嫌な事でもあった?」 「何も無いです。ただ書く事に疲れてしまったのです」 「どうして書く事に疲れたの?部に入ってまだ幾らも経って無いよね。他に何か理由でもあるのかな?」  と優しく声を掛けてくれた。  『母親が毒親なのに、ホームシックになってしまった自分が理解できない。おまけに家族の話を書いていたら急に母の

          毒親からの解放ストーリー (27)

          小池百合子という人 (3)

           元々小池氏には、嘘をつくという感覚が無いように見受けられる。四年前の二期目の都知事選の時に他の候補者だった鳥越俊太郎氏に対して街頭演説の際に「病み上がりの人」と発言した。その言葉は、聴衆の目前で発した言葉だったにもかかわらず、鳥越氏から「私を病み上がりの人と言いましたよね」と指摘されると、小池氏はテレビカメラの前できっぱりとこう言った。「私はそんなことは言っておりません」  万人が見ている前で発した言葉が自分にとって都合が悪いとみるや、言ってないと即答できるのは、普通の感

          小池百合子という人 (3)

          毒親からの解放ストーリー (26)

           そのうちに学校中に、生徒が先生を誘惑したという噂が広がり、他の父兄からも学校側に抗議が届くようになった。その為、学校側も顧問と美貴子の二人を呼んで、事情を聞いたのだった。当然二人は否定をしたが、貴美子はその聴取の途中で過呼吸を起こして、卒倒しまった。  直ぐに彼女の親が呼ばれて、貴美子を家に連れて帰ったが、両親は娘を一方的に責め立てた学校側の態度に不信感を抱き、顧問を訴えると言い出した。その為学校側と美貴子の親との間のやり取りで、生徒と先生の問題は、大きくなってしまった。

          毒親からの解放ストーリー (26)

          小池百合子という人 (2)

           しかし彼女のこの学歴は詐称されていたものだった。これに関する証言は、朝堂院大覚氏が一月万冊の佐藤章氏の対談で事細かに話していた。  つまりカイロ大学への編入はカイロ大学のDrハーテムという教授の口添えで編入試験を受けずに、いわゆる裏口入学で二年生になった。 にもかかわらず百合子氏は、カイロ大学での勉学に励む事もなく進級試験に落ちて、三年生になる事も無く退学したそうだ。このことによって、彼女は日本で関西学院大学を一年次で中退をし、カイロ大学は二年次で中退をしたのだ。  

          小池百合子という人 (2)

          ドキュメント 小池百合子という人 (1)

          小池百合子という人  2024年 小池百合子氏は、自信の学歴詐称がインターネット上にて大きく取りざたされている中、都知事三選を目指して立候補を表明した。 それに対して、小池氏の学歴詐称の手助けをしてしまったと公表した、都民ファーストの会元事務総長だった小島敏郎氏は小池氏の学歴詐称問題を6月18日に刑事告発をした。  かねてより小島氏は、もしも小池氏が都知事選に立候補をするのなら告発すると公言していたからだ。  検察に告訴状を提出されたことは小池氏も知っているはずだが、あえ

          ドキュメント 小池百合子という人 (1)

          毒親からの解放ストーリー (24)

          名 前を美貴子というその子の実家は、代々内科医院をしていて、お父さんはその家の三代目だった。やっと出来た子供が女の子だったので、父親はがっかりしていたが、小学校に上がると、成績は常にクラスで一番を維持しつつ、運動会では足が早くてリレーのアンカーとして活躍していた。  そんな心身ともに優秀な娘を、四代目の医者にしようと両親は思った。高校もその地区で一番の進学校に合格し、親の期待を一身に受けていた。 その学校では美貴子の運動能力の評判を聞いて陸上部に勧誘をした。  陸上部の顧

          毒親からの解放ストーリー (24)

          毒親からの解放ストーリー (24)

           大型連休が明けて、徳島での生活や授業にも徐々に慣れてくると時間に余裕が出来てきた。だからノートに書いた母と私や家族の事を綴ってみようと思った。  しかし母親の事について考えるうちに、フラッシュバックして胸が苦しくなってきた。そのうちに母の顔を思い出すだけで、気持ちが滅入って、自分が生きていることの意味がわからなくてなって来た。  辛い少女時代を文章にする事が出来なくなり、授業に出る事も重荷になって来て、とうとう部屋から出られなくなってしまったのだ。 「私は誰かの命令が無い

          毒親からの解放ストーリー (24)

          毒親からの解放ストーリー (23)

           本からはたくさんの事を学んだおかげで知識が増えていき、知らないうちに成績も良くなって、徳島の大学に来ることができている。 最近は、書く事にも興味を持つようになった。自分ではまだ表現出来ない事はたくさんあるが、親子についての物語を書いてみたいと思い始めた。  家族から離れてみて初めて感じる事がある。そして母から距離を置くことで客観的に見える事もある。そうした事を文章にできたらと思ったのだ。   母とは離れているから、こちらでは楽しく暮らせるはずだった。それなのに、家が恋しい

          毒親からの解放ストーリー (23)

          毒親からの解放ストーリー (22)

           私は小学生の時に図書係にならなかったら、今こうして医学部にはいなかっただろう。初めのうちは図書室が私の逃げ場所だった。 母の目も、先生の目も届かない、図書室のかび臭い書棚の陰に隠れて、幼稚園生が読むような絵本を読み漁った。  その頃の私は、いつも母から怒鳴られたり、ぶたれたりしていたものだから、どうすれば母から怒られずに、家で過ごすことができるかばかりを考えていたので、授業を受けていても上の空だった。当然成績も振るわず、家に帰れば母から怒鳴られ、怒られるという悪循環の毎日

          毒親からの解放ストーリー (22)

          毒親からの解放ストーリー (21)

           四月、無事入学式が終わった。徳島での母のいない生活が始まった。見張られていない生活は初めてなので、心地良いのか悪いのか、自分でも判らない。とてもおかしな感覚だ。 自由に振る舞い、誰からも命令されない生活をするということが、なんだか自分を不安にさせるのだ。これで良かったと自分に言い聞かせながら下宿生活に慣れていくしかない。 一年生は教養課程なので、高校の延長の様だが、一般教養の科目ばかりだけではない。実験や実習があると、その度レポートを書かなければならないのでかなり忙しい。

          毒親からの解放ストーリー (21)

          毒親からの解放ストーリー (20)

           ユリの学校長からの電話には本当に驚いたわ。私には何も話さないで、夫とユリの二人でしめし合わせてやった事なのね。何かコソコソしているなとは、思っていたけれど、まさか医学部を受験して、そこに合格したなんて、晴天の霹靂って、こういうことを言うのね。  あの子があんなに頑張り屋だなんて、誰に似たのかしら。私が上手に育てたからよ。きっとそうだわ。  それに比べると宏はだらしないったらないわ。大学には行きたくないって言っているし。夜遊びばかりしているみたいだし。小さい頃は本当に可愛が

          毒親からの解放ストーリー (20)

          毒親からの解放ストーリー (19)

           まず母に報告しなければならないので、学校から母に電話をしてくれる様に頼んでみた。私は私の高校から、現役で国立の医学部に入学した初めての学生だったので、校長先生をはじめ、全学年の先生方も大層喜んでくれた。そして担任の先生は私のお願いを、少々いぶかりながらも快く引き受けてくれた。 「こんにちは、中井さんのお宅ですか。ユリさんのお母様でしょうか?私、学校長の林と申します。この度はユリさんが徳島大の医学部に合格致しました事を心よりお祝い申し上げます。本校で初めての国立医学部への現

          毒親からの解放ストーリー (19)