毒親からの解放ストーリー (24)

 大型連休が明けて、徳島での生活や授業にも徐々に慣れてくると時間に余裕が出来てきた。だからノートに書いた母と私や家族の事を綴ってみようと思った。

 しかし母親の事について考えるうちに、フラッシュバックして胸が苦しくなってきた。そのうちに母の顔を思い出すだけで、気持ちが滅入って、自分が生きていることの意味がわからなくてなって来た。
 辛い少女時代を文章にする事が出来なくなり、授業に出る事も重荷になって来て、とうとう部屋から出られなくなってしまったのだ。
「私は誰かの命令が無いと何も出来ない!」
 自然にそう思い込むようになった。これが『母からの毒なのだろうか?』
母の毒に怯えている自分を知った時、自分ではどう対処して良いのかわからない。布団にくるまっているだけで、買い物にも行けず、当然学校にも行けなくなった。 

 食事もろくに取らないので、みるみる痩せていった。顔色も悪いし、まだ十八才という若さのはずなのに、皮膚のつやも無くなって、鏡に映った自分の顔は驚くほどやつれてまるで幽霊のようだ。
当然入部した文芸部にも顔を出せない。

 その頃、部に顔を出さなくなった私を気に掛けてくれていた人がいた。この世の中に、こんな私に興味を持つ人がこの世に存在するとは、考えたことも無かった。その人は文芸部の先輩で、五年生だった田中先輩だ。

 先輩との面識はあまり無かったのに、なぜだか私に関心を持ってくれた。
後から聞いた話だが、入部して少したった頃の私を見てとても驚いたらしい。それは田中先輩が家庭教師のアルバイトをしていたときの女子生徒に雰囲気や顔がとても似ていたそうだ。

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