毒親からの解放ストーリー (23)

 本からはたくさんの事を学んだおかげで知識が増えていき、知らないうちに成績も良くなって、徳島の大学に来ることができている。
最近は、書く事にも興味を持つようになった。自分ではまだ表現出来ない事はたくさんあるが、親子についての物語を書いてみたいと思い始めた。

 家族から離れてみて初めて感じる事がある。そして母から距離を置くことで客観的に見える事もある。そうした事を文章にできたらと思ったのだ。 
 母とは離れているから、こちらでは楽しく暮らせるはずだった。それなのに、家が恋しいと思う瞬間がある。我ながら不思議だ。 母からの束縛や命令があった方が楽だと思える事もあった。なぜなら束縛やら命令というのは自分で考えなくても、言うことを聞いてさえいれば良いからだ。身体的にはきつくても、頭を使わなくて良いのだから。
 
 長い間母の言いなりになってきた私が、急に自由になって、どう行動すべきか、わからなくなる時がある。入学当初は自由を得た喜びで舞い上がっていたが、慣れない一人暮らしに戸惑っている自分に驚いた。これをホームシックと言うのだろうか?考えれば考えるほど、自分という人間がわからない。そして母親と私の関係を、もう一度考える必要があると思い、記憶の中の母をノートに再現をしてみることにした。

 子供の私はいつも泣いていた。うんと小さかった頃はワーワーと大きな声で泣いていた。弟が生まれてからの私は、涙は頬をつたって流れていたが声は出さずに泣いていた。声を出して泣くと、母にもっとぶたれるからだった。
 それ以来母の顔が、時々鬼や般若のお面に変わって見えてしまうようになった。だから家にいるのが怖かった。そしてトイレに行くのも怖くて、お漏らしをよくしていた。その度に、母には大きな声で、怒鳴られ、馬鹿にされていた。だから自分はダメな子だと母から烙印を押されると、何もできない自分だから、出来ない自分に安心していた。母の言う通りに何もできない、ダメな子でいれば良いのだから、怒られても仕方ないのだと納得していた。

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