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『島嶼見聞録』(電子書籍)著者。時々シチリア、時々日本、時々島セブ島の三ヶ国を旅して在…

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『島嶼見聞録』(電子書籍)著者。時々シチリア、時々日本、時々島セブ島の三ヶ国を旅して在住。http://yukikokigoshi.wordpress.com

マガジン

  • 旅するチャッチャネッダ

    チャッチャネッダ(シチリア語でチャラチャラしてる、の意)は、150年前のデザインを再現した麦わらのバッグ。シチリア島在住の著者がかつてのデザインを紐解いて手作りした。チャッチャネッダの旅先で起こる不思議な出来事の数々とは…

  • 愉快参年 ゆかいさんねん

    さぞや愉快だったことでしょう。あの三年間を愉快なままで真空保存。

  • 妙論帖ミョウロンノォト

    書斎とフィールドから得た「妙論帖」ミョウロンノォト。 シチリア島、日本、セブ島の三ヶ所に暮らし、易や神話や神道、陰陽道、密教、三島由紀夫、ミルチア・エリアーデ、ガブリエーレ・ダンヌンツィオ、パウロ・コエーリョなどを軽読、深読、重読しては聖地、絶景めぐりの日々。矛盾と違和感から妙論を探る。

記事一覧

旅するチャッチャネッダ

100
yuki
6年前

干潮時にも水が通る大鳥居

yuki
6年前

サミット前のシチリア

自宅のあるタオルミーナで開かれるサミットまであと1ヶ月と少し。シチリア暮らし15年の間にかつて一度も見たことの無い様子に毎日目を疑う。 やれば出来るじゃん。シチ…

yuki
7年前

染められたカッラ(カラー)

Zantedeschia カイウ(海芋) 一般的には「カラー」(イタリア語ではカッラcallaと呼ぶ。) 人混みに久しぶりに出かける。ペッシェ・ディ・アプリーレの海岸通りに今…

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7年前

ザクロのグラニータ

初もの!ザクロのグラニータ La granita melograno che la prima volta da vita mia in Sicilia da quindici anni 発売中の拙著『島嶼見聞録』 http://amzn.to/2nlW0xH

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7年前

等々力不動尊 龍神 手水舎

島嶼見聞録 都内お散歩編

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7年前

「島嶼見聞録しましまけんぶんろく」出版のお知らせ

「島嶼見聞録(しましまけんぶんろく)」電子書籍 発売(2017/02/19) イタリア・シチリア島在住14年の著者 木越祐紀子(きごしゆきこ)が訪れた、ギリシャ神話、日本の神話…

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7年前

愉快参年ゆかいさんねん

ここまで読んでも一体何のことだか誰もわからないと思う。なぜなら私はそのように書いている。書いているのは、ある試みのためである。書いているのは、変えるためである。…

yuki
7年前

カクレミノ

はじめの四月 帰国時 成田 空港近く 窓の外にカクレミノ わたし「に」ぴったりな木があると言った 笑いたかったのだとあとで気づく わたし「が」カクレミ…

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7年前

はじめの三月
式年遷宮という記念の年
久しぶりのひとりでの帰国
それは
"彼ら"
にとって
親切に見せかけた恰好の小旅行の口実
ひとりで行きたかった
ひとりで好きに歩きたかった
大きなお世話の風船は要らなかった

yuki
7年前

聖獣バロンと魔女ランダ。永遠に戦い続ける善と悪。ねじれにねじれ、よりを戻すもままならぬ。それならば戦い続けるしか術は無し。ガムランの音。土の上。バリ島のバロンダンスがまた観たい。今度はひとりで。

yuki
7年前

「三島由紀夫が言う『ディレッタンティズム』」

曲亭馬琴原作『椿説弓張月』三島由紀夫(中公文庫) 本書には、昭和44年11月5日〜27日にこの脚本で上演されているとあるから、三島由紀夫が亡くなるちょうど一年前に…

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7年前
1

誰もが誰にでもなり得る。だからこわい。(『マチネの終わりに』平野啓一郎)

読後感をもうひとつ。 誰もが誰にでもなり得る。だからこわい。主役のふたりとその周辺、登場人物の誰もに、誰もがなり得る。早苗は「脇役」を買って出ているようで、実の…

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7年前

axis mundi 世界軸

ここからは、最終章「聖地の定義」に附加したいことである。 ミルチア・エリアーデによれば、聖地には(「中心のシンボリズム」という名で)axis mundi 世界軸、世界樹、…

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7年前

『マチネの終わりに』平野啓一郎 (毎日新聞出版)

『マチネの終わりに』平野啓一郎 (毎日新聞出版) 『未来は常に過去を変えている』ーー「変えられる(変わってしまう)前」と「変えられた(変わってしまった)後」の過去。 …

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7年前
+2

エリアーデの"axis mundi 世界樹" 近所の世界軸

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7年前
サミット前のシチリア

サミット前のシチリア

自宅のあるタオルミーナで開かれるサミットまであと1ヶ月と少し。シチリア暮らし15年の間にかつて一度も見たことの無い様子に毎日目を疑う。

やれば出来るじゃん。シチリア。

15年前にここで暮らすことになる頃からずっと七時半を指していた高速道路の出口の時計。高速道路を出て自宅に向かう2つ目の角に開いていた穴と、そこに一応置いてあった立入禁止の表示板。そういうものが、気づいたら消えていた。

リストラ

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染められたカッラ(カラー)



Zantedeschia カイウ(海芋)

一般的には「カラー」(イタリア語ではカッラcallaと呼ぶ。)

人混みに久しぶりに出かける。ペッシェ・ディ・アプリーレの海岸通りに今朝はメルカートが開かれる。アフリカや南米、東南アジアのブースが面白い。曼荼羅模様のネックレスと、東南アジア製の牡丹の花と極楽鳥の柄のパスポートケース、南米のドリームキャッチャー、「ウネエウリーノー!」(1ユー

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ザクロのグラニータ

ザクロのグラニータ

初もの!ザクロのグラニータ
La granita melograno che la prima volta da vita mia in Sicilia da quindici anni

発売中の拙著『島嶼見聞録』 http://amzn.to/2nlW0xH の第一章に書いたように、ジェラート(アイスクリーム)もグラニータもシチリア島が発祥の地。パリのプロコープというジェラテリア(アイス

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「島嶼見聞録しましまけんぶんろく」出版のお知らせ



「島嶼見聞録(しましまけんぶんろく)」電子書籍 発売(2017/02/19)

イタリア・シチリア島在住14年の著者 木越祐紀子(きごしゆきこ)が訪れた、ギリシャ神話、日本の神話の伝承地の見聞録。ここ数年で訪れた地は百箇所以上。第1巻は、これらの地のうち、シチリア島、ギリシャ、青ヶ島、久高島、与那国島で、見て、聞いて、観じた、各地に古代から伝わる「ものがたり」の伝承の形態。出発地は、マフィ

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愉快参年ゆかいさんねん

愉快参年ゆかいさんねん

ここまで読んでも一体何のことだか誰もわからないと思う。なぜなら私はそのように書いている。書いているのは、ある試みのためである。書いているのは、変えるためである。書いているのは、換えるためである。何を。過去を。
「愉快」の図式。いうまでもなく他の誰かの「不愉快」の上に成り立っている。そういう「愉快」はせいぜい三年程度である。あるいは「愉快」の図式は「分人思想」の上に成り立っている。分人Aの状況を分人

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カクレミノ

カクレミノ

はじめの四月

帰国時

成田

空港近く

窓の外にカクレミノ

わたし「に」ぴったりな木があると言った

笑いたかったのだとあとで気づく

わたし「が」カクレミノだったことも

はじめの三月
式年遷宮という記念の年
久しぶりのひとりでの帰国
それは
"彼ら"
にとって
親切に見せかけた恰好の小旅行の口実
ひとりで行きたかった
ひとりで好きに歩きたかった
大きなお世話の風船は要らなかった

聖獣バロンと魔女ランダ。永遠に戦い続ける善と悪。ねじれにねじれ、よりを戻すもままならぬ。それならば戦い続けるしか術は無し。ガムランの音。土の上。バリ島のバロンダンスがまた観たい。今度はひとりで。

「三島由紀夫が言う『ディレッタンティズム』」



曲亭馬琴原作『椿説弓張月』三島由紀夫(中公文庫)

本書には、昭和44年11月5日〜27日にこの脚本で上演されているとあるから、三島由紀夫が亡くなるちょうど一年前に、三島由紀夫の脚本と演出によってしかも作品としては初演で国立劇場にかかった歌舞伎である。(一篇全3幕8場のまとまったストーリーで上演されたのはこの時が最初である。)

この本(脚本)については、まず、本編のあとに書かれている

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誰もが誰にでもなり得る。だからこわい。(『マチネの終わりに』平野啓一郎)

読後感をもうひとつ。

誰もが誰にでもなり得る。だからこわい。主役のふたりとその周辺、登場人物の誰もに、誰もがなり得る。早苗は「脇役」を買って出ているようで、実のところ小説の「主人公」洋子あっての主人公である。それぞれの関係には、傷、というほどはっきりと残酷な様相を呈してはいないものの、まるで砂の小山のような蟠り(わだかまり)が存在している。決して消し去ることが出来ない蟠り。蟠りの小山がある時、引

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axis mundi 世界軸

ここからは、最終章「聖地の定義」に附加したいことである。

ミルチア・エリアーデによれば、聖地には(「中心のシンボリズム」という名で)axis mundi 世界軸、世界樹、宇宙樹が存在する。私のフィールドワークでは、本当に樹(木)、しかも大木であることが実に多く、また、この概念にはっきりと出会った日あるいは翌日(はっきりと記憶しないがつまり同時にということである)に、所有する土地(山)の契約書

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『マチネの終わりに』平野啓一郎 (毎日新聞出版)

『マチネの終わりに』平野啓一郎 (毎日新聞出版)

『未来は常に過去を変えている』ーー「変えられる(変わってしまう)前」と「変えられた(変わってしまった)後」の過去。

描かれている情景は、映画を観ているようだった。どこにもあるような出来事、しかし、どこにでもだれにでもあるとは誰も言えない出来事がここにある。『未来は常に過去を変えている』ということば、その概念が、導入から最後まで散りばめら

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