雪風 吟路

「表情」の魅力。笑顔,泣き顔,怒り顔...人には多くの表情があります。色の,文字の,光…

雪風 吟路

「表情」の魅力。笑顔,泣き顔,怒り顔...人には多くの表情があります。色の,文字の,光の,影の,森羅万象の中に溢れています。愛すべき隣人「猫」にも,それは満ちています。そんな隣人たちを通して,「表情」と「感情」を,「動」の中の「静」をご覧ください。Fujifilm X-100F

記事一覧

隣にある“当たり前” は 隣にある“奇跡”

 「人という字は・・・!」 なんてセリフがありましたが, 人とはなかなか弱いもので,どうにも1人では生きづらいものです。  1人で強く生きているという人も中にはいる…

雪風 吟路
1年前
12

Series ”コトノハノコト” Page 3: フユガスギハルノキタルコト

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす。 驕れる者も久しからず ただ春の夜の夢の如し。 猛き者もつひには滅びぬ ひとへに…

雪風 吟路
1年前
3

Series ”コトノハノコト” Page 2: カワズトビコムミズノコト

「芝浜」という落語のネタがあります。 人情噺の大ネタでして, 魚屋の勝とその女房の夫婦愛を描いた温かなお話しです。 このお話しのタイトルである芝の浜。今は東京タワ…

雪風 吟路
2年前
4

The tail tale

フランス人は,日常の些細なことを ”幸せ” と感じる人たちだそうな。 禅にも ”日日是好日” という言葉があって, 「にちにち これ こうじつ」と読みます。 晴れの日…

雪風 吟路
2年前
10

Side storiesⅧ:Oasis

夏の盛り,水が滴るのならイイ男だけれども,汗が滴る昼日中。 お天道様の足元で,季節が肌を焦がします。 街中では,どこかセミの声も遠く聞こえて,耳にワンワン響くこと…

雪風 吟路
2年前
4

真面目とはね,君,真剣勝負の意味だよ。

”にらみ” と言うと,歌舞伎でしょうか? 先日も11代目市川海老蔵さんがスカイツリーで行った ”にらみ”。 歌舞伎における ”にらみ” は,見得のひとつですが,成田屋(…

雪風 吟路
2年前
9

水は涼しく,氷は冷たく

梅雨も明け,梅雨明けの大雨も乗り越え,夏がやってきました。 冬の寒波は ”冬将軍” というわけですが,夏の大暑はなんと呼べばいいでしょう? ・・・”夏奉行” ? 巷で…

雪風 吟路
2年前
6

7月7日は願う日じゃなくて叶う日?

2日ばかり過ぎてしまいましたが,七夕でございました。 さらさらと 願いをかけて 笹の葉の           舟が越えるは 星の海原 なんて句があるかどうかは存じ…

雪風 吟路
2年前
3

Series ”コトノハノコト” Page 1: オモシロキコト

”おもしろき こともなき世を おもしろく    すみなすものは 心なりけり”            ー高杉晋作(下の句:野村望東尼)ー はじめにお断りさせていただ…

雪風 吟路
2年前
3

Series ”コトノハノコト” Page 0: ハジマリノコト

新しいシリーズを作っていきたいと思います。 主人公は ”言葉” 。 呆れてものも言えねぇ!って文句を言っていそうな彼が発する ”言葉” は,人のそれとはまた違うものな…

雪風 吟路
2年前
6

強い人の背の,負った傷の数と深さよ。

ひとりぽつんと座る背中に, 遠く窓の外を眺める背中に, 寂しさと優しさを感じます。 寂しいことが虚しいことを, 虚しいことが哀しいことを, 哀しいことが切ないことを…

雪風 吟路
2年前
7

Side storiesⅦ:Blue bird

あなたの隣にいる人へ, 最大級の感謝をいたしましょう。 あなたの隣にいる人の, ひとつでもたくさんの良いところを見つけましょう。 あなたの隣にいる人が, あなたの隣…

雪風 吟路
2年前
10

Series "Rembrandt" -Op.7-: It's show time !

ー帰路ー 夜も深まって,そろそろ百鬼夜行のそんな時間。 百鬼の代わりに人が夜行の都心と違って,あたりはすっかり眠りについておりました。 肌に触れる風はわずかにヒヤ…

雪風 吟路
2年前
9

チープなたからもの

時期はだいぶズレますが,毎年2月の14日は ”バレンタインデー” として親しまれています。 本命もあれば義理もあり,嬉し,楽し,悲し,寂し,羨まし。 豊穣と繁栄を願う…

雪風 吟路
2年前
16

”わたしの” スキ,”あなたの” スキ。

「なぁ,アイツみてみろよ。」 『なんだよ,どこ?』 「ほら,あそこ。」 『ん?んー・・・。あぁ,アレか。』 「・・・なにやってるんだろうな。」 『いつもあんなだよな…

雪風 吟路
2年前
10

よるの静寂に,世界の片隅に

恋をした,焦がれる夜。 遊びに行った,冷めやらぬ夜。 人を亡くした,悲しみの夜。 心を失った,虚無の夜。 成し遂げた,夢心地の夜。 夢をみた,胸膨らませる夜。 良い人…

雪風 吟路
2年前
8

隣にある“当たり前” は 隣にある“奇跡”

 「人という字は・・・!」 なんてセリフがありましたが, 人とはなかなか弱いもので,どうにも1人では生きづらいものです。  1人で強く生きているという人も中にはいるかもしれませんが,それはほんの一握り。  1人でも生きてはいけるでしょう。  大抵のことは何とかなるのでしょう。  ただそれは,少々寂しいものです。  家族の下から離れて一人暮らしを始めた時,大冒険の始まりのような自由を感じます。  ところがある日,眠る前の静けさの中で,あんなにも煩く感じた実家や家族が妙に懐かし

Series ”コトノハノコト” Page 3: フユガスギハルノキタルコト

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす。 驕れる者も久しからず ただ春の夜の夢の如し。 猛き者もつひには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ。                  ー平家物語ー 平家物語の文頭。 ”メロスは激怒した” と同じくらいに有名な筆始まりでしょうか。 ”栄枯盛衰” 時代の移りゆく様を記した名文です。 栄ー枯,盛ー衰,この世界はすべて,きっと,突き詰めれば,"二面性" でできているのでしょう。 表ー裏,陰ー陽,虚ー実

Series ”コトノハノコト” Page 2: カワズトビコムミズノコト

「芝浜」という落語のネタがあります。 人情噺の大ネタでして, 魚屋の勝とその女房の夫婦愛を描いた温かなお話しです。 このお話しのタイトルである芝の浜。今は東京タワーの足元に芝の地名が残っていまして,東京は港区,第一京浜の通る辺りを呼ぶようです。 その昔は袖ケ浦と呼ばれる海岸線の,海に出れば芝浦,陸においては芝浜と呼び分けられていました。 これはまったく,驚くばかりです。 東京タワーの足元に海が広がっているというのですから。 人間の叡知と言うべきか業と言うべきか。 生きる場を

The tail tale

フランス人は,日常の些細なことを ”幸せ” と感じる人たちだそうな。 禅にも ”日日是好日” という言葉があって, 「にちにち これ こうじつ」と読みます。 晴れの日もあれば,雨の日もある。 同じように見えても同じ日はなくて,その日その日が大切な一日ってこと。 「スカイ・クロラ」という森博嗣の小説,押井守が映像化したそのアニメーション版でも 「いつも通る道でも,違うところを踏んで歩くことができる。いつも通る道だからって,景色は同じじゃない。」 と,言っていました。 まぁ,こっ

Side storiesⅧ:Oasis

夏の盛り,水が滴るのならイイ男だけれども,汗が滴る昼日中。 お天道様の足元で,季節が肌を焦がします。 街中では,どこかセミの声も遠く聞こえて,耳にワンワン響くこともないものです。 大地は何処と探し回り,たどり着いたら電信柱じゃ,なんとも報われないはずなのに,それでもどこかでミンミン言っている。 そんな真夏に歩いていると・・・ 最初の内は,頭の中を「暑い」が歩き回っていたのに,だんだん「熱い」が走り出す。 そのうちなんだか世界が真っ白で,頭の中で「あつい」が倒れてる。 なんて

真面目とはね,君,真剣勝負の意味だよ。

”にらみ” と言うと,歌舞伎でしょうか? 先日も11代目市川海老蔵さんがスカイツリーで行った ”にらみ”。 歌舞伎における ”にらみ” は,見得のひとつですが,成田屋(市川團十郎一家)だけが披露できるお家芸だそうです。 「ひとつ,睨んでご覧にいれましょう」とくればヨヨイ。 カッと見開かれた眼,一文字に結ばれた唇。 その姿はあたかも,天地にはびこる魑魅魍魎を,許すまじと燃盛る不動明王。 実はこの ”にらみ” ,特定の誰かを睨みつけているわけではなくて,”すべてをみているぞ” と

水は涼しく,氷は冷たく

梅雨も明け,梅雨明けの大雨も乗り越え,夏がやってきました。 冬の寒波は ”冬将軍” というわけですが,夏の大暑はなんと呼べばいいでしょう? ・・・”夏奉行” ? 巷ではお奉行様の御沙汰を待って炎天下に座らされていたのか,熱中症が大流行でございます。 お奉行様のお沙汰ならまだ良いですが,閻魔様のお沙汰が下ってしまっては大変です。 こまめな水分補給を行いましょう。 実は私,病院薬剤師だったりします。 病院薬剤師って,なんぞ?という方は,アンサングシンデレラという作品にお目通しい

7月7日は願う日じゃなくて叶う日?

2日ばかり過ぎてしまいましたが,七夕でございました。 さらさらと 願いをかけて 笹の葉の           舟が越えるは 星の海原 なんて句があるかどうかは存じませんが,”ロマンティック” というものであります。 1年に1度だけ会うことができる恋人たち。 現代文明で考えるならば,スマホもインターネットも発達していますから,連絡くらいはできますが,その昔ならば手紙さえ届くかどうか・・・。 七夕の物語の美しいところは,離れ離れであってもなお,想い続けることができる2人がいる

Series ”コトノハノコト” Page 1: オモシロキコト

”おもしろき こともなき世を おもしろく    すみなすものは 心なりけり”            ー高杉晋作(下の句:野村望東尼)ー はじめにお断りさせていただくと,私自身は歴史に詳しいわけではありません。幕末の動乱期における高杉晋作という人間についても,長州藩士,吉田松陰の塾生,上海見聞,奇兵隊,S&Wを坂本龍馬にあげた人。 ・・・そんなものでしょうか。 したがって,高杉晋作なる人物の人となりを正確に知るわけではありません。 しかしながらこの銘句は,たしかに,私に1つの

Series ”コトノハノコト” Page 0: ハジマリノコト

新しいシリーズを作っていきたいと思います。 主人公は ”言葉” 。 呆れてものも言えねぇ!って文句を言っていそうな彼が発する ”言葉” は,人のそれとはまた違うものなのでしょうか? 世界には,たくさんの言葉があります。 言語の違いではありません。 意味を持った ”音” という意味での ”言葉” です。 世界には,そんな ”言葉” が溢れています。 小説の中に,漫画の中に,映画の中に,ドラマの中に,ラジオの中に・・・。 それは文字であったり,音であったり・・・。 言葉は,情

強い人の背の,負った傷の数と深さよ。

ひとりぽつんと座る背中に, 遠く窓の外を眺める背中に, 寂しさと優しさを感じます。 寂しいことが虚しいことを, 虚しいことが哀しいことを, 哀しいことが切ないことを, 切ないことが悲しいことを, 悲しいことが痛いことを, 痛いことが苦しいことを, 苦しいことが寂しいことを・・・。 寂しさを知る人は,きっとそれを知っているから, 優しく,温かく,なれるのでしょうか。 ひとりになることが,寂しいということではないのです。 理解されないことが,寂しいということではないのです。

Side storiesⅦ:Blue bird

あなたの隣にいる人へ, 最大級の感謝をいたしましょう。 あなたの隣にいる人の, ひとつでもたくさんの良いところを見つけましょう。 あなたの隣にいる人が, あなたの隣に来る前は, あなたは今より空っぽだったのだから。 ついつい,隣の芝をみてしまいます。 不思議なことに,隣の芝は青いんです。 とても溌溂として,きらめいて見えるのです。 あなたの芝が枯れた時,あなたは気づくのです。 どれほどあなたの芝が青かったのか。 無駄遣いをする時, 他人からしたら無駄なものでも, その人に

Series "Rembrandt" -Op.7-: It's show time !

ー帰路ー 夜も深まって,そろそろ百鬼夜行のそんな時間。 百鬼の代わりに人が夜行の都心と違って,あたりはすっかり眠りについておりました。 肌に触れる風はわずかにヒヤリと心地よく,夜の静けさもまた心地よく。 角を曲がると,我が家がみえます。 今時,ガラス格子の引き戸と古風な我が家の玄関。 ガラスから漏れる灯りが,待つ人の有難さを語ります。 ー出会いー ガラス格子に手をかけた時, 小さな気配と声がきこえました。 「やぁ,人間が昼間っから出歩いてるなんて,珍しいじゃないか!」 あた

チープなたからもの

時期はだいぶズレますが,毎年2月の14日は ”バレンタインデー” として親しまれています。 本命もあれば義理もあり,嬉し,楽し,悲し,寂し,羨まし。 豊穣と繁栄を願うルペルカリア祭りの前日,結婚を司る女神ユノの祝日2月14日に殉教した聖ウァレンティヌスに由来するそう。 ちなみに,もうすぐ6月と言えば ”ジューンブライド” 。ジューン=Juneは女神ユノに由来していたり,女神ユノのフランス語読みがJunon(ジュノン)だったり,ずいぶんと話が広がりますね。 さて,そんな日のキ

”わたしの” スキ,”あなたの” スキ。

「なぁ,アイツみてみろよ。」 『なんだよ,どこ?』 「ほら,あそこ。」 『ん?んー・・・。あぁ,アレか。』 「・・・なにやってるんだろうな。」 『いつもあんなだよな。』 「・・・・・・。」 『・・・・・・。」 「なぁ。」 『ん?』 「・・・飽きないのかな?」 『どうだろうね?』 「なぁ。」 『ん?』 「楽しいのかな?」 『さぁ?』 「・・・・・・。」 「なぁ。」 「・・・なぁ。」 「・・・あいつ,なにやってるんだろう。」 ~。~。~。~。~。~。~。~。~。~。~。~

よるの静寂に,世界の片隅に

恋をした,焦がれる夜。 遊びに行った,冷めやらぬ夜。 人を亡くした,悲しみの夜。 心を失った,虚無の夜。 成し遂げた,夢心地の夜。 夢をみた,胸膨らませる夜。 良い人に出会った,胸躍る夜。 ひらめいた,心躍る夜。 そして,その日を越えた,解放の夜。 人の数だけ夜がきて, 夜に抱かれて夢をみる。 夢をみるのは夜だけど, 暗いことが夜じゃない。 たくさんたくさん働いて, たくさんたくさん闘って, たくさんたくさん頑張って, お帰りと待っているのが夜。 お疲れと迎えに来てくれ