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真面目とはね,君,真剣勝負の意味だよ。

”にらみ” と言うと,歌舞伎でしょうか?
先日も11代目市川海老蔵さんがスカイツリーで行った ”にらみ”。
歌舞伎における ”にらみ” は,見得のひとつですが,成田屋(市川團十郎一家)だけが披露できるお家芸だそうです。
「ひとつ,睨んでご覧にいれましょう」とくればヨヨイ。
カッと見開かれた眼,一文字に結ばれた唇。
その姿はあたかも,天地にはびこる魑魅魍魎を,許すまじと燃盛る不動明王。
実はこの ”にらみ” ,特定の誰かを睨みつけているわけではなくて,”すべてをみているぞ” というものだそう。
まさに,明王ですね。

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ところで,”にらむ” というと,いい言葉には聞こえない気がしませんか?
恨み,憎しみ,殺意・・・そういったものを端的に表す所作だからでしょうね。
目が悪い人が眼鏡を外した状態だと,睨んでいるようにみえる・・・なんていう話もありますが,いずれにしろ,いいようには思われませんね。

人を睨みつけるのはいいことではありませんが。
真剣に ”にらむ” 眼というものはいいものです。
武道家同士が向き合った時,試合中の選手,演奏中の音楽家,壇上のプレゼンター,実験中の研究者,執筆中の作家,そして新しい発見に夢中の子供。
その眼は,興味の対象を逃すまいと,その1点を真剣に見つめています。
それは決して悪いものではなく,むしろ清々しいものです。

『ワンピース』というマンガがあります。
主人公のルフィは海賊王を目指して,彼を慕う仲間とともにたくさんの冒険と強敵との戦いをくぐりぬけます。
この物語の中で,ルフィは決して敵から目を ”離さない” のです。
目を離したらその敵が,自分の仲間に危害を加えに行ってしまうから。
敵を ”逃がさない” のです。

闘っている相手とは限らず,自分が今,取り組んでいるものから決して目を ”離さない” こと。
それが真剣の姿であり,”にらむ” の本当の意味なのかもしれませんね。

カメラを向けた時,仲良しの彼が真剣な眼を向けてきました。
すわ,荒野の決斗?! 夕陽のガンマン?!

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