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The tail tale

フランス人は,日常の些細なことを ”幸せ” と感じる人たちだそうな。
禅にも ”日日是好日” という言葉があって,
「にちにち これ こうじつ」と読みます。
晴れの日もあれば,雨の日もある。
同じように見えても同じ日はなくて,その日その日が大切な一日ってこと。
「スカイ・クロラ」という森博嗣の小説,押井守が映像化したそのアニメーション版でも
「いつも通る道でも,違うところを踏んで歩くことができる。いつも通る道だからって,景色は同じじゃない。」
と,言っていました。
まぁ,こっちの意味は日日是好日とは本当は違うのだけれど,それは余談。

雨の日は,外を出歩くのはちょっと面倒。
良いイメージよりは悪いイメージ。
濡れるし,傘ささなきゃならないし。髪型が決まらなくてイヤッて人もいるかな。
その昔,「雨に唄えば」なんて映画がありまして,個人的には嫌いじゃなかったり。
特に,雨の降る夜がとても好き。
窓を開けて,屋根にあたる雨音と,樋から滴る雨音と,
聞くでもなく聞きながら,枕もとのオレンジ球の灯りの下で本を読む。
とても静かなひと時なのです。
雨音がするのだけれども,きっと気持ちが静かなのでしょう。

オーディオで音楽をかけながら寝るのが普段のわたし。
その日の気分とリンクする音楽をかけて,わたしの気分と音楽が混ざり合うのが好き。
The Alfeeが好きだけれども,ブルーハーツの日もあれば徳永英明の日もあるし,プリンセスプリンセス,ポルノグラフィティ,アンダーグラフ,YUI,Bump of chicken,Radwimps,藍井エイル,EGOIST。
沖縄音楽,ケルト音楽,アンデス音楽。
ベートーヴェン,チャイコフスキー,サンサーンス,久石譲。
チャックベリー,ボブ・ディラン。
何でもアリ。
でも,雨の日にはかけない。
雨の日は,雨音が音楽なのかも。
オーディオをかけると,雨音と曲がお互いを邪魔しちゃって,まるで不協和音。
好きなもの同士だからって,合わせていいものではありません。

FUJIFILM X-100F

そういえば,”引き算の美学” というものがありますね。
足し合わせていって,着飾ることも美しさの在りようですが,そぎ落とし,精錬し,磨き上げられたものもまた美しいものです。
足し合わされた美しさには ”熱” と ”動” のひと目みた時の興奮を感じます。
一方の研ぎ澄まされた美しさには ”侘” と ”静” があり,ひと目では,ともすれば ”単純” と言われそうでありながら,その内面に魅了し,引き込む力を感じるものです。

コロッケはジャガイモだけでいい。
美学をこれで語っては怒られるかもしれませんが,突き詰めたところ,それこそが真理でしょう。
”蛇足” ではないですが,美味しさを求めて色々混ぜると,結局よくわからなくなったり,美味しくなくなったり。
シンプルであることは,実は幸せなのかもしれません。
思考もそう。
雨音が気になるから音楽をかけたら,よけい気になるのです。
雨の日に音楽を聞こうとしたら,よけいイライラ。
寂しい夜に音楽を,雨の日は雨音が音楽。
色々なことを,あーでもない,こーでもないと悩んでいたら,目が覚めてしまいます。
”単純” とは違います。”シンプル” に考える。
”それでいい” って考える。
それで,いいのです。

だってほら,この尻尾をみたら,
誰だって ”猫” だとわかるでしょう?
チンアナゴではありません!

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